第90回目の開催となったパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(以下、パイクスピーク)は8月の第2週にレースウィークを迎えた。
本来は7月8日に決勝が行われる予定だったが、舞台となるアメリカ、コロラド州を襲った大規模な山火事の影響を受け8月12日に決勝を行うスケジュールに変更された。
パイクスピークは、アメリカでインディ500マイルに次ぐ長い歴史を誇るビッグモータースポーツイベントである。
コロラドスプリングスのシンボルともいえる名峰、パイクスピークの麓から山頂までの道約19.98kmを一気に駆け上がりタイムを競う。コーナーの数は全部で156あり、去年までは一部が未舗装路だったが今年はコースのすべてが舗装路となった。
出場できるマシンのカテゴリーは多岐にわたり、4輪だけでなく2輪やクワッド、さらにはトラックヘッドまでエントリー可能。その中で、今年もっとも大きな注目を集めたのは、ヨコハマタイヤがサポートを行う2台の電気自動車(EV)が参戦するEVクラスだ。
市販車の世界では化石燃料を使わないクリーンなエネルギーのマシンが増えてきているが、それはモータースポーツの世界でも同様。とくにパイクスピークは走行距離が20kmに満たず、航続距離の点でやや不利なEVにあっている。また、パイクスピークは頂上部分の標高が4.301mと富士山の山頂よりも高く空気が薄い。そのため、通常のエンジン車だと高地では40%前後パワーダウンして本来の性能を活かすことができない。
しかしバッテリーとモーターで走行するEVはパワーダウンが皆無に等しい。パイクスピークは、EVのメリットを最大限に引き出すことができるイベントなのである。
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