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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.44 News Index
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「デザイナー」という職業から、皆さんは何を連想されるだろうか。華やかさであったり、前衛的な感覚の持ち主、というイメージがあるのではないだろうか。
では「タイヤのデザイン」と言われるとどうだろうか。タイヤは一般的に"黒くて丸いもの"と表現されるが、一見するとそこには"デザイン"というものが入り込む余地が無いようにも思える。
 
横浜ゴム・タイヤ第一製品企画部デザイングループの遠藤謙一郎。
彼の名詞には「DESIGNER」とプリントされている。
 
「私が所属しているデザイングループでは、ADVANグッズの靴やバッグなどのアパレル的な商品デザインもしています。こうしたアーティスティックな世界の一方で、タイヤのパターンなど工業デザイン、というかエンジニアリングの世界に携わるデザインも行っています。
基本的に所属する全員がタイヤのデザインを手がけています。その上で販売促進ツールや広告、展示会のブースなどのデザインも分担して行っています。」

 
2004年12月、横浜ゴムは本社ビルの一角に「ヨコハマデザインセンター(YDC)」を設けた。
ここには「立体モデル造形システム」などの先進機器を配するなどして、タイヤのアピアランス(外観)向上と商品開発のリードタイム削減を図っている。
また、試作モデルを実車装着するためのタイヤ交換設備を有する点は、ここが単なる"デザイン工房"ではなく、重要な"開発の一拠点"として機能していることの裏付けでもある。
 
「私たちは純粋な"アーティスト"ではなく、あくまでも"工業デザイナー"です。
その仕事とは、商品コンセプトを可視化することであると言えるでしょう。
特にタイヤのパターンデザインというのは、あくまでもエンジアリングの領域です。つまり、個人的な感覚をそこには盛り込まず、あくまでも性能を突き詰めることが第一の目的です。
"格好良い・悪い"という個人的な感覚については、タイヤではサイドデザインで反映させていますね。」

 
商品のコンセプトを具体化し、その性能を引き出す役割をになう"デザイナー"。
では、今回デビューしたADVAN A050のトレッドパターンについては、どのような経緯で決定したのであろうか。
「ADVAN A050の開発プロジェクトが正式にスタートする前から、パターンに関する要素実験を長く行ってきました。
パターンの溝がトレッド面に占める面積の比率を変えるなどして、どのような効果やデメリットが生じるのかといったことなどを検証して様々なデータを蓄積してきたのです。
コンピューターシミュレーションや試作品の制作を重ねることで、A050に採用したベストバランスのパターンデザインを見いだすに至ったのです。」

 
長い積み重ねを経て得られた"ベストバランス"。
それは一体どのようなもので、見いだすに至った開発はどのように進められたのだろうか。
 
「今回のパターン開発にあたってのベンチマークはADVAN A048でした。
A048の次期商品について開発をはじめた当初、このカテゴリーにおいてトータルの性能面でA048のポテンシャルが圧倒的に高かったからです。
とはいっても、摩耗劣化と制動時のストッピングパワーについてはもっと改善してほしいという声も多くありました。
逆に旋回性能や操縦安定性については充分な性能を有していたので、これらをしっかり確保しつつ、二つの要改善点を如何に克服するかが、デザイン面でも開発の大きなテーマとなりました。」

 
どんな商品においても成功した物の次期商品を造り上げるのはとても難しいと言われる。
ジムカーナやサーキットでのタイムアタックで、全日本級の競技会からビギナーユーザーのイベントに至るまで幅広く支持されているADVAN A048。性能面でも筑波サーキットなどのタイムアタックにおいて圧倒的なアドバンテージを有し、プロドライバーからの信頼も厚い。
その性能を引き出していたのがADVAN 048のトレッドパターン。このカテゴリーのタイヤ開発に広く大きな影響を与えた傑作とも言える"デザイン"、その後継商品を産み出すのは決して易しい作業ではない。

「プランナー、設計者、そしてデザイナーが"三位一体"となってADVAN A050の開発を進めてきました。
流れとしてはプランサーがユーザーさんのリサーチなどを行って、この種のタイヤに求められているものを把握した上で開発コンセプトを決定します。
コンセプトを決める段階では、絶対的なタイムアップをテーマにしようという話にはなりませんでした。なぜなら、筑波サーキットのラップタイムなどを見ても、ADVAN A048を超えるものが他になかったのです。
それよりもむしろ、摩耗に対するユーザーさんからの改善を求める声に耳を傾けることにしました。摩耗劣化はユーザーさんの懐具合にも影響する課題なので、真摯に改善を求める声を受け止めて取り組んできました。」
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