大規模な山火事の影響で、開催日程が当初予定の7月8日から8月12日へと順延された、2012年のPPIHC(パイクス・ピーク・インターナショナル・ヒルクライム)。ヨコハマタイヤとともに4回目の挑戦を行う塙郁夫選手が、主催者から開催延期の知らせを受けたのは、まさにパイクスピークに向けて日本を発つのとほぼ同じタイミングだった。
既に自ら造り上げたEVレーシングマシン「HER-02」はアメリカに渡っていることもあり、塙選手は延期された本番に向けてテストをアメリカで行うことを決定。走ることができるフィールドとして選ばれたのは、世界的に知られるサーキット「ラグナ・セカ」」。ここで7月1日に開催された「REFUEL」というイベントに急遽の参戦を果たしたのである。
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アメリカはカリフォルニア州のモントレーにあるサーキットコース「ラグナ・セカ」。
全長約3.6kmのコースは高低差の大きいテクニカルレイアウトで、中でも下りのS字シケインである「コークスクリュー」は、チャレンジングなコースの象徴として広く知られています。このレポートをご覧の方の中には、シミュレーターゲームで体験された方もいらっしゃるのではないだろうか。
このラグナ・セカを舞台に開催される「REFUEL」は、SPEED VENTUREという組織が主催するEV(電気自動車)を対象としたサーキットイベント。
2009年、まさに塙選手が初めてEVでパイクスピークに参戦した年に第1回が行われ、その時は市販ガソリン車を改造した数台のコンバートEV(4輪&2輪)と、当時は唯一の市販EVだったテスラが参戦する小規模なものだったそうです。しかし4年の間にEVの進化と普及が進んできたこともあって、2012年の大会には4輪と2輪あわせて80台以上が参加した。
「REFUEL」はいわゆるレースとは異なり、各車がベストラップを競い合うサーキットトライアル方式のイベント。午前中に2本のフリー走行を行い、午後から「スポーツ・エレクトリック・タイムトライアル」という1台ずつのタイムアタックを行いますが、ここへの参加は任意という、走行会のような雰囲気も強いアットホームなイベントだ。
参加車両を見ていくと、プロトタイプ/プロダクション/コンバージョンの3クラスに出場する面々は、なかなかの本格派揃い。中でもテスラはオーナーズクラブの面々に加えて、プロトタイプクラスに最新のモデルSのプロトが出場、プロダクションクラスには日産リーフの姿も多く見られた。
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フリー走行2本を走行して、午後にはいよいよタイムトライアルに臨んだ塙選手。“実験的車両”と位置づけられたプロトタイプ・クラスには、塙選手の「HER-02」を含めた4台のマシンが参加した。
高低差が大きく、特に急な下り勾配のS字の「コークスクリュー」が名物のラグナ・セカだが、初めての走行となった塙選手にとってはお手の物だった。大きな高低差ゆえに三次元的な要素の強いコースであるが、それこそハイスピードでのジャンプも当たり前というオフロードレースを戦ってきている塙選手にとっては、むしろ楽しく走れるフィールドだったようだ。
フリー走行ではコークスクリューを果敢に攻め、オフィシャルからはコースオフと間違われるほどに縁石を巧みに越えてコースをいっぱいに使ったラインで駆け抜けた塙選手。競技用スポーツラジアルやスリックタイヤを装着するライバルを向こうにまわして、低燃費タイヤながら優れたトラクションとハンドリング性能を持つ「BluEarth-A」のポテンシャルを最大限に引き出していく塙選手の走りは、多くの参加者や関係者から注目を集めることとなった。
その結果、プロトタイプクラスでは1分48秒936のベストタイムをマーク。よりタイムアタックに特化ていると言えるマシンには及ばなかったものの、参戦にあたって目標に掲げた1分50秒のターゲットタイムを1秒以上上回る好タイムを叩き出した。この1分50秒とは、性能的に同じようなスペックを持つテスラ・ロードスターのコースレコード。ただし、レコードタイムを記録したテスラは競技用スポーツラジアルタイヤを装着していたのに対して、塙選手は低燃費タイヤのカテゴリーに属する「BluEarth-A(ブルーアース・エース)」を装着していることを忘れてはならない。
他の参加車両との混走となるフリー走行では1分52秒台をコンスタントにマークし、アタックランで48秒台にまでタイムアップを果たした塙選手、そして「HER-02」と「BluEarth-A(ブルーアース・エース)」。8月12日のパイクスピーク本番に向けて、改めてマシンとタイヤの戦闘力の高さも実証したラグナ・セカ参戦となった。
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次のページでは、塙選手と横浜ゴムの白井がラグナ・セカ参戦を振り返ります。
またFacebookページには、ラグナ・セカの写真アルバムを掲載しておりますので、あわせてごらんください。
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