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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.103 News Index
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2011年、折目遼選手はSUPER GTに引き続き参戦する。参戦5年目となるシーズンは新たに発足したTeam SG CHANGI(チーム・エスジー・チャンギ)からの参戦で、マシンはレクサスIS350。
パートナーはアレクサンドレ・インペラトーリ選手。スイス出身の24歳、2008年から全日本F3選手権に参戦を続け、2009年と2010年にはマカオグランプリのインターコンチネンタルF3にも出場した期待の若手ドライバーだ。

そしてマシンのメンテナンスを担当するのはRSファイン。河野高男さんが代表をつとめるファクトリーはRE雨宮のRX-7をメンテナンスしていたことから、折目選手にとっては信頼できる強い味方となる存在だ。

フォーミュラ出身の新しいパートナー・インペラトーリ選手、そしてRX-7時代に続いてマシンを担う河野さんについて、折目選手は次のように語る。

「インペラトーリ選手については、僕もフォーミュラをやっていた経験があるので、彼が何か悩みを持ったときにアドバイスしてあげられると思います。F3の中でも速さを見せていましたし、今季のインペラトーリ選手がSUPER GTとともに参戦することになっているフォーミュラ・ニッポンのテストも、なかなか速かったと思います。だから、速さという意味では順応性が高いドライバーなんだろうと思いますね。
ただ、GT300にはGT300の難しさというのがあって、僕もそれを重々経験してきましたから。
僕は最初から『ああしろ、こうしろ』というのではなくて、彼が何かつまずいた時にアドバイスしてあげることが出来たらな、って思っています。

RSファインの河野さんはとても変わっていて、ドライバーに説教をするんですよ(笑)。エンジニアでドライバーに説教する人って、僕は河野さん以外に見たことが無いんですよ。どちらかというとドライバーの方からエンジニアに『ああして欲しい、こうして欲しい』って言うものですから。データを解析した上でのディスカッションはあったとしても、エンジニアがドライバーに『乗り方をこうしなさい』って言ってくるというのは、あまり聞かないですよね。

でも、河野さんの“説教”は的を射ているんですよ。
一番記憶に新しいのは2009年の最終戦。乗り方のスタンスが谷口(信輝)選手とちょっと違っていて、河野さんからは『乗り方を変えなさい』って。ドライバーとしては乗り方を変えるというのはやりたくない事なので葛藤もありましたが、チャンピオンもかかっていたので言われた通りにしました。
僕にとって河野さんはとても力になってくれる存在ですし、よいチームワークで頑張れたことにもつながっています」
 
 
2年間コンビを組んだ谷口信輝選手とは、2011年はライバルとしてGT300クラスを戦うことになる折目選手。
ここで、谷口選手について聞いてみよう。

「最初にお会いしたときに僕自身が“谷口信輝”という存在を知っていたか、それとも知らなかったかでいえば、『まぁ、知っている』というレベルでした。僕が今になって知っている状態の谷口さんに関する情報は持っていなかったし、逆にあまり先入観を持たずにコンビを組み始めました。
実際に一緒にレースをすると、僕が言うのもなんですが、谷口さんは自分で乗っていながらもレース全体をすごく把握しているんですよ。ひとつのセッションを迎える度に、自分の状況がどういったもので、何が足りないのかをすぐに解析できる能力を持っている人です。もちろんその上で速さもありますしね」

そんな谷口選手とは、新たにライバルという関係になる折目選手。

「RE雨宮でやってきた4年間と全く同じ流れで出来るのかというと、やはり新しいチームですから一度はリセットされた状態になってシーズンに臨むわけです。だから簡単ではない部分もあるでしょうが、僕自身は基本的にこの4年間、自分自身に課題を課してやってきたのですが、その延長線上にあることは基本的に変わりません。
でも、“谷口信輝”という、僕の中では目標であり、同時にチームメイトでもあるという安心感もあった存在が今年はいないわけです。今度は僕自身がチームを引っ張っていく立場になるので、そういう責任感はありますね」

もちろん2011年の目標はシリーズチャンピオン獲得、そして同時に“打倒・谷口信輝”ということだろうか。

「そうですね、あえて言うなら“打倒・谷口信輝”。
ひとつだけ具体的に言えることは、谷口さんに『こいつ、面倒くさいドライバーになりやがって』って思ってもらえるドライバーになりたいですね」
 
 
SUPER GTの話題に続いて、次に折目選手には“レーシングドライバー”という職業についてお聞きした。
プロスポーツ選手としてのひとつのジャンルであるレーシングドライバー。しかし、野球やサッカーなどとは違い、“プロへの道のり”は多岐にわたる。
この特集の最後に、折目選手に“プロのレーシングドライバー”として必要なことは何か、についてお聞きした。まずはアスリートに共通する“体力”についてである。

「基本的にはジムに行って、ウェイトトレーニングをやっているのですが、フォーミュラ・ニッポンに乗っている時は内容がかなり濃くなりましたね。ノンパワーステアリングになったタイミングでもあったので、それはそれはハードなトレーニングをしました。
『レーシングドライバーに必要とされる体力はどの部分が最も重要なのか?』というのは、難しい質問でもあります。
ひとつ言えることは、バケットシートに座って全身をシートベルトで留められて、動くのは手と足だけという状態は、心肺機能がとても重要だということでしょうか。フォーミュラの場合、人によっては心拍数が180くらいで走っているんです。
走っていると何度も首を中心に体が左右に動かされるし、アクセルやブレーキ、クラッチを何回も蹴飛ばすし、コーナーリングでは猛烈なGが働いて、血液がグーっと圧迫されて寄ってくるのがわかるんですよ。
そうなると血液が循環しにくくなってしまいます。だから本当にトレーニングが出来ていないと乗れないんです」

レース中のドライバーにかかる身体への負担は、想像を絶するレベルにある。それを克服するためのトレーニングとは、具体的にどのような内容なのだろう。

「とにかく走らされましたね。
たとえばウェイトトレーニングも『15分を何セットかやりましょう』というのではなくて、僕のトレーナーは『何十回を1つのセットにして、何十セットしましょうね』って。それだけで100回を超えるんですよ。
それこそ吐くくらいのトレーニングをしていましたからしんどかったんですが、だんだん耐えられる身体機能がついてきたし、最終的に僕はそのおかげで心配機能の強化が出来たと思います」


基本的な体力を身につけることは当然として、ほかにもプロのレーシングドライバーに求められるものは多い。
折目選手はこれからのレーシングドライバー像とモータースポーツについて、最後にこう締めくくった。

「時代によって、レーシングドライバーに求められることって変わってくる部分があると思います。
他の時代のことを僕が言うべきではないとも思うんですが、たとえば僕が今現在で何を頑張らなければならないかって言うと、ドライバーとして速いというのは当然のことだと思うんですよ。その上でさらに、谷口さんのように“走れて、喋れて”というような柔軟性も、今、そしてこれからのドライバーには必要だと思います。

なぜかと言うと、これからのモータースポーツは何かをしていかないと生き残っていけない気がするんです。ところが残念なことにレースの運営側がやっているプロモーションはまだまだ足りない部分も多い。だからドライバー個人で頑張ることが求められているんです。
オーストラリアのV8-Uteレースもそうでしたが、お客さんやスポンサーさんがレースにお金を落としても良いと思うだけの速さ、そして全体としてのエンターテイメント性、そういうことがこれからはより大切になってくると思います」
これからの、ますますの活躍に期待が集まる折目遼選手。
まずは5月のゴールデンウィークに予定されているSUPER GTの開幕戦で、どのような戦いぶりを見せてくれるのか楽しみなところ。チャンピオンの称号を目指して戦いに挑む折目選手、目を離せない好走を見せてくれることは間違いないだろう。
[UPDATE : 1.Apr.2011]
           
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