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炭山裕矢選手 番場彬選手 柳澤宏至選手
 
 
1969年・神奈川県出身。
APRCへの初参戦は2004年。2006年からフル参戦。
炭山選手と同じくキャロッセの社員であり、開発ドライバーを勤める。
CUSCO WORLD RALLY TEAMのエース、柳澤宏至選手。2010年は炭山裕矢選手とともにAPRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)に参戦、日本ラウンドの「Rally Hokkaido」では激しい上位争いを演じて準優勝を飾った。
炭山選手、そして2010年からチームに加わった番場彬選手にとっては“良き兄貴分”という存在の柳澤選手に、APRCやマシンについてお聞きした。
 
 
柳澤選手は2010年、APRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)の開幕戦となる4月の「マレーシア・ラリー」からシーズンの活動を本格的にスタート。5月には第2戦として日本で開催された「Rally Hokkaido」に出場して準優勝を獲得した。その後、出場を予定していた9月のインドネシアは中止となってしまったが、最終戦の中国「チャイナラリー龍遊」に出場した。
2010年のシーズンについて、柳澤選手は次のように振り返る。

「2010年に関して言えば、その前年(2009年)に一年間ランサー・エボリューション]で戦って、車についてはずいぶん仕上がったと思います。2009年にそれまでのインプレッサから“エボ]”にスイッチして、初めて『Rally Hokkaido』に出たときは、成績は3位だったんですがタイム的にはかなり前に離されていました。
それがやっぱり、一年やることによって、かなり差を詰められましたね。
他のチームと比べても、2台の“エボ]”で一年間先行してやって得られたノウハウというのは、とてもプラスにシーズンを通じてなっていると思うんです。
そのプラスを2010年は開幕戦から活かせたので、結果はマレーシアではミスがあったりして残せませんでしたが、チームとしては2台でいろいろなデータを採ることで良いシーズンになったと思います」

データの蓄積は、マシンの進化につながる。
2009年からランサー・エボリューション]にスイッチしたCUSCO WORLD RALLY TEAM、2シーズンでマシンはどのような進化を遂げたのだろうか。

「そうですね、やはり走れば走るほどに改良点というか、『ここを、こうしたい』という点が出てきます。
それは、やはり実戦を走らないと出てこないんですよね。テストで走ってもある程度は出来るんですが、コースなんかは海外は特に国内と違うじゃないですか。やはり海外に行かなければ出来ないことというのもあるんです。
やはり実戦を通じて問題点をどんどん煮詰めていくことによって、トータルの性能は向上していると思います」
 
 
2004年からAPRCへのチャレンジを展開している柳澤選手。一方で2009年には全日本ラリー選手権に久しぶりの参戦を果たし、2010年も新城ラリーのエントリーにその名を連ねた。そんな柳澤選手に、APRCと全日本戦の違いを聞いてみた。

「全日本は全日本で、スプリント的な難しさがありますね。毎年同じようなコースを使っている部分があるので、そのコースに合わせたセッティングも重要ですね。
2010年は新城ラリーに出場しましたが、雁峰(がんぽう)なんかは特殊なステージだという印象です。ああいうところでも、雁峰でタイムを出せるセットアップというものがあるので、そういう面はやっぱり出場してみないとわからないものですよね。
逆にAPRCのように海外は海外でしか採れないデータというものがあります。
いずれにしても“国内と海外”というよりは、そのラリー毎にいろいろなステージに対してのセッティングの引き出しだとか、ドライバーの運転スタイルだとか、タイヤについても選び方とかAPRCならカットの入れ方とか、そういうノウハウが大切ですよね」

ラリーに勝つことは当然として、CUSCO WORLD RALLY TEAMにはパーツやマシンの開発という大きな参戦意義がある。あらゆるステージで鍛え上げられたパーツは、エンドユーザーから厚い信頼を集めている。

「いろいろな部分で引き出しを多く持っていれば、市販のパーツ開発にも活用出来るんです。そんな中で僕たちは、常にトップ争いが出来る良いタイムを出せるかが重要になってきます。トップを争えるタイムを出せないのであれば、仮に最終結果の順位が良かったとしても、トップにはなれないと思うんですね」
 
 
CUSCO WORLD RALLY TEAMは柳澤選手、炭山裕矢選手というキャロッセ社員ドライバーの二人、さらに2010年には期待の若手・番場彬選手が加わって、それぞれが大いに活躍を見せた。

三人の中では“長男格”にあたる柳澤選手に、まずは炭山選手について聞いてみた。

「裕矢(炭山選手)もずいぶんと経験を積むことで速くなっています。裕矢とは運転のスタイルが結構違うんですよ。それはロガーなんかで解析して、お互いに足りないところを補ったりしています。『こういう運転のスタイルでロガーにこう出ているんだったら、どんな風にしたら良いか』なんていう感じです。
セッティングも当然二人の間では違うんですが、一人のドライバーだけでやっていると、いいのか悪いのかが判らなくなったりするこいともあります。でも今は僕と裕矢の2台がいるので、ポンとセッティングを変えても、片方が良くなってもう一方はそんなに良くなければ、セッティング以外の要因に何かあるのかという目星もつけられます。
例えばデフのセッティングを変えたら、運転のスタイルにデフが合っていなかったということだけじゃなくて、その時の互いの足の仕様はどうだったのかとか、いろいろな分析が出来るんですね。競技本番でもゼッケンが近いところにいることが多いので、同じような路面を走ってのデータ採りが出来ますし。
ドライビングでもセッティングでも、お互いに良い刺激になっている部分がありますね」

続いては成長著しい番場選手について。

「番場については、一年やってみて“きっちり走っている”という印象です。車をきちんとゴールまで運ぶということに対しては評価できますよね。完走しようと思っても、そこそこのペースでゴールに車を持っていくというのは難しいものです。彼の場合は全戦完走していますし、北海道にしてもチャイナにしても成績を残しているんで、大いに評価しています。
彼も伸びてきていて、これからが楽しみです」

三人のドライバーが互いに切磋琢磨をしてきたCUSCO WORLD RALLY TEAM。その強さの秘訣を、ドライバーの立場から柳澤選手は最後に次のようにまとめた。

「僕に限らず、裕矢も番場も三人で互いに良いところを吸収して、っていうのが活きていると思います。レベル的に低い人だったら別の話になりますが、ある程度しっかり走れる人間であれば必ず自分より優れているところを持っていると思います。その走りなんかを見て自分も何かに気がつくことができる。この環境はとても良いと思いますよ」

2011年は新たなチャレンジをスタートさせることも発表したCUSCO WORLD RALLY TEAM。多くのラリーファンに期待も背負ってのチャレンジでは、これまで以上の活躍を見せてくれることだろう。
 
2011年はAPRCと全日本戦にチャレンジ、新たにプロトン・サトリアネオを投入!
2011年、CUSCOはAPRCと全日本ラリー選手権に参戦する。
APRCについてはアジア・カップの2連覇を目指して炭山裕矢選手らが参戦。さらに2011年から新設される若手育成クラスでもあるジュニアトロフィーには番場彬選手が参戦するが、マシンは昨年のスイフト・スポーツからマレーシアの自動車メーカーであるプロトン社のサトリア・ネオにスイッチされる。
また、全日本ラリー選手権にも久しぶりにシリーズ参戦。こちらもランサー・エボリューション]に加えて、サトリア・ネオを投入する。
サトリア・ネオについてはCUSCO(株式会社キャロッセ)がプロトン社と契約を結んでおり、日本での輸入販売を行なう。日本では数少なくなったコンパクト・ホット・ハッチバックはモータースポーツユーザーにとって注目の存在。しかもサトリア・ネオの各種スポーツパーツをCUSCOとして開発、販売するというのだから、その戦闘力と熟成進化にも期待が集まるところだ。
 
【Photo Gallery】
【プロトン・サトリア ネオ 主要諸元】
全長×全幅×全高 3905mm × 1710mm × 1420mm 駆動方式 前輪駆動
ホイールベース 2440mm トランスミッション 5速マニュアル
車両重量 1160kg ステアリング 油圧式パワーステアリング
乗車定員 5人(写真は競技仕様車のため2人) サスペンション 前) マクファーソンストラット
エンジン型式 CAMPRO S4PH 後) マルチリンク
エンジンタイプ 水冷直列4気筒 DOHC 16バルブ ブレーキ 前) ベンチレーテッドディスク
総排気量 1597cc 後) ディスク
最高出力 83kW(113ps) / 6000rpm ホイール 15×6.0J
最大トルク 148N・m(15.1kg-m) / 4000rpm タイヤ 195/55R15
燃料噴射装置 マルチポイントインジェクション 生産メーカー プロトン
燃料タンク容量 50Liter 生産国 マレーシア
 
         
 
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