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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.44 News Index
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プランナーを中心として確立されたADVAN A050の開発コンセプト。
車種、走るステージ、ドライバーの技量を問わず、あらゆる場面において高いポテンシャルを発揮して戦闘力を備えたタイヤを目指して。
 
横浜ゴム・タイヤ第一製品企画部デザイングループの遠藤謙一郎は、いよいよADVAN A050のパターンデザインに本格的に取り組んでいった。
 
「まず最初に取りかかったのは、ADVAN A048を"丸裸"にすることです。
例えば、足し算や引き算が出来ないのに、いきなり因数分解をしようとしても出来るはずがありませんよね。同じようにパターンを最初に描いたとしても、何が問題で、何が解決策になるのかをきちんと整理した上でなければ意味のないものになってしまいます。
そこでまずはADVAN A048を徹底的に分析して、何が良くて、どこは改善すべきなのかを把握することにつとめました。」

 
前回、遠藤が語ったようにタイヤ開発はプランナー、設計者、そしてデザイナーが三位一体となって進めていく。
デザイナーはプランナーがリサーチして集めたユーザーからの意見や要望、そして設計者が打ち立てた技術的な目標などを実現するためのパターンデザインを開発していくのである。
 
「"摩耗性能の改善"と"制駆動性能の向上"という二つの大きなテーマに対して、デザインからいろいろな答えを出してきました。開発過程では数多くのパターン案を作りましたが、試作品を作ったり実験を積み重ねたりした結果、今回のパターンが採用されるに至りました。」
 
こうして決定したADVAN A050のパターンデザイン。
それはADVAN A048の正統な後継という位置づけらしくADVAN A048のデザインを受け継いだというイメージをユーザーに抱かせるである。
しかし、具体的にはADVAN A048の直線的なものから、曲線を多用したものへと生まれ変わったのである。
 
「自然界は直線基調のものというのは何も無いということがデザイン開発上のひとつのヒントにもなりました。特に"地面との接点"という面で見ると、動物の足にある肉球も、人間の足の土踏まずもしかりです。
なぜ曲線なのかを分析していくと、直線というのは抵抗になってしまい、そこに無理な力がかかってしまうのですね。
タイヤにもそれは当てはまり、パターンを曲線にすると走行抵抗がとても少なくなるのです。」
サバンナを駆けるチーターなどをイメージしていただければ遠藤の話はわかりやすいだろう。獲物を狙って身を潜めていた状態からフルダッシュで加速、ハイスピードで獲物を追い、逃げようとするターゲットを捕らえるべく高速で右へ左へと駆けていく。
その姿はまさにコンマ1秒を追い求めるモータースポーツを戦うマシンにも共通するのもであると言えるのではないだろうか。
つまり見た目こそ柔らかな線を描くパターンではあるが、性能的には非常に高いグリップ力を発揮して地面をとらえる。特にスタートやブレーキング時に重要な"縦方向"のグリップは大幅した。
さらにADVAN A048で定評のあったコーナーリング時の"横方向"グリップも高いレベルで確保されている。
その上で摩耗性能が格段に向上しているのがADVAN A050、そこには新しいトレッドパターンが大きく貢献している。
 
「デビュー後は、このデザインに違和感を持ったというユーザーさんの声も聴こえてきます。
それは予想の範囲内だったのですが、やはり好き嫌いの激しく出るデザインであるとは思います。
一般的に格好良さやスピード感というのはシャープなラインで、より感じられるものですが、ADVAN A050はとても柔らかいラインで構成されていますからね。」

 
発売後はデザインについてはネガティブな声も多く遠藤の耳に届いてきた。
しかし遠藤はそれも予想した上で、自信を持ってADVAN A050のデザインを造り上げ、デビューさせた。

「ADVAN A050では縦方向のグリップが横方向よりも相対的に高くなりました。
もちろん横方向が不足しているということではなく、ADVAN A048以上のしっかりしたレベルを確保させつつ、より縦方向を高めたということです。
そのためにユーザーさんはタイヤのバランスが変わったと思われるかもしれません。しかし慣れてくるとADVAN A050の特性が見えてきて、大幅なタイムアップを実現できると思います。」

 
柔らかい曲線ラインから生み出される、高い戦闘力。
ADVAN A050でも横浜ゴムは独創的な一歩先を行くパターンを開発、商品化を実現した。
 
「パターンデザインにもトレンドがあります。
非対称デザインやアクアカットタスクグルーブなど、これまでタイヤパターンデザインのトレンドは横浜ゴムが作り続けてきたという自負もありますね。
ADVAN A050も最初は違和感を訴えるユーザーさんの声が多かったのですが、ここにきて"近未来的ですね"というような声を聞くようになりました(笑)。」

 
パターンの"性能"がユーザーの"嗜好"を超え始めている。
モノマネではなく独創的な商品、そして時代のトレンドをリードしつつ同時に高い性能を有するADVAN A050。
 
前回のご紹介したように横浜ゴムでは本社の一角に「ヨコハマ・デザイン・センター(YDC)」を設けて、デザインを重要な開発の一要素として位置づけ、その拠点としている。
YDCから産み出される最新のタイヤパターンデザインのトレンド。
それは徹底した分析や実験などを積み重ねた"エンジニアリング"と、時代をリードする性能を引き出すための"デザイン"が高いレベルで融合した、一歩も二歩も先を行く独創性の高いものなのである。
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