サバンナを駆けるチーターなどをイメージしていただければ遠藤の話はわかりやすいだろう。獲物を狙って身を潜めていた状態からフルダッシュで加速、ハイスピードで獲物を追い、逃げようとするターゲットを捕らえるべく高速で右へ左へと駆けていく。
その姿はまさにコンマ1秒を追い求めるモータースポーツを戦うマシンにも共通するのもであると言えるのではないだろうか。
つまり見た目こそ柔らかな線を描くパターンではあるが、性能的には非常に高いグリップ力を発揮して地面をとらえる。特にスタートやブレーキング時に重要な"縦方向"のグリップは大幅した。
さらにADVAN A048で定評のあったコーナーリング時の"横方向"グリップも高いレベルで確保されている。
その上で摩耗性能が格段に向上しているのがADVAN A050、そこには新しいトレッドパターンが大きく貢献している。
「デビュー後は、このデザインに違和感を持ったというユーザーさんの声も聴こえてきます。
それは予想の範囲内だったのですが、やはり好き嫌いの激しく出るデザインであるとは思います。
一般的に格好良さやスピード感というのはシャープなラインで、より感じられるものですが、ADVAN
A050はとても柔らかいラインで構成されていますからね。」
発売後はデザインについてはネガティブな声も多く遠藤の耳に届いてきた。
しかし遠藤はそれも予想した上で、自信を持ってADVAN A050のデザインを造り上げ、デビューさせた。
「ADVAN A050では縦方向のグリップが横方向よりも相対的に高くなりました。
もちろん横方向が不足しているということではなく、ADVAN A048以上のしっかりしたレベルを確保させつつ、より縦方向を高めたということです。
そのためにユーザーさんはタイヤのバランスが変わったと思われるかもしれません。しかし慣れてくるとADVAN A050の特性が見えてきて、大幅なタイムアップを実現できると思います。」
柔らかい曲線ラインから生み出される、高い戦闘力。
ADVAN A050でも横浜ゴムは独創的な一歩先を行くパターンを開発、商品化を実現した。
「パターンデザインにもトレンドがあります。
非対称デザインやアクアカットタスクグルーブなど、これまでタイヤパターンデザインのトレンドは横浜ゴムが作り続けてきたという自負もありますね。
ADVAN A050も最初は違和感を訴えるユーザーさんの声が多かったのですが、ここにきて"近未来的ですね"というような声を聞くようになりました(笑)。」
パターンの"性能"がユーザーの"嗜好"を超え始めている。
モノマネではなく独創的な商品、そして時代のトレンドをリードしつつ同時に高い性能を有するADVAN A050。
前回のご紹介したように横浜ゴムでは本社の一角に「ヨコハマ・デザイン・センター(YDC)」を設けて、デザインを重要な開発の一要素として位置づけ、その拠点としている。
YDCから産み出される最新のタイヤパターンデザインのトレンド。
それは徹底した分析や実験などを積み重ねた"エンジニアリング"と、時代をリードする性能を引き出すための"デザイン"が高いレベルで融合した、一歩も二歩も先を行く独創性の高いものなのである。