2010年11月、V8 Uteへの参戦オファーを受けた折目選手。僅か3週間後にはレース本番という慌ただしいスケジュールの中、日本ではほとんど知られていないオーストラリアのモータースポーツについて情報収集から始めることになった。
折目選手自身も「それまで全く知らなかったレース」と言うが、インターネットで調べて出場する「Sydney
Telstra 500」では3つのカテゴリーが開催されることを知る。
「最初はトップカテゴリーに乗るのかと思っていましたが、そうではないと知って若干落胆した部分もありました。
でも、実際に現地に行ってみたらとんでもない。落胆するような要素はどこにも無くて、とにかく盛り上がり方が凄いレースイベントでした」
SUPER GTを戦う折目選手を驚かせた盛り上がりの凄さ。それは、レース前のテスト段階から実感したという。
「クローズドのコースで2回テストをしました。何の知識もなく車を見せられた最初の印象は『めっちゃ普通のトラックやんか』という感じで(笑)。独特の挙動もあって、それに慣れながら走らせていたら、Uteのレースに日本人が出場するのは長い歴史の中で初めてということもあって、テレビや雑誌や新聞といったメディアが取材にも来てくれていました」
レースと自分自身に対する注目度の高さを感じた折目選手。
無事にテストを終えてレースが行なわれるシドニーへと飛行機で移動していた時に、折目選手はさらにこのシリーズがオーストラリアで高い人気を誇っていることを実感させられることになる。
「10日くらいオーストラリアに滞在したのですが、テストを終えてから国内線の飛行機で移動していたら、隣の席に座ったごく普通のお爺さんが『お前のこと、知ってるぞ』って話しかけてきたんです。
どうして知っているのかを聞いたら、『お前はUteのドライバーだろう。新聞に載っているのを見たぞ。応援しているから頑張れよ』って言ってくれた。
そんなこともあって、Uteというシリーズを含めて、モータースポーツそのものが何か日本とは違う格付けにあるのかな、ということに気づいたんです。テレビをつけたらレーシングドライバーが沢山出ていて、ニュースはもちろん、コマーシャルなんかでも頻繁に登場している。とにかくドライバーがとてもフューチャリングされているということに凄く感銘を受けましたね」