アコードからラセッティにマシンが替わった2010年のWTCCへのチャレンジ。
ラセッティといえば2008年には、谷口選手とともに日本人として初めてWTCCに参戦した織戸学選手がドライブしたことも記憶に新しい。しかし、日本の常識では考えられないような特殊な癖のあるセッティングに、織戸選手も苦戦を強いられた車種だ。
果たしてアコードとラセッティ、この2台にはどのような違いがあるのだろうか。
「ラセッティは、アコードよりは乗りやすいんです。アコードは、ジェームス・トンプソン選手のスペシャル仕様だったというのがあったんです。クルマ的にも色々と難しい部分があったのですが、世界選手権なのでこんなものなのかな、という感じがありました」
今シーズンのチームは今年からWTCCへの参戦を開始したバンブー・レーシング。イギリスに本拠を構え、香港のダリル・オーヤン選手がYOKOHAMAインディペンデントトロフィーにシーズンフル参戦を果たしている。
谷口選手はドイツ・オッシャーズレーベン戦の前にイギリスへと渡り、テストドライブを行った。
「一番最初にテストをしたときにはスタビライザーが折れたんです。『そんなところが折れるの?』という感じなんですが、それを気づかずに走っちゃったりもしていて(笑)。とりあえず二日間行ったテストは車に慣れることが第一のような感じでしたが、二日目にはセッティングもいくつか試してみたりしました」
やや不安も残る感じでテストを終え、9月5日にドイツ・オッシャーズレーベンで行われた第15&16戦に臨んだ谷口選手。
「オッシャーズレーベンに持ち込むと、テストをしたコースとは違うのでセッティングもあわないことから車の動きも若干変わってきます。それに気づく前に、最初のフリープラクティスはスリックタイヤでコースインしたら雨が降り始めてしまいました。どこがブレーキングポイントなのかも分からないうちにコンディションが変わってしまいました。
2回目のフリープラクティスは、最初からレインタイヤで行ったら雨が止んで、すぐにライン上が乾き始めました。コースを覚えたいということもあって、そのままレインタイヤで走っていたら、クラス2番手くらいのタイムを出せたんです。その後、みんながスリックタイヤに換えてタイムアップしていったら、そこにはついていけなかったのですが、悪くは無かったんです。
走行後にチームと話したら、それまでの左右対称なセットではなく、コーナーリングを重視したセットを試していたというんです。これがバッチリ当たった感じですね」
ドイツ戦は第1レース(第15戦)で総合17位/インディペンデント7位、第2レース(第16戦)では総合14位/インディペンデント4位の成績をおさめた谷口選手。
その後、一週間を置いて9月19日に開催されたスペイン・ヴァレンシア戦では第1レース(第17戦)で総合17位/インディペンデント6位、第2レース(第18戦)は総合18位/インディペンデント7位というリザルトを残した。
過去最高位となるインディペンデント4位をドイツで記録、全4レースを完走していよいよ次の舞台は日本・岡山国際サーキット。谷口選手はいよいよ母国で自身5回目となるWTCCを戦うことになる。