■ゲストドライバー : 谷口 信輝さん
Lotus Cupは規則がしっかりしていて、マシンのイコールコンディション化が図られています。そのため、ドライバーのテクニック勝負という性格が強く、ここが面白いところですね。
適度なパワーがあり、駆動方式はFR(後輪駆動)。そしてタイヤはレーシングタイヤではなく、ADVAN
Neova AD07LTSを使っていますので、高い安全性の下でドライビングスキルを磨くのに丁度良いカテゴリーですね。
当初思っていた以上に、上位陣の皆さんは速い方々が集まっていました。僕も練習走行でその点に気づいて、ちょっと本気になりましたね(笑)。
決勝の終盤はピストン西沢選手などとのバトルを純粋に楽しみました。トップでファイナルラップを迎えたのですが、ゲストドライバーとしての参戦でしたから「本当にこのままトップで終わっていいの?」という思いもありましたよ。
でもトップを譲るのもおかしな感じですし、やっぱり"勝つと嬉しい"というよりは"負けると悔しい"じゃないですか(笑)。
ところでこのロータスですが、走らせるコツがいくつかありますので最後にご紹介していきましょう。
【繊細なコーナーリングを実践しよう】
ロータスはミッドシップレイアウトの車。そのため、巧く曲げていかないといけません。
例えばコーナーリング中にアクセルを必要以上に踏み込むと、ノーズがリフトアップしてアンダーステアが顔を出してきます。
逆にフロント荷重をかけた状態で無理に曲がろうとするとオーバーステアになってしまいます。
軽量なミッドシップなのでドライバーの操作が顕著にクルマの挙動になって現れますので、繊細なコーナーリングが要求されます。
【ABS付きのブレーキを使いこなそう】
ブレーキにはABS(アンチロックブレーキシステム)が備わっているので、ブレーキング時にロック状態になることはありません。
しかし、それに甘えると必要以上にコーナー進入で奥まで行ってしまいがちです。ABSがあるとフロント荷重のコントロールをしにくいので、突っ込みすぎには要注意です。
しかしライトウェイトスポーツならではの走りとしてブレーキングを我慢してのコーナーリングも必須。場面によっては奥まで突っ込んでいく必要性も生じるでしょうから、ABS付きブレーキでのターンインのコントロールを状況に応じてきちんと実践することが求められます。
【LSD未装着ということを念頭に】
LSD(リミテッドスリップデファレンシャル)は装備されていないのですが、ここはひとつの"ミソ"になります。
コーナーリングで突っ込んで行ってステアリングを"グイッ"と切ると、内側リアタイヤの接地が薄くなってしまうためにオーバーステアを誘発してしまいがちです。
そこで駆動をかけたとしても、内側のリアタイヤがホイルスピンして前に進んでくれなくなります。こうなってしまうと、ただでさえ限られているパワーを大きくロスしてしまうので、立ち上がり加速が決定的に鈍ってしまいます。
全体的にまとめると、ABSブレーキングのターンイン・コントロール、コーナーリング中のリアタイヤの接地とトラクションの確保が大きなテーマになると言えるでしょう。
また、直接の"走り"には関係ありませんが、待ち時間に行なわれている他のカテゴリーのレースを時間の許す範囲内で見ておくことも大切です。
例えば今回、僕は他のレースでスタートシーンをいくつかチェックしておきました。スタートシグナルのタイミングを確認しておきたかったのですが、結果的にタイミングを掴めたことでレース本番では好スタートダッシュを切ることが出来ました。
特にあまり慣れていないコースでは情報を沢山収集する努力は必要。いろいろな情報を持っている人は、やはり有利になるものです。