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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.44 News Index
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2007年にデビューしたADVAN A050。
名作"ADVAN A048"の系譜を受け継ぐタイヤであり、独創的なパターンデザインをはじめとして性能を大幅に進化させて登場、大いに注目を集めた。
中でも全日本選手権をはじめとしたジムカーナ競技の世界では、その戦闘力が話題を集める。2007年のシリーズにおいてN1クラスでチャンピオンを勝ち取ったことは記憶に新しいところだ。
そして2008年。ADVAN A050には新たにG/2Sコンパウンドが設定され、一層その戦闘力を高めた。
このG/2Sコンパウンドについて、横浜ゴム・タイヤ材料設計部の瀧澤陽一は、その開発テーマを次のように説明する。
 
「ゴム、すなわちコンパウンドでグリップを出すことが至上命題でした。特にジムカーナ競技ではスタート直後から最大のグリップを得られ、フィニッシュまでその特性とフィーリングを保ち続けることが求められます。
また、コンパウンドでも剛性感を充分に出すことも大きなテーマでした。
私の仕事は、グリップ力や耐摩耗、発熱などの性能を、コンパウンドの面から調整や新規材料開発を通じて高いレベルで実現することです。」

 
瀧澤は2003年に入社、これまでの5年間をモータースポーツタイヤの開発一筋に過ごしてきた。
俗に"コンパウンダー"、または"ゴム屋"と呼ばれる彼の仕事はコンパウンドの開発である。
そもそも、ADVAN A050の開発にあたり、どのように携わってきたのかを振り返って瀧澤はこう語る。
 
「A048に対して、絶対的なグリップ向上が求められたのでコンパウンドとしては柔らかさを追求しました。
柔らかくすると摩耗に厳しくなるのですが、その点でA050はパターンの存在が大きかったですね。
曲線的になったA050のパターンは摩耗や損傷に強いので、A048よりも柔らかいコンパウンドを使えるようになったのです。コンパウンダーとしては、このA048からA050へのパターンの進化によって、出来ることの幅が大きく広がりました。」

 
この連載企画の最初にも記したが、タイヤを構成する要素として「構造」「パターン」「コンパウンド」の三つがある。
これらが全て高い次元にあり、かつお互いに協調し合うことでタイヤの性能は飛躍的に向上する。
 
「A050は最初にパターンを決めました。これを受けて私が担当するゴムの開発が進み、最終的には構造で仕上げていくという流れによって、タイヤとしてのトータル性能を高めていきました。」
こうして誕生したADVAN A050に加えられたG/2Sコンパウンド。このコンパウンドについて、瀧澤は次のように説明する。
 
「G/2Sについては、グリップ性能は間違いなく大幅な向上を果たしています。
ドライについてはサーキットなどのコースにおいて開発ドライバーの高い評価をいただいています。
またG/2Sはウェット用途もありますが、こちらもテストコースなどでの評価を通じて高い性能を実現しました。」

 
このように自信を見せる瀧澤は、さらにG/2Sの特徴と開発について続ける。

「G/2SはA050のパターンデザインならではのコンパウンドです。あのパターンがあってこその組み合わせで、良いものを造り上げることが出来ました。
平たく言えばよりソフトなコンパウンドを採用して、発熱性能を高めてグリップの向上を図ったものです。この目的に対してどのような手法が良いのかを試行錯誤し、いろいろなドライバーや車種での評価を積み重ねて来て出来上がりました。」

 
こうして出来上がったG/2Sコンパウンドだが、スピードレンジは「Z」に設定されている。
 
「Zレンジになったことで、より柔らかく、高い発熱のゴムを使うことが出来るようになります。
ジムカーナという競技においては、戦闘力を大いに高める結果につながりました。」

 
時間にして1〜2分程度の短い中で、全開加速と急制動を繰り返し、コースによっては低速コーナーから中・高速コーナーまでが存在し、時に360度ターンも含まれるジムカーナ競技。
この中でコンマ単位でタイムを競い合い、勝利を得るためにはタイヤに寄せられる期待と信頼は大きな要因となる。
 
「まずは狙い通りのものが出来ました。
3月16日に行なわれる全日本ジムカーナ選手権の開幕戦は、もちろん会場となる岡山県の備北ハイランドサーキットに行きます。
G/2Sコンパウンドの実戦デビューを前にした今の心境は、本音ではドキドキですよ。いざ蓋を開けてみて『こんなはすじゃなかった』なんていうことにならないかと(笑)。
これはジムカーナに限らないですが、どんなに自信を持った製品を造り上げても、実戦までの間はドキドキしますよね。」

 
春の訪れを告げるように、モータースポーツも2008年シーズンが本格的に開幕を迎える。
3月16日、岡山県で開催される全日本ジムカーナ選手権開幕戦。ADVAN A050のG/2Sコンパウンドが、いよいよ待望の実戦デビューを果たす。
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