2012年のAPRCには、2010年に獲得しているアジアカップの奪還を目標に、対象となる後半の3戦に出場しました。
APRCはクラス2のプロトンやシュコダのS2000車両勢と、クラス3のグループN車両勢が同じタイトルとして競われます。私はスペックでS2000勢力に対して差があるグループN車両での参戦なので、正直なところ現時点では速さで勝負をするのは難しいと予想していました。
そこで、全ての大会で確実に高得点を獲得できる位置に常にいることを目標としました。さらに速さの点では、2011年よりも上位陣とのタイム差を縮めるべく、毎SS(スペシャルステージ)のタイムを気にするようにという目標を立てて、事前の準備を進めていきました。
初戦となったマレーシアは過去に1度も完走すら出来ておらず、ペース配分がとても難しいイベントであると自分に強く言い聞かせました。そうして最後まで集中して走りきれたことが、良い結果(総合/アジアカップ
2位)に繋がりました。
それでも戦いは天候にも翻弄されてタフなものとのあり、自分自身もSS2で木にヒットしたり、ジャンクションでスタックしてしまったりというドラマはありました(笑)。他のクルーも、今年は路面がとにかく難しくて、苦戦していたようです。
こうした難しい路面で強い味方になったのが、ヨコハマタイヤのADVAN 053ですね。
基本的にはA053にハンドカットで溝を追加して対応しました。ただ、今年は例年にない路面コンディションで滑りやすかったので、競技の後半ではウェットダート用タイヤのADVAN
A031にスイッチ、タイムアップも出来て良いフィーリングでした。
日本でのRally Hokkaidoではアジアカップの優勝を飾ることが出来て、タイトルを賭けて臨んだ最終戦の中国。Rally
Hokkaido終了後のインタビューでも「中国は不思議と相性が良い」と答えたのですが、やはり今回も中国は相性が良かったですね!!(笑)
特に転倒の時は「ここでリタイアするわけにはいかない!」という、強い念も通じたようです。
競技の前半ではコースアウトしかけたり、転倒したものの幸いに起き上がれて再スタートが出来たりと、自分でも驚くくらいにかなり運が良かったです。いろいろあった中国ですが、チーム一丸でゴールした感じがいつも以上に強く、本当にメカニックをはじめとしたチームスタッフ全員で、全力で戦ったラリーでした。
この中国には、それまでの三菱ランサー・エボリューション]に替えて、スバルWRX
STIにR4パーツをいくつか組み込んだ仕様で出場しました。中国に渡ってからのオフィシャルシェイクダウンで初めてスバルWRXに乗ったのですが、最初こそランサーとの挙動の違いに多少の戸惑いもありましたが、すぐに慣れましたね。
両車を比べると、R4仕様のスバルWRXは数字以上に車両重量が軽く感じられ、動きがとても軽快でした。ブレーキングではランサーよりも高い速度でコーナーへとアプローチをして、そのままの速度を維持してクリアしていけるところが大きなアドバンテージではないかと思います。
タイム的にはSS1から2番手と、S2000勢の中に割って入ったことが、自分自身にとっても大きな自信となりました。そして、結果的にアジアカップの2位でフィニッシュして、2年ぶりにカップを奪還することが出来ました。
振り返ってみると、単純な速さだけではタイトルの奪還は出来なかったと思います。それは中国の結果だけを見ても明らかで、やはりCUSCO
Rally Teamの総合力で獲得できたタイトルであると言えます。
また、強力なサポートをしていただいたヨコハマタイヤにも、御礼を申し上げます。
ファンの皆さんにも、中にはマレーシアにまで駆けつけていただいた方もいらっしゃって、多くのご声援をいただきました。ホームイベントであるRally
Hokkaidoでも、リエゾンで多くの方が応援してくださっているのを見て、北海道・十勝にはラリーが深く定着したと感じています。
2013年も、常に上を見て頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!