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インタビュー
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世界的にクルマの高効率化や安全性の向上が進み、居住空間をより広く、一方でエンジンはより小さく、という方向が顕著になってきた。
その結果として今や大排気量エンジンはV型が主流。一昔前に憧れの対象でもあった「直列6気筒エンジン」は絶滅に近い状態にある。
 
そんな"直6"を搭載したクルマ、それも一般的にはマイナーと言われる車種でD1グランプリに参戦を続ける選手がいる。
ソアラを駆る上野高広選手と、ヴェロッサの廣田友和選手だ。

「ソアラって無駄に大きいところがあるじゃないですか。こいつの車高を下げてエアロを組むと、凄く格好良くなるんですよね。JZZ30型のソアラはとにかく大好きなので、今は合計で9台所有していますよ。」

こう語るのは上野選手。「上野選手=ソアラ」のイメージはすっかり定着しているが、同じモデルを9台も持っているというのだから、ソアラに対する想いの深さがうかがえる。

「最初に乗っていたのはシルビアでした。そのうちにセダンが欲しくなって、マークIIを2台乗り継ぎました。そのマークIIもくたびれてきてしまったので何か次の車に乗り換えようと思っていたところに、T&Eから『オートサロンに出品するエアロを作りたいので、買うならヴェロッサにしてほしい』と言われまして。ホントはJZX110型はマークIIの方が好みだったんですけれどね(笑)。」

廣田選手とヴェロッサの出会いは、意外にも自ら進んで選択したものではなかった。しかしD1グランプリで独特の存在感を放つヴェロッサと廣田選手は今や一心同体。上野選手とソアラの関係のように、"切っても切れない仲"と言えるだろう。
 
ソアラとヴェロッサの共通項として第一に直列6気筒エンジンを挙げたが、さらに言えば「大きく重たいクルマ」であることも通じている。
果たしてD1の世界において大きく重いクルマで参戦することには、どのようなメリット/デメリットがあるのだろうか。
この点について、まず上野選手に聞いてみた。

「まずデメリットは・・・、ないでしょう(笑)。重いこと自体はデメリットなのかもしれませんが、それは重いクルマに合わせた走りをしてやればいいだけの話ですよ!
逆に大きいクルマは作るときにメリットもありますしね。例えばエンジンルームに余裕があるので、後ろの低い位置にエンジンを搭載することが比較的簡単に出来ます。」


しかし、さすがに廣田選手は重さのデメリットは無視できないようだ。

「重いことはデメリットでしかないんじゃないですか?(笑)
自分もたまにシルビアなどに乗ると、すごく乗りやすく感じますからね。でも、軽いクルマに慣れている人は重いクルマを操ることは難しいでしょう。だから自分を鍛える意味で、なるべく軽いクルマには乗らないようにしています。」
 
では、重いクルマで上手くドリフトするための走らせ方というのは、どのようなものなのだろう。
 
「例えばエビスサーキットなら、最終コーナーから1コーナーまでアクセルを踏みっぱなしで来て、そこから思い切り"止める作業"をしてやれば、トラクションがあるのでしっかり止まってくれます。次にきちんと止まってからアクセルを入れてやると、やはりトラクションがあるのでクルマがきちんと進んでくれます。むしろ自分とソアラにとってはエビスは今や得意なコースですよ。」
 
こう語る上野選手。では廣田選手はどうだろうか。
 
「やはり重いとハイスピードコースは得意にするのは難しいですね。上野さんはエビスを得意にしていますが、自分の場合は最終コーナー手前などはとてもタイトですし、右から左への瞬間的な動きなどが重いクルマでは本当に大変。直線でコース幅をいっぱいに使いたくても自由度が少ないんですね。
でも、やっていて楽しいからヴェロッサでいいんです! 乗りたいクルマでドリフトすることがなにより基本ですよね!」
 
レースでは「勝てるマシン選択」が重要だが、エンターテイメント性の高いドリフトは「目立つ」こと、そして「ドライバーが乗って楽しいと思えるクルマ」を選ぶことが大切。
ソアラとヴェロッサ、ともに個性的なマシンを駆る両選手だが、共通項である直列6気筒エンジンについて聞いてみよう。
 
「1J&2Jエンジンはトルクが豊かなことと、なにより壊れないことが最大の武器です。コストパフォーマンスも高いし、簡単にパワーを出すこともできるエンジンですね。」

上野選手がこう絶賛すると、廣田選手も続ける。

「僕のエンジンもいわゆる"1.5J"で、排気量を3000ccにしています。ゆえに1Jよりもトルクが厚くなっていますね。パワーは600psくらいなのですが、やはりクルマが重いために体感的には550psくらいのイメージです。」

もう少し細かく、1J&2Jエンジンの特性について上野選手はこう語った。
 
「ややエンジンブレーキが弱いという傾向もありますが、エンブレに頼るよりはブレーキを必要とするときにガツン!とブレーキペダルを踏んでやればOKでしょう。ただ、クルマの重さの影響はありますから、コースによっては追走相手においていかれたり、流されたりということもありますから要注意。
クルマとしては先程も言ったようにトラクションがありますし、メカニカルグリップも高い。それに装着しているADVAN Neova AD07の圧倒的なグリップも味方してくれますから、あとはエンジンパワーが十分にあれば良しというところです。」

 
更に廣田選手が続ける。

「僕もエンブレを使うよりは、ブレーキをバンッ!とかけますね。今回は車高調を換えてきましたが、クルマ自体の動きがとても大切なんです。もっともまだセッティングは決まっていませんが・・・(笑)。ヴェロッサはリアが比較的軽いので、荷重を後ろ寄りにしたほうがマイルドな動きになって良いのではないかと思います。」
 
さて上野選手といえばエアロパーツ開発でもお馴染みだが、ソアラとヴェロッサに装着されているエアロパーツについてお聞きした。
 
「ソアラのエアロはD1で勝つために作りました。ソアラの弱点を補うためのエアロなんですよ。ワイドトレッドにして切り角を拡げて、スペースをつくっているのですが前後ともに50mmワイドにしています。サスペンションも良いジオメトリーにするために、アームから全部換えています。」
 
ヴェロッサに装着されているエアロはどのようなものか、今度は廣田選手にお聞きした。
 
「エアロについてはT&Eに全て任せています。ヴェロッサを買った当初はエアロに合わせてフェンダーを自分で叩いたりもしましたね。結局は今でも何かあると自分で鈑金屋さんのように叩いているのですが(笑)。」
 
ソアラとヴェロッサ、ともに直列6気筒を搭載するマシンを駆るお二人。
最後に直列6気筒エンジンへの想いを語っていただいた。
 
「1Jエンジンは壊れない。そしてレブリミッターまで回した時のサウンドが最高に気持ちいいんですよ。本当に1JZにして良かったなと思っています。」
 
こう語る廣田選手。しかし直6への想いは上野選手も負けていない。
 
「市販車はV型が多くなってきて、それはそれで悪くないと思います。でも、僕たちのようにチューニングをしていくと、直6は乾いた良い音が出るんですよ!直6独特の良い味がありますが、どうして自動車メーカーは直6をやめてしまうんだろう、って思いますよね。」


スペック
上野高広選手/ソアラ
エンジン型式 2JZ換装
最高出力 650ps
ターボチャージャー T04Z
エンジン関連 主にHKS製
トランスミッション ゲトラグ製6速
クラッチ ORC製 709ツインクラッチ
LSD ATS製 Deftforce
サスペンション/ダンパー HKS製 HIPER MAX D’
ブレーキ プロジェクトμ
エクステリア VERTEXRIDGEフルキット
T&Eドライカーボンドア
タイヤ ADVAN Neova AD07
F) 255/35R18
R) 265/35R18
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廣田友和選手/ヴェロッサ
エンジン型式 2JZ(3000cc仕様)換装
最高出力 600ps
ターボチャージャー T04Z
エンジン関連 主にHKS製
トランスミッション ノーマル5速
クラッチ ATS製 カーボンツイン
LSD ATS製 2WAY
サスペンション/ダンパー HKS製 パフォーマ
ブレーキ T-ZEROパッド
エクステリア VERTEX
タイヤ ADVAN Neova AD07
F) 235/40R18
R) 265/35R18
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プロフィール
上野 高広
=Takahiro Ueno=

1971年・神奈川県出身。
D1グランプリには発足初年度から一貫してJZZ30型ソアラで参戦を続ける。
エアロパーツを開発・販売するT&Eの代表としてのその名を知られており、自らのD1参戦から生み出される商品の数々は高い人気を誇っている。
 
廣田 友和
=Tomokazu Hirota=

1976年・神奈川県出身。
2002年の第4戦・筑波にヴェロッサでD1グランプリ初参戦。同年と翌'03年のスポット参戦を経て、'04年より本格参戦。第6戦に初の予選通過を果たし、'06の第3戦・富士で念願のベスト16初進出。
今年はコンスタントにベスト16に顔を出し、強豪ドライバーの一人に数えられている。
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