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アメリカ戦を終えて空路で日本へと運ばれたWTCCマシンたちは、金曜日のテストセッションに臨んだ。鈴鹿サーキットは朝から好天に恵まれ、気温はコースオープンした13時30分の時点で27℃、路面温度は47℃というコンディションだ。
WTCC勢の中でもっとも1コーナー寄りのピットに陣取っているホンダ勢を先頭に、コースオープンとともに各車はエギゾーストノートを高めてピットを離れていく。鈴鹿サーキット・東コースでの開催も今年で3回目を数えるが、まずは各選手ともにラインを探るように周回を重ねていく。
その後はじわじわとコースを攻めていく各選手、しかし勢い余ってコースオフを喫する選手も現れてしまい、最終的には3回の赤旗中断をはさむ流れとなった。この中断要因となったコースオフは全てが最終コーナー(ターン8)で起こっているが、特集企画の第3回【>>
LINK】でヨコハマタイヤの渡辺エンジニアも指摘しているようにフロント荷重が抜けるポイントであることから、試行錯誤するなかでコースを飛び出してしまう事例が続いたということだろう。
期せずして30分のテストセッションは、序盤/中盤/終盤と分かれるようなかたちになったが、この表現を用いるならばセッションが進むにつれてタイムアップしていく。前半から中盤にかけてはホンダのティアゴ・モンテイロ選手がモニターのトップにその名を刻んでいたが、シボレーのイヴァン・ミューラー選手がトップを奪い、これにペペ・オリオラ選手が続いた。
もっとも、ポジションはあまり関係ないとも言えるのが、上位陣のタイム差。トップのミューラー選手から、僅か0.5秒以内に12人がひしめき合っているのだ。さらに昨年のテストセッションとタイムを比較すると、全般的に0.7〜1秒ほどのダウンが見られる。この要因として考えられるのは気温/路面温度であり、昨年比で気温が7℃、路面温度は8℃高くなっている。ターボ車にとっては気温の変化がポテンシャルに与える影響が小さくなく、今回の結果につながったものと思われる。
ここ鈴鹿サーキットの東コースは、WTCC開催地の中でもパッシングが難しいという特徴がある。そこで明日の予選は重要性がさらに増す。事実、昨年の決勝結果も予選のポジションを如実に反映されたものであった。
さらにもうひとつ、気になるのが空模様。現時点(20日・17時)で週末の鈴鹿地方はお出かけ日和になりそうであるが、土曜日の夜に雨が降るという予報が出ている。この雨は未明までに止んでくれそうであり、日曜日は曇りのち晴れという予報であるが、万が一にも不安定な空模様になれば意外な“どんでん返し”が生じる可能性もある。
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【TESTING RESULT (2013.9.20 / 鈴鹿サーキット・東コース】
順位 |
クラス |
No. |
ドライバー |
車 両 |
周回数 |
トップ差 |
1 |
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12 |
イヴァン・ミューラー |
シボレー・クルーズ 1.6T |
54.081 |
- |
2 |
|
74 |
ペペ・オリオラ |
シボレー・クルーズ 1.6T |
54.103 |
0.022 |
3 |
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18 |
ティアゴ・モンテイロ |
ホンダ・シビック WTCC |
54.187 |
0.106 |
4 |
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10 |
ジェームス・トンプソン |
ラーダ・グランタ |
54.220 |
0.139 |
5 |
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1 |
ロブ・ハフ |
セアト・レオン WTCC |
54.261 |
0.180 |
6 |
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3 |
ガブリエレ・タルクィーニ |
ホンダ・シビック WTCC |
54,.262 |
0.181 |
7 |
Y |
14 |
ジェームス・ナッシュ |
シボレー・クルーズ 1.6T |
54.304 |
0.223 |
8 |
|
23 |
トム・チルトン |
シボレー・クルーズ 1.6T |
54.317 |
0.236 |
9 |
Y |
25 |
メルディ・ベナニ |
BMW 320TC |
54.346 |
0.265 |
10 |
Y |
26 |
ステファノ・ディアステ |
BMW 320TC |
54.489 |
0.408 |
11 |
Y |
55 |
ダリル・オーヤン |
BMW 320TC |
54.489 |
0.408 |
12 |
|
15 |
トム・コロネル |
BMW 320TC |
54.556 |
0.475 |
13 |
Y |
19 |
フェルナンド・モンヘ |
セアト・レオン WTCC |
54.614 |
0.533 |
14 |
Y/A |
67 |
吉本 大樹 |
シボレー・クルーズ 1.6T |
54.656 |
0.575 |
15 |
|
38 |
マルク・バッセン |
セアト・レオン WTCC |
54.715 |
0.634 |
16 |
Y |
9 |
アレックス・マクドワル |
シボレー・クルーズ 1.6T |
54.777 |
0.696 |
17 |
A |
99 |
伊沢 拓也 |
ホンダ・シビック WTCC |
54.963 |
0.882 |
18 |
Y |
7 |
チャールズ・カ・キン |
BMW 320TC |
55.031 |
0.950 |
19 |
|
5 |
ノルベルト・ミケリス |
ホンダ・シビック WTCC |
55.042 |
0.961 |
20 |
Y |
37 |
レネ・ミュニッヒ |
セアト・レオン WTCC |
55.650 |
1.569 |
21 |
Y |
22 |
トム・ボードマン |
セアト・レオン WTCC |
55.697 |
1.616 |
22 |
|
8 |
ミハイル・コズロフスキー |
ラーダ・グランタ |
55.890 |
1.809 |
23 |
Y/A |
33 |
谷口 行規 |
BMW 320TC |
56.679 |
2.598 |
24 |
Y/A |
88 |
ヘンリー・ホー |
BMW 320si |
57.051 |
2.970 |
25 |
Y/A |
66 |
ジェロニモ・バダラコ |
シボレー・クルーズ LT |
57.177 |
3.096 |
26 |
Y/A |
77 |
マク・カ・ロク |
BMW 320si |
57.724 |
3.643 |
27 |
Y/A |
61 |
キン・ヴェン |
シボレー・クルーズ LT |
57.771 |
3.690 |
28 |
Y/A |
60 |
フィリペ・デ・ソウザ |
シボレー・クルーズ LT |
58.122 |
4.041 |
- |
Y/A |
- |
加納 政樹 |
BMW 320TC |
不出走 |
- |
※Y = YOKOHAMAトロフィー、A = Eurosport アジア・トロフィー |
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今回の日本ラウンドで、特に注目を集めるドライバーを4選手ピックアップ。
シリーズランキングトップに立つイヴァン・ミューラー選手(シボレー)、2番手で追いホンダのマニュファクチャラータイトル獲得の凱旋レースで必勝を誓うガブリエレ・タルクィーニ選手(ホンダ)、日本ラウンドを得意としているトム・コロネル選手(BMW)、そしてスポット参戦を果たす伊沢拓也選手(ホンダ)。テストセッションを終えてのコメントをご紹介していこう。
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イヴァン・ミューラー 選手 (RML)
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今年はシボレーのサポートがないからね。テストもないし、マシン開発も行っていないし、人材もいないから簡単なシーズンではないよ。今回の鈴鹿も難しいと思う。テストでは思うようにタイムが出ていなかったしね。
ショートコースはオーバーテイクのチャンスがないから、予選でいいポジションを確保しないといけない。選手権的には重要なレースだから、ドライバーとしては表彰台でフィニッシュできるようにベストを尽くしたいね。
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ガブリエレ・タルクィーニ 選手 (Castrol Honda WTC Team)
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今年はホンダにとって初のフルーシーズン参戦だし、他のメーカーと比べると準備期間も短かったからね。それを考えると悪くないリザルトと思う。マシンも着実にステップを重ねているけれど、鈴鹿はオーバーテイクのポイントがないからなぁ。まずは予選で好タイムをマークしたいね。
鈴鹿はホンダにとってホームイベントだから重要なレース。プレッシャーはあるけれど、ファンの期待に応えられるようにベストを尽くすよ。
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トム・コロネル 選手 (ROAL Motorsport)
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今回の2レース目がWTCC参戦200戦目のメモリアルレース。最も参戦数の多いドライバーになるから自分にとっても嬉しいよ。
これまでで最も印象に残っているレースが、なんといっても日本初開催(2008年)の時の岡山の第2レース。フロントとリアで違うタイヤを使って勝ったから、本当にエキサイティングだったよ。今年はBMWのサポートがなくて苦しいレースが続いているけれど、日本は僕にとって第二の故郷だから表彰台を目指したいね。
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伊沢拓也 選手 (Honda Racing Team JAS)
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テストセッションで装着したユーズドタイヤのフィーリングは良かったですね。ただ、新品のタイヤに替えて思ったようにタイムアップしなかったので、明日の午前中にマシンを煮詰めたいと思います。WTCCのシビックはスーパー耐久のFF(前輪駆動)マシンに近いんですけれど、鈴鹿の東コースの経験が少ないので難しいですね。
決勝はオーバーテイクがほとんどできないと思うので、明日の予選ではタイヤのグリップを活かして上位を狙いたいと思います。ホンダのホームイベントなので、ベストを尽くしたいですね。
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[UPDATE : 20.Sep.2013] |