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[vol.1] 2012 WTCC 基礎知識&シリーズレビュー [vol.2] 参戦ドライバーの横顔 [vol.3 HONDAテスト・レポート]
[vol.4] WTCC×ヨコハマタイヤ [vol.5] 鈴鹿サーキットから直前情報
鈴鹿サーキット・東コースを舞台に開催される「FIA WTCC Race of JAPAN」。2年目となる2012年、日本のモータースポーツファンがもっとも注目するのは、この大会でWTCCデビューを飾るホンダ・シビックWTCCの存在だろう。

シビックと言えばワンメイクレースからグループAまで、幅広くモータースポーツシーンで活躍した名車のひとつ。残念ながら現時点で日本のラインナップからは外れているが、北米や欧州では高い人気を集めている。そして、2012年の1月から発売となった欧州仕様をベースに仕立てられるのが、シビックWTCCである。

マシンの開発は幾度かのテスト走行を含めて積極的に進められており、そのポテンシャルはファンの期待を裏切ることが無いレベルに昇華されていくことだろう。このページでは、8月下旬にスロバキアで行われたテストの模様と、ステアリングを握ったドライバーへのインタビューをご紹介しよう。
2012年の日本ラウンドよりWTCCに参戦を開始するホンダ。その主力モデルとなる「ホンダ・シビックWTCC」のテストが急ピッチで進められている。
7月31日〜8月1日にヴァレルンガ・サーキット(イタリア)でシェイクダウンが行われると、8月27日〜28日にはスロバキアリンク(スロバキア)を舞台に2度目のテストを実施。その完成度は高く、テストドライバーのガブリエル・タルクィーニ選手が順調な走りを披露していた。

事実、シェイクダウンでは冷却系や電気系のトラブルに祟られたことから順調にテストプログラムを消化できなかったようだが、2回目のテストでは全てのトラブルを克服、ピットイン・ピットアウトを繰り返しながら勢力的にラップが重ねられている。
気になるパフォーマンスも上々で、タイムに関しては非公表ながら、チーム関係者によれば「初日の早い段階で目標タイムを上回ることができました」とのことだ。

テスト2日目には決勝をシミュレーションすべく、10周連続のレースラップテストが行われているのだが、ここでもタルクィーニ選手は終始コンスタントな走りを披露。さらに2日目の午後からは日本ラウンドよりステアリングを握るティアゴ・モンテイロ選手も実走テストを行い、シビックWTCCのフィーリングをチェックしていた。

同テストについて「ヴァレルンガでのテストはマイナートラブルであまり走れなかったけれど、マシンは確実に進化している。まだまだ足回りのセットアップを中心にやるべきことは多いけれど、今後のパフォーマンスが楽しみ」とタルキーニ選手が語れば、モンテイロ選手も「確実にシビックWTCCはステップを重ねている。セットアップを含めて経験が必要だけど、スタートとしては悪くない」と好感触。
さらにホンダのワークスチーム「ホンダ・レーシングチームJAS」のチーム代表、アレッサンドロ・マリアーニ氏も「今年は経験の年になるけど、シビックは可能性を秘めたクルマ。最善を尽くしたい」と意気込みを語る。
今後もデビュー戦となる鈴鹿サーキットでの日本ラウンドまでに数回のテストが予定されているだけに、終盤戦ではシビックWTCCが台風の目となりそうだ。
ホンダのワークスチーム「ホンダ・レーシングチームJAS」が2012年のWTCCに投入する主力モデル「ホンダ・シビックWTCC」は文字どおり、ヨーロッパ仕様のシビックをベースに開発されたレーシングマシンだ。

マシン開発を手がけたのは、レースオペレーションを含めてホンダのテクニカルサプライヤーとして活動するイタリアの名門コンストラクター「JASモータースポーツ」で、パワーユニットとなる1600ccの直噴ターボエンジン「HR412E」は日本の本田技術研究所が担当している。

プロジェクトのスタートは2011年の12月で、マシン開発に着手したのは2012年2月となることから、開発期間はわずか6ヶ月間に過ぎないが、テスト段階からシビックWTCCはライバルを凌駕するパフォーマンスを発揮。その最大の特徴となっているのが、理想的なパッケージングと言えるだろう。

同チームのテクニカルディレクター、ステファノ・フィニ氏によれば「シビックはWTCCに最適なディメンションで空力性能も高い。まだまだマシンの熟成が必要だけど、このパッケージングはアドバンテージになるだろう」とのこと。さらに開発ドライバーを勤めるガブリエル・タルキーニ選手も「シャーシが優れているので俊敏な動きをしてくれる。足回りのセットアップを煮詰めれば、抜群のハンドリング性能になるだろう」とのことだ。

また、レース専用エンジン、HR412Eも順調な仕上がりで、ホンダのモータースポーツ開発室長、櫻原一雄氏は「直噴の4気筒ターボの経験がないので試行錯誤しています」と前置きしながらも「大きなトラブルもないですし、ラップタイムを悪くないので、ここまでは順調に来ていると思います。マシンもそうだと思いますが、エンジンも手応えはありますよ」と自信をのぞかせる。

レース本番にはテストデータをアップデートしたホモロゲーションモデルが投入される予定となっているだけに、さらなる進化が期待できる。日本とイタリアの最新技術と経験、そして独創的なアイデアが注ぎ込まれているだけに、シビックWTCCは近い将来、シリーズを代表する名車となるだろう。
−レースドライバーとして終盤戦からホンダに加入しましたが、その意気込みは?

ティアゴ・モンテイロ選手 :
ホンダはF1で活躍していたからね。僕にとっては憧れのチーム。そのホンダでドライバーとして参戦できることを誇りに思うし、何よりも嬉しいよ。


−シビックWTCCの印象はいかがですか?

モンテイロ選手 :
まだ走り始めたばかりだし、僕自身はそんなにラップを消化していないけれど、ファーストインプレッションは悪くなかった。印象的なのはステアリングが良かったことだね。まだまだセットアップを煮詰めていく必要があるけれど、1回目のテストと2回目のテストでは確実にマシンが進化していた。ステップのスピードは悪くないから、パフォーマンスはテストをするごとに良くなって行くと思うよ。


−ヨコハマタイヤの印象は?

モンテイロ選手 :
2007年からWTCCに参戦しているけれど、どんなサーキットでもどんなコンディションでも安定しているからね。タイヤに関してとくに不満はない。シビックとのマッチングも悪くはなく、グリップのフィーリングが安定していた。レースラップを走っていないから、ロングランへの影響は分からないけれど、他のクルマでも大きな問題は起きていないのでシビックでも大丈夫だと思う。


−シビックWTCCのデビュー戦となる鈴鹿のポイントは?」

モンテイロ選手 :
鈴鹿の東コースはオーバーテイクのポイントがほとんどないからね。レースで勝つためには、最前列からスタートしなければならないから予選が重要になると思う。なんとか最前列を取りたいけれど、コンディションに合わせたセットアップやタイミングが重要になるから上手く対応したい。


−2013年の意気込みは?

モンテイロ選手 :
今年の3戦はリザルトより、レースを経験することが重要だからね。データを得るために完走しなければならない。でも、その経験をフィードバックすればシビックWTCCは必ず進化する。そういった意味では本当の勝負は2013年になるだろう。今年は難しいけれど、来年は早い段階で表彰台を獲得したいね。
−シビックWTCCのフィーリングは?

ガブリエレ・タルクィーニ選手 :
まだ2回目のテストだから未完成の状態だけど、シャーシが素晴らしい。全ての操作に対して俊敏な反応を見せているから、足回りを煮詰めればもっと素晴らしいハンドリングになっていくと思うよ。


−テストは順調に進んでいますか?

タルクィーニ選手 :
ヴァレルンガでのテストは電気系のトラブルがあったからあまり走れなかったけれど、2回目のテストは順調にプログラムが進んでいる。マシンもエンジンも前回のテストより進化しているので、今後もテストを重ねるたびにパフォーマンスはアップしていくだろう。


−ヨコハマタイヤとのマッチングは?

タルクィーニ選手 :
シビックWTCCにも合っているよ。ずっとWTCCでヨコハマタイヤを使ってきたけれど、この5年間にトラブルもなかったし、どんなコースでも、どんなシチュエーション、例えば寒い季節のレインコンディションから暑い季節の荒れたドライ路面までパフォーマンスが安定しているからね。もともとヨコハマは技術力が高いし、プロフェッショナルな仕事をしているから、シビックWTCCでもフィーリングは安定している。おそらく、ヨコハマタイヤはどんなクルマにも合っていると思うよ。


−2013年からレースでもホンダのドライバーとしてWTCCに参戦しますが、その意気込みは?

タルクィーニ選手 :
ホンダのドライバーとして参加できることが本当に嬉しいし、楽しみだよ。マシンの開発は自分にとっても大きなプロジェクトだし、マシンが進化していくのを実感できるからね。それだけに早くシビックWTCCでレースに出たいというのが正直な気持ちかな。2013年が本当に楽しみで、今から興奮している。まだまだ課題は多いけれど、2013年は他のチームとトップ争いができるようにマシンを煮詰めて行きたいね。

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