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谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー 谷口行規選手・WTCC記念インタビュー
 
 
雨が降りしきる中で繰り広げられたバトル。まさに“抜きつ・抜かれつ”を繰り返した、ゼッケン「72」をつけたマシンに振り下ろされたチェッカードフラッグ。
メインストレートを駆け抜けた瞬間、世界最高峰のスプリントレースであるWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の歴史に、そのドライバーの名前は新たな勝者として刻まれた。

2010年10月31日、岡山国際サーキット。
3回目の日本上陸となったWTCC、その第1レース(シリーズ第19戦)で日本人として初めてYOKOHAMAインディペンデントトロフィーの優勝を飾ったのは、谷口行規選手。

2008年のイタリアと日本の2大会にホンダ・アコードを駆ってWTCC参戦を果たした谷口選手は、1年のブランクを経て今シーズンは新たにシボレー・ラセッティのステアリングを握った。
ドイツ、スペインと実戦を重ねて迎えた岡山。WTCC参戦5大会目にして掴んだ栄冠。その戦いを改めて振り返りつつ、WTCC史に大きな金字塔を打ち立てた谷口選手の素顔に迫ります。
 
YUKINORI TANIGUCHI PROFILE
■谷口 行規 選手
1968年・広島県生まれ。
16歳からゲームプログラマーとしての活躍をはじめ、大学在学中の'93年に大阪でユークスを設立。プロレスを題材としたゲームでミリオンセラーを記録するなどして、'01年には株式を上場。'05年にはプロレス団体を傘下におさめ、ビジネスマンとしての活躍は多方面から注目を集めている。
2002年に鈴鹿クラブマンレースでドライバーとしてレースデビュー、以降スーパー耐久やシビックワンメイクレース、全日本スポーツカー耐久などに参戦。'08年のイタリア・モンツァ戦でWTCC初参戦を果たし、'10年はバンブー・レーシングからシボレー・ラセッティでドイツ、スペイン、日本、マカオの4大会に出場。
 
 
岡山ラウンド決勝終了後。大勢の日本人メディアに取り囲まれて優勝の感想を求められた谷口選手は、開口一番に「ミラクル、ですね!」と語った。
戦いを終えた2日後の11月2日・火曜日。日本人初の栄冠を手中におさめた谷口選手に、改めて優勝の感想を尋ねた。

「この優勝はチームのおかげです。
今年はドイツ戦の前にイギリスでテストをしたのですが、その時に『おっ、乗りやすい車だな!』と思いました。その後、本番のドイツとスペインではセッティングにちょっと苦しんでいたところはあったのですが、いい感じには乗れていたんです」


谷口選手のWTCC参戦は2008年以来2年ぶり。2年前はN.テクノロジーからホンダ・アコード ユーロRを駆っての参戦だった。谷口選手には、まずその時のことを振り返ってもらった。

「あの時もテストをするためにイタリアまで事前に行きました。その時はとても感触が良くて、モンツァでもレース本番の前にテストをしたのですが、その時もフィーリングは良かったんです。前年の同じ時期に開催されたETCC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)のトップタイムに匹敵する記録を残して、ロングラップをかけたら計算上はポール・トゥ・ウィンを獲得できるくらいの速さでした。
『これはイケるんじゃないか?』と期待したのですが、テストを終えて車をばらして再び組み上げられたものに乗ったら、全然違う車になってしまっていたんです。『あれっ?』というままにレースウィークに入って、本番は第2レースでドライブシャフトにトラブルが発生してリタイアしてしまいました」


苦い経験もあった2008年のWTCC参戦。
初のWTCC出走となったイタリア・モンツァでは第1レースを総合21位で完走したものの、前述の通り第2レースはリタイア。そして初めてのWTCC日本上陸となった岡山は第1レースで総合20位、第2レースは総合19位という結果になった。

「あの年は織戸選手や青木孝行選手も参戦しましたが、お二人ともSUPER GTで最後尾スタートから優勝や準優勝をした選手。その“ノリノリ”だった選手も苦戦していたので、そんな簡単に上位に行けるわけもないか、という感じだったんです」
 
 
アコードからラセッティにマシンが替わった2010年のWTCCへのチャレンジ。
ラセッティといえば2008年には、谷口選手とともに日本人として初めてWTCCに参戦した織戸学選手がドライブしたことも記憶に新しい。しかし、日本の常識では考えられないような特殊な癖のあるセッティングに、織戸選手も苦戦を強いられた車種だ。
果たしてアコードとラセッティ、この2台にはどのような違いがあるのだろうか。

「ラセッティは、アコードよりは乗りやすいんです。アコードは、ジェームス・トンプソン選手のスペシャル仕様だったというのがあったんです。クルマ的にも色々と難しい部分があったのですが、世界選手権なのでこんなものなのかな、という感じがありました」


今シーズンのチームは今年からWTCCへの参戦を開始したバンブー・レーシング。イギリスに本拠を構え、香港のダリル・オーヤン選手がYOKOHAMAインディペンデントトロフィーにシーズンフル参戦を果たしている。
谷口選手はドイツ・オッシャーズレーベン戦の前にイギリスへと渡り、テストドライブを行った。

「一番最初にテストをしたときにはスタビライザーが折れたんです。『そんなところが折れるの?』という感じなんですが、それを気づかずに走っちゃったりもしていて(笑)。とりあえず二日間行ったテストは車に慣れることが第一のような感じでしたが、二日目にはセッティングもいくつか試してみたりしました」


やや不安も残る感じでテストを終え、9月5日にドイツ・オッシャーズレーベンで行われた第15&16戦に臨んだ谷口選手。

「オッシャーズレーベンに持ち込むと、テストをしたコースとは違うのでセッティングもあわないことから車の動きも若干変わってきます。それに気づく前に、最初のフリープラクティスはスリックタイヤでコースインしたら雨が降り始めてしまいました。どこがブレーキングポイントなのかも分からないうちにコンディションが変わってしまいました。
2回目のフリープラクティスは、最初からレインタイヤで行ったら雨が止んで、すぐにライン上が乾き始めました。コースを覚えたいということもあって、そのままレインタイヤで走っていたら、クラス2番手くらいのタイムを出せたんです。その後、みんながスリックタイヤに換えてタイムアップしていったら、そこにはついていけなかったのですが、悪くは無かったんです。
走行後にチームと話したら、それまでの左右対称なセットではなく、コーナーリングを重視したセットを試していたというんです。これがバッチリ当たった感じですね」

ドイツ戦は第1レース(第15戦)で総合17位/インディペンデント7位、第2レース(第16戦)では総合14位/インディペンデント4位の成績をおさめた谷口選手。
その後、一週間を置いて9月19日に開催されたスペイン・ヴァレンシア戦では第1レース(第17戦)で総合17位/インディペンデント6位、第2レース(第18戦)は総合18位/インディペンデント7位というリザルトを残した。

過去最高位となるインディペンデント4位をドイツで記録、全4レースを完走していよいよ次の舞台は日本・岡山国際サーキット。谷口選手はいよいよ母国で自身5回目となるWTCCを戦うことになる。
 
           
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