一方、ターボエンジンを搭載してパワフルな素性の持ち主であるシルビア。S15型が搭載しているSRエンジンとはどのような特性の持ち主なのかを岡村選手に聞いてみた。
「SRエンジンは、10年くらい前までは『ガラスのエンジン』などと言われてた。みんな380馬力ぐらいまでパワーアップして壊しちゃっていたんだよ。
でもオレたちが頑張って勉強するようになって、壊れなくなった。今乗っているクルマだって600馬力ぐらい出ているけれど、そこまでパワー上げてもトラブルが少ない。
他の車種ではパワーを上げていくと1年間で1機のエンジンじゃ走れないものもある。でも、このクルマなんて3年くらいオイル交換だけで、そのまま600馬力で走れちゃうんだから。4気筒のコンパクトなエンジンのわりに馬力もトルクも出せる。それが支持されている理由じゃないかな。
こうなったのも、我々がウイークポイントを発見して、ECUのマップとか、ここをこうすれば壊れなくなるということがわかったからだと思う。
今日もこれだけいっぱいいても、SRでエンジンブローしてるクルマって、ほとんどいないでしょう?」
ベースエンジンの素性の良さを見抜き、耐久性の向上も含めたポテンシャル向上を果たすためには、岡村選手らチューナーが日々積み重ねてきた努力が背景に存在していることは決して忘れられない事実。
ところで耐久性といえば発熱が多いターボエンジンならではの部分として冷却性能の向上も大切な項目である。
「自分のS15はエアコンも外したし、エンジンの仕様からしても、水温が上がるような心配はないよね。
ヤシオファクトリーはもともとラジエター屋だし(笑)、S15用のラジエターも何種類かラインアップしているけど、この車には『スーパーライトR』という、銅3層のコアを使用したタイプを使っているんだ。アルミも設定しているけど、ドリフトはこれで十分。
もうひとつはエンジン特性。GT3037タービンを使っているけれど、これがすごくパワーを出してくれる。ブーストは1.7kgf/cm2。ドリフトは下があればあるほどいいから、そのあたりも勉強して、あまり回さなくてもパワー&トルクが出るようにセットアップしている。
同じエンジンだけど、グリップだけではなくてドリフトもやることによって、さらに勉強して、チューニングという部分についても、どんどん進化しているんだ。勉強しないと置いていかれちゃうんで(笑)。」
自らドライバーとしても活躍する岡村選手、数々の経験がチューニング技術に反映されているのは言うまでもないだろう。