PPIHCに参戦する塙郁夫選手のマシンには、2012年から低燃費タイヤ「BluEarth-A(ブルーアース・エース)」が装着されている。
このタイヤは2011年12月に発表されたもので、「環境性能のさらなる向上+人に、社会にやさしい」をテーマとした、コンパクトカーから高級セダンまでに対応するマルチパフォーマンス性を兼ね備えたものである。また、「BluEarth-A」は低燃費タイヤというカテゴリーの中で、高い運動性能と快適性能をもつドライビングプレジャーの追求もテーマとして開発された。
その背景には、長く受け継がれている“走りのYOKOHAMA”という伝統がある。
Team YOKOHAMA EV Challengeのコンセプトのひとつとして、“EVによる効率的な走りを追求した新世代レーシング”がある。塙選手のインタビューにもあるように、圧倒的なグリップ性能を誇るスポーツタイヤや、モータースポーツ専用のタイヤを装着すれば、簡単にタイムアップを図ることは可能である。しかし、新世代EVレーシングでの参戦においては、EVならではの戦いのスタイルを求めているのだ。
PPIHCのステージは過酷だ。大小156個のコーナーが次々とドライバーを待ち構え、1000分の1秒を削る走りも求められる。そこにはもちろん高いグリップ力が求められ、いかにコーナーをしっかりと捉えるかがタイムアップの重要な鍵となる。
同時にEVならではの効率を追求していくと、派手に車体をドリフトさせたり、スキール音を響かせてのコーナーリングは御法度だ。タイヤが持つグリップ性能の極限までを使いこなし、あくまでも外から観た限りは鳥が舞うようにスムーズに駆け抜けていくことが求められる。
こうしたシビアな戦い、その走りを低燃費タイヤ「BluEarth-A」が支えている。昨年は残念ながら終盤にモーターの発熱によってタイムロスを喫したものの、自己ベストをしっかり更新している塙郁夫選手。
ヨコハマタイヤは去る5月29日に、「BluEarth-A」のリニューアルを発表。転がり抵抗性能で「A」を維持しながら、ウェットグリップ性能を最高グレードの「a」へと進化させて、PPIHC決勝翌日の7月1日から発売する。
2013年の塙選手は、このリニューアルされた「BluEarth-A」を一足先に装着してPPIHCへと挑戦する。このリニューアルでは排水性と高剛性を両立した専用非対象トレッドパターンや専用プロファイルを踏襲しつつ、「ナノブレンドゴム」を全面的に見直して運動性能を大幅に向上した。
そのポテンシャルが試される舞台、2013年のPPIHC。「BluEarth-A」の高いポテンシャルを武器に、塙郁夫選手はパイクスピークを軽やかに駆け上がっていく。