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[Vol.1] 2010年、自身4回目のマカオに挑戦 [Vol.2] 波乱の決勝を制して表彰台の中央に!
子供の頃に抱いた“憧れ”をかたちに ADVANとともに戦う“プライド”
     
いよいよ第57回を数える2010年のマカオグランプリは、11月3週目という恒例のレースウィークを迎えた。
11月17日(水)にマカオ入りした織戸学選手。一昨年のWTCC参戦以来、2年ぶり自身4回目のマカオグランプリへのチャレンジである。

「マカオのコース自体は楽しくて僕は好きだし、その点についての不安は全然無かったですね。きっちり自分たちのパフォーマンスを出せば、いいポジションには行けるだろうという手応えも、事前のテストを通じてありましたし」

日本で2回のテスト走行を行って準備が整えられたR35・GT-R『Top Racing TR35 GT800R』。しかし限られたマカオでのレース前の練習走行では、ひとつの大切なチェック項目が残されていた。

「実はGT-Rの場合、ノーマルの燃料タンクだと決勝レースを燃費的に走りきれないんですよ。そこで追加の燃料タンクを装着したのですが、これについては事前のテストが全く出来ていなかった。
練習中に燃料の吸い込みテストなどもやろうということになっていたのですが、練習走行が赤旗中断のまま終了になったりで、ほとんどテストが出来なかったんです。

実質的にまともに走れたのは僅か1周、でもこの時に燃料系の不具合が出た。若干の不安要素ではありましたが、そこですぐに対策を施して。

クルマそのものは1周走って確認して微調整をした程度という仕上がりの良さでした。
あとはタイヤについては、事前にテストした仙台や富士とは路面も異なり、装着している20インチのスリックからのインフォメーションも異なるものがあるので、空気圧の調整などを行いました」


マカオのコースはご承知の通り、日頃は一般道路として使われているものを封鎖して特設されるストリートコース。コースサイドはガードレールに囲まれ、事実上エスケイプゾーンは皆無に等しい。高速型の海側区間と、テクニカルな山側区間で構成され、アクシデントも多いエキサイティングなレースが恒例となっている。
この恒例の“アクシデント”は、決勝に向けて克服すべき“もうひとつの壁”となって立ちはだかろうとは、この時は予想もつかない事であった。
 
     
11月19日(金)、いよいよ公式予選を迎えた織戸選手。
タイムは2分34秒988をマークしたが、惜しくも地元マカオのドライバーが駆るランサー・エボリューションIXに0.009秒届かず2番手となった。


「ポールを奪ったのは去年優勝したクルマで、日本のJUNオートメカニックさんがエンジンを手がけたもので、これが一番のライバルになると思っていました。練習走行が赤旗で終了になったりもしていたので、行ける時に行っておこうということで予選は先頭でコースインしました。そうしたら、後ろからエボがついてきた。
1周をクリアラップで走れたのですが、エボが僕のスリップストリームでついてきていて、僕としては『やられちゃったかな』というのが本音のところ。

本来ならもうちょっとタイムを出せたと思うけれど、ファーストアタックだったこともあって、そんなに無理は出来なかった。その後も行ってはみたものの、遅いクルマに引っかかったり赤旗が出たりと満足にアタックすることは出来なくて、結果的に予選も2周しか計測出来なかったんですよ」


結果的には残念ながらポールポジション獲得こそ成らなかったものの、マシンのポテンシャルが高いレベルにあることは改めて確認できた予選アタック。

「思ったよりもランサーはストレートが速かった。僕は『GT-Rのほうが全然速いだろう』と思っていたのに。
車重が500kgくらいGT-Rの方が重くて、例えばマンダリンオリエンタル・ベンドなんかでもGT-Rは結構減速しないと曲がれないのに対して、ランサーはスピードの“乗り”が良くて速いんですよ。」


このマシンそのものの特性の違いに加えて、コースのキャラクターもどちらかというとランサーに有利な面があったようだ。


「GT-Rはかなりスピードが出るだろうと予想していましたが、データを見るとトップスピードは250km/hちょっとくらい。コース的にランサーの“美味しい”スピード領域だったんでしょうね。GT-Rはここから伸びて、もっと上のスピード領域が得意なんですよ」

事実上、織戸選手の駆るGT-Rは、昨年のウィナーであるランサーとの一騎討ち状態となった。決勝に向けて、織戸選手を中心にチームはひとつの作戦を実行に移していく。

「今回のマカオはスタートからリスボア・コーナーまでが勝負と睨みました。
こちらの予想として、ランサーは予選でかなりブースト圧を上げているだろうから、そのままでは決勝はもたないので下げてくるだろう、と。僕らは逆に予選よりブーストを上げていったのです」
 
     
実は当初のスケジュールでは土曜日の夕方に行われるはずだったロードスポーツ・チャレンジの決勝レース。6.117kmのコースを10周で争うが、今年のマカオグランプリは前日の金曜日から例年以上にアクシデントが多発、WTCCの予選2回目が土曜朝に順延されたことなども影響して、日没によりロードスポーツ・チャレンジの決勝レースは行われなかった。
一時はこのまま決勝はキャンセルされ、予選結果により決勝順位を認定する、という話も出たが、日曜日の朝に順延されながらも決勝は開催される運びとなった。


「日曜日の朝に仕切り直しで行われましたが、僕たちは予定通りにスタート直後に前に出る作戦。
しかし実は残念なことに、GT-Rはスタートが苦手なんですよ。電子制御の2ペダルなので、エンジン回転をスタート前に上げられない。ブレーキを踏みながらエンジン回転を上げようとして同時にアクセルを踏むと、電子スロットルが閉じちゃって回転が落ちてしまうです。
なので、スタートでどうしてもタイムラグが生じてしまう。瞬間的にグワッとスタートするのではなく、一呼吸置いてからウォーンと来る感じ。なので案の定、スタートではやられちゃいました(笑)。
スタートでは一歩譲ったのものの、加速が始まればGT-Rの方が圧倒的に速い。なのでスタートして最初のコーナーであるマンダリンオリエンタル・ベンドのブレーキング手前で抜くことが出来て、目論見どおりにスタート直後でトップに立つことが出来ました」


ところがその直後に多重クラッシュが発生してセーフティカーが導入され、そのままレースは赤旗終了となってしまった。このまま本当に終わりとなるのか、もう一度の仕切り直しがあるのか、なかなか最終的な情報が出ないままに織戸選手ら参加者は待つことを強いられる。

「ここが今回のマカオで一番疲れましたね。土曜日のレースが順延され、さらに再度順延されて、その二日間でテンションを保っていなければならないので大変でしたね。
結果的にはF3の決勝レースが終わった後、日曜日の夕方にマカオグランプリの“トリ”をとるかたちで決勝レースがもう一度、予定通り10周でやり直されることになった。
こうなるとランサーのチームも分かっているから、今度はブーストを上げてきていたみたいでした。それでも午前中と同じように、スタート早々に抜いてトップを奪って。
終盤にセーフティカーが入って、残り3周くらいでリ・スタートになりましたが、そこからはデッドヒート。思ったよりも苦戦しましたが、最後まで抑えきって優勝を飾ることが出来ました」


織戸選手はこうして、自身4回目のマカオグランプリで初めての表彰台の真ん中に立った。


【第57回 マカオグランプリ 公式ウェブサイト >> http://gp.macau.grandprix.gov.mo/app/home/gp57/en
>> マカオロードスポーツチャレンジ決勝結果 (pdfファイル)】 ※pdfファイルの閲覧にはAdobe Readerが必要です。

             

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