土曜日、初めてそれぞれのマシンをドライブして2回のフリー走行を終えた織戸選手と青木選手。その日のうちに公式予選に臨むという、やや慌ただしいスケジュールでレースウィークを過ごしていくことになる。
織戸選手は予選について次のように振りかえる。
「予選ではスリップストリームを巧く使い切ることが出来ませんでした。
シボレーもセアトも、フリー走行の段階からチームプレーでスリップを使い合う練習を重ねていたのです。しかし僕のチームはシボレーワークス3台の中には残念ながら混ぜてもらえなかった。むしろ『邪魔するんじゃないぞ』っていう勢いで。
フリー走行30分×2回である程度の雰囲気を掴んで、予選で初めてタイヤウォーマーも使いました。簡単に予選を振りかえればフリー走行よりは良い走りが出来ましたが、スリップを使い切れなくて1秒くらいロスした感じですね。」
方や青木選手もスリップストリームを使い切れなかったと振りかえる。
「僕はタイヤウォーマーを使ったのが初めてだったのですが、乗ってみても違和感などはありませんでした。
予選ではチームメイトからスリップを使い合おうという提案もありましたが、急ごしらえでは巧くいかないだろうという判断に落ち着きました。
そこでコース上でタイミングを図って、ワークス勢の後ろにこっそり潜り込んでやろうという作戦に。ちょうどセアト勢が来たので後ろについたのですが、見事にツブされちゃいました(笑)。
スリップを生み出して引っ張る役目の車が仕事を終えると先頭から後ろに下がって来るんですが、こいつに引っかかってタイムロスしちゃうんです。
スリップを美味しく使えるはずの周にタイムを伸ばせないという状況で、モンツァの洗礼を受けたという感じですね。」
織戸選手(中)、青木選手(左)と谷口行規選手(右) |
こうして予選を終え、織戸選手は2分02秒045をマークして20位、青木選手は2分02秒698で22位という結果を残した。
実はフリー走行の結果も1回目は織戸選手が24位、青木選手が23位、ベストタイムの差は0.498秒。更に2回目も織戸選手が20位、青木選手が21位で、その差は0.205秒。
両者は常に僅差のタイムをマークし続けてきており、予選結果を受けたスターティンググリッドも近いものとなった。
この結果について青木選手は、次のように語る。
「どうして、いつも織戸さんが近くなのだろう、とは思っていたんですよ(笑)。たまたまなんでしょうけれどね。」
初出場同士の日本人ドライバー二人が偶然にも近いポジションからスタートを迎えることになったWTCC・モンツァ。
いよいよ迎える第1レース(第19戦)の決勝、ここでは織戸選手と青木選手が運命的とも言える日本人同士の激しいバトルを演じることになるのだが、スタート前の両選手には想像できなかった展開であったと言えるだろう。
【>> 後編につづく】