「チャイナラリー龍遊」のラリーウィークに入り、まずはシェイクダウンでトップタイムを叩き出して快調な滑り出しとなった炭山選手。その後の中国での戦いについて振り返ってもらった。
「1日目の最終ステージに“ブーン”と行ったら、“バスッ”っていってタービンのガスケットが吹き抜けてしまいました。そこから、そのステージはずっとノンターボ状態で走って、30秒くらい遅れてしまいました。
たまたま良かったのが、このステージの次が最終サービスだったこと。サービスに戻って20分くらいでタービンを交換しましたが、あれが一発目のステージだったりしたらと思うと、かなり運が良かったですね」
DAY2に入ると、トップを走っていたチームメイトの柳澤宏至選手が残念ながらトラブルに襲われてしまい、代わって炭山選手がトップに立った。フィニッシュまでは、何を思いながら走っていたのだろうか。
「いつものペースで走りましたよ。海外のラリーは、攻めて行けないところは絶対に行けない。無理なところは徐行するなり、ピタッと止めるなり、メリハリに気をつけて走りました。
変なところでミスをしてリタイアしたりマシンをぶつけたりとか、そういうのは何となく全部自分自身で経験してきました。メリハリ、攻めどころ、抑えどころが判っていなかったんですね。それがようやく、今年くらいになってからかな、『抑えるところは、みんな抑えるんだから』ということで、それはどこなのかということが判るようになってきました」
“攻めどころ”と“抑えどころ”。各国を転戦するAPRCでは、その見極めも難しさを増す。
「例えば中国はしびれる道ですよ。僕が知っているAPRCはマレーシアと中国、インドネシア、ニュージーランドくらいなので、いろいろな国を走ったというわけではないですが、国によってキャラクターというか、個性はありますね。中国は岩山が基本。孫悟空にでも出てきそうなやつですね。
各国の個性的な道は、それぞれに難しさもあります。ターマックは別問題としても、グラベルの土質なんかは日本と違ってひとつのステージの中で路面がコロコロと変わったりします。ここで攻めどころと抑えどころの見極めが大切になってきます」
国ごとの個性について、炭山選手はいろいろな勉強になると語る。
「マレーシアなんかはパームツリーの中を走るのですが、道が分からなくなってしまいそうなんです。本来は道がないところに道を作っているので、ペースノートの作り方が重要だと奴田原選手なんかに教わりました。高速コーナーはマレーシアでは無くて、道幅もラインも狭い感じのステージが続きます。
だから大切なのが距離感。ブレーキングの距離とかですね。国内だと景色の変化でコーナーが迫ってくるのが判りますが、パームツリーだらけの中では全くそれがありません。何にも無いところでストレートがいきなりパキッと曲がったり。
いろいろな道で戦うのがAPRC、それだけに色々な勉強が出来ますね」