アメリカ・コロラド州、ロッキー山脈の東端に位置するパイクスピーク山が戦いの舞台。
スタート地点は標高2,862m。日本の山で言えば北アルプスや中央アルプスの山々に匹敵する高さから競技は始まる。ここから山頂まで伸びる観光道路を封鎖した特設コースを走るが、その全長は12.42マイル(約19.98km)で、大小156ものコーナーがドライバーを待ち受けている。ガードレールが用意されていないテクニカルコーナーもあり、コースはとてもチャレンジングだ。
勾配は平均7%、最大10%。時にドライバーの視界はコロラドの空が大半を占めるため、これが「雲に向かうレース」と呼ばれるようになった理由でもある。
昨年から路面は全て舗装され、よりタイムアタックとしてのシビアリティは高まった。一瞬のドライビングミスは登り勾配ゆえに大きなタイムロスを招くことも珍しくなく、かつハイスピードで駆け抜けるコーナーが連続するだけに、コースオフなど命取りの要因にもなってしまう。
この戦いに2013年、挑戦するのは総勢163台(2013年5月15日現在)。4輪が72台、2輪が91台という内訳になり、それぞれに部門がいくつか設けられている。4輪はUnlimitedがもっともパフォーマンスのある車両で、大排気量エンジンから生み出されるビッグパワーを武器に山頂を目指す。
そんな中、5年目の挑戦となるTeam YOKOHAMA EV Challengeが出場するのはElectric Division。EV(電気自動車)が分類されるこの部門には世界的な注目が集まっており、日本でも新聞紙上などで大きく採り上げられるようになってきた。
Team YOKOHAMA EV Challengeはこの部門の先駆者として、ドライバーであると同時にマシンの生みの親でもある塙郁夫選手(左写真)とともに2009年に挑戦を開始。マシンも参戦を重ねるごとに進化を遂げ、タイムも自己ベストの更新を続けている。
そして、変わらぬテーマとして掲げられているのが「効率を追求した戦い」であり、近年ではガソリンエンジン車に匹敵するビッグパワーを誇るマシンも増えてきたElectric Divisionにおいて、あくまでもEV本来の主旨であるとも言える“効率的なエネルギーの使い方による速さ”を追い求め、EVならではの新しいモータースポーツのかたちを具現化している。