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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.44 News Index
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ADVAN A050(アドバン・エイ・ゼロゴーゼロ)。
2000年5月の誕生以来これまで、ジムカーナやサーキットで圧倒的な高いポテンシャルを見せ続けてきたADVAN A048の系譜を受け継ぐ新しいタイヤがデビューした。
 
横浜ゴムモータースポーツ部技術開発2グループの丹羽正和。
1987年に横浜ゴム入社、海外向けのタイヤや新車装着タイヤの開発に携わった後、2000年から当時のモータースポーツ開発部に配属。
今回のADVAN A050では設計や構造を担当するとともに、全体のまとめ役となった。
 
「ADVAN A050開発プロジェクトが正式にスタートしたのは2006年の秋からです。もっとも、一昨年あたりからはA048の次期商品に向けたベースとなる開発を始めていました。」
 
ADVAN A050を産み出すにあたって掲げられた"ふたつのコンセプト"を丹羽は次のように説明する。
 
「基本的に全体としては、ご好評を頂いているA048を更に進化させることがコンセプトです。そのためにはウィークポイントとされる部分を消していくことにまず主眼を置きました。
ひとつは摩耗であり激しいドライビングによる損傷への対策。
そしてもうひとつ性能面ではブレーキトラクションの強化です。これは横方向に比較して物足りなさがあった縦方向のトラクションを高めるということです。」

 
7年の歳月を経ても、なお高い戦闘力を持ち続けているA048。しかし日進月歩の中で更なる進化を果たし、ライバルたちに対する高いアドバンテージを持ち続けるためのADVAN A050デビューということになる。
 
ところでタイヤ開発というのは、どのような流れで行われていくものなのだろうか。
 
「開発には"コンパウンド"、"構造"、"パターン"という三つの基本要素があります。
これらを同時進行させられれば良いのでしょうが、例えばパターンが変わると形状も構造もコンパウンドも変わってきます。
そこで、ある程度は何かひとつを固定していかなければならないのですが、ADVAN A050ではパターンを軸として開発を進行させました。
構造というものは全てが整った後でなければ調整できませんし、コンパウンドについてはA048のパターンである程度のテストを行えるという背景もあります。」
A048のパターンは、このカテゴリーに属するタイヤ開発に大きな影響を与えた。
それだけ秀逸なものであったということの裏付けでもあるが、今回はA048と比較すると"角が取れた"デザインとなった。
 
「当初は何種類もパターン案があり、それらを手彫りして試作品を作ってテストしました。そして良いものを残していって数を絞り、最終的には数種類を金型にして評価を実施しました。
A048でハードなドライビングをした際に生じた損傷を見ると、場所的にはパターンの直線部分とそれに繋がる小さなR、溝で囲まれたブロック部分に大きな損傷を受けていました。
この点について検証を進めていくと、そのブロックの働き(グリップへの影響)が弱く摩耗を誘発し、その影響でまわりのブロックの負担が増えていたことがわかり、ブロックの大きさや形状を見直すことで対策しています。
最終的には今回デビューさせた形に落ち着きましたが、これは性能のバランスが最もとれているものだったので採用しました。
開発過程では様々なパターンも検証しており、中にはパターンの違いだけで大加重に強かったり、小さな加重に強かったりという特徴を持ったものもありました。
しかしADVAN A050は幅広いユーザーさんが使われるので何かに特化させる訳にはいかないのです。」


丹羽が語った"何かに特化させる訳にはいかない"という言葉。
実はこの言葉こそが、ADVAN A050の開発における重要なキーワードである。
 
「ADVAN A050は色々な使われ方が想定されます。
フィールドで言えばジムカーナ、サーキット、ターマックラリー。これらは走り方も走行距離も路面も同じではありません。
またサイズによっては、ある車種ではフロントタイヤになる一方、別の車種ではリアタイヤとして使われる、ということもあります。
車種そのものも駆動方式や重量が異なる色々なものに装着されますので、専用設計という訳にはいきません。
加重がかかっている時も、逆に抜けた時にも高いレベルの性能を発揮できなければオールマイティに使えるタイヤとは言えないのです。」

 
多彩なカテゴリーで色々な車種、そして幅広いスキルのドライバー誰もが装着する。そして全てにおいて満足されるタイヤを目指して。
 
「例えば車種を固定して専用タイヤを作ってほしい、と言われた方がものすごく楽ですよ(笑)。
その代わりにそれをやると、例えサイズが同じだったとしても別の車種では使えないものになってしまいます。」

 
丹羽は笑いながら語るが、これは逆にADVAN A050の開発が如何に難しいものであったかを意味している。
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