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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.87 News Index
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マレー半島とボルネオ島の一部からなるマレーシア。人口はおよそ2,750万人、ASEAN諸国の中でも工業化やIT化が進んでおり、自動車の世界ではプロトン社が有名な存在である。また農水産業も盛んで、天然ゴムの産地としても有名。
モータースポーツではラリーはもちろん、1999年に開業したセパン・サーキットでF1グランプリやSUPER GTも開催されていることから、モータリゼーションの発展に合わせて全国的な盛り上がりを見せている。
奴田原文雄 選手
>> 公式サイト
こんにちは、ラリードライバーの奴田原文雄です。
昨年はスリランカを皮切りに中国、インドのラリー事情を紹介しつつ、番外編としてはパイクスピークス参戦記やWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)のマカオグランプリも採り上げてきた「奴田原文雄のモータースポーツ漫遊記」シリーズ。
今シーズンも引き続き、アジアに限らず世界各地のラリーを中心としたモータースポーツ事情をご紹介出来ることになりました。

2010年の第一弾はFIAアジア・パシフィック・ラリー選手権。略してAPRC、日本人関係者の間では「アジパシ」と呼ばれるシリーズ、その開幕戦となったマレーシアの地を訪れてADVANとともに戦うユーザーを激励して来ました。
マレーシア・ラリーのホストタウンとなるのは、マレー半島の南端に位置する国境の町ジョホールバル。マレーシアでは首都・クアラルンプールに次いで、2番目に大きな都市です。
クアラルンプールからは陸路ハイウェイを走っても4〜5時間ほどですが、お隣のシンガポールから陸路で国境を越えていくのも便利です。

私も今回はシンガポール経由で現地入りをしましたが、シンガポールとジョホールバルの間は、1kmほどの「コーズウェイ」と呼ばれる陸橋でつながっていて、毎日24時間、多くの人、物、車が国境を越えて往来しています。
国境を越えてシンガポールへ毎日通勤している人達も多いそうで、朝晩の時間帯はかなり混雑しています。

車、バス、列車など多くの交通手段がありますが、今回は荷物も多いのでタクシーを利用しました。国境越え専用のタクシーがあり、入国審査も"ドア to ドア"で、車から降りることもなく、1時間ほどでジョホールバルのホテルに着きました。
FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権(APRC)は、ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)、中東ラリー選手権(MERC)、アフリカ・ラリー選手権(ARC)などと共に、FIAの地域選手権のひとつです。
APRCは今年で23年目を迎えるシリーズですが、初代チャンピオンは三菱ギャランVR-4を駆った篠塚建次郎選手。その栄光ある王座獲得を足元で支えたのが、ADVANラリータイヤでした。

私もAPRCには2003年に参戦しています。
この年のシリーズは、オーストラリア、ニュージーランド、日本、タイ、インドの計5戦でしたが、ロトルア・ラリー(ニュージーランド)で優勝するなど、前半戦は好成績だった記憶があります。しかし残念ながらタイトルを獲得するには至りませんでした。

2010年アジア・パシフィック・ラリー選手権の開催場所は、今回の開幕戦マレーシアを皮切りに、北海道(5月22日-23日)、ニュージーランド(7月3日-4日)、オーストラリア(7月31日-8月1日)、ニューカレドニア(8月28日-29日)、インドネシア(9月25日-26日)、中国(11月6日-7日)と、7カ国を転戦します。

基本的なフォーマットはWRC(FIA世界ラリー選手権)と同じですが、WRCが3日間で開催されるのに対して、APRCは基本的には2日間での開催となっています。
参戦車両はグループNやS2000がメインとなります。シリーズ参戦登録をしている選手の車両も、三菱ランサーやスバルインプレッサ、そしてS2000ではプロトンのサトゥリア・ネオが参戦しています。ちなみにAPRCではワールドラリーカー(WRカー)での参戦はできません。

またポイントシステムもWRCとは少し異なるシステムです。
総合順位に対するポイントはWRCと同じですが、APRCではそれとは別に、1日毎に「DAYポイント」というものが加算されます。DAY1、DAY2それぞれに、その日の順位によりDAYポイントを獲得できるのです。
仮にDAY1でリタイヤし、スーパーラリーでDAY2を出走した場合、総合順位のポイントは付きませんが、DAY2のポイントを獲得することが可能になるのです。
私は残念ながらマレーシア・ラリーには参戦したことがありませんが、その過酷さは容易に想像が付きます。他の東南アジアのラリーに参戦した経験から言わせて貰うと、赤道直下の地域でのラリーは過酷で、とにかく暑いのひと言です。
ドライバーにとっては、コースよりもまず、暑さと湿度、体力の限界との戦いになってきます。そこで多くのチームは、サーキットレース同様に冷たい水を循環させたり、保冷剤を仕込んであるベスト状の「クールスーツ」を準備しています。

しかしラリーの場合、サービスパークが実際に走るステージよりも遠く離れていることが多く、ステージ途中で循環させる水がぬるくなってしまったり保冷剤の冷却効果が無くなって、クールスーツの機能が低下するのが日常茶飯事です。
そんな中、地元のラリードライバー達は、クールスーツ無しに平気な顔で走っているので、驚くやら感心するやらですね。

サーキットレースと違って、走行中のラリーカーのサイドウインドーは、安全上のために完全に閉めなくてはなりません。そのため、日中の気温が40度にも達しようかという中で、車内温度はいったいどうなっているんでしょうか? 私は恐くて、測ったことはありません(笑)。

マレーシア・ラリーのステージは、おもにパーム椰子のプランテーションの中を走ります。先の見えないクレストや、ジャンクション(別れ道)も多くて、とても難しいコースです。
そしてマレーシア特有の路面も厄介です。基本的には赤土で、ドライ路面のときは硬くしまっていてよくグリップしますが、ひとたび雨が降ると非常に滑る路面へと急変します。
多くのドライバーは皆口を揃えて、「雪やアイスバーン路面よりもはるかに滑る」と必ず言います。
気温の上がった日の午後3時頃も過ぎると、空に黒い雲が広がり出し、雷鳴と共に必ずスコールが来ますね。それもバケツをひっくり返したような土砂降りが来るので、これはとても厄介です。
写真をクリックすると拡大画像を別ウィンドゥで表示します。
 
   
 
   
 
         
 
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