2007年、75回目を数えるに至ったル・マン24時間レース。
横浜ゴムは24年連続でル・マンへの挑戦を続けてきているが、今年の大会では2台のマシンがADVANを装着して長く過酷な戦いに挑む。
一台はLMGT1クラスに参戦するランボルギーニムルシェラゴ。日本のランボルギーニ・オーナーによって結成されSUPER
GTシリーズでも活躍するJLOCから、M.アピチェラ選手/余郷敦選手/山西康司選手がエントリー。
もう一台は名門チームとしてその名を知られるザイケルモータースポーツがLMGT2クラスにポルシェ911GT3-RSRで参戦する。こちらはP.コリン選手/H.フェルバーマイヤーSr選手/H.フェルバーマイヤーJr選手がステアリングを握るが、彼らはプロフェッショナルドライバーではなく、純粋にレース参戦を楽しむジェントルマン・ドライバーである。
例年通り、ル・マン24時間レースはジャコバン広場での公式車両検査から本格的にレーススケジュールが動き出す。
車検2日目にはJLOCのランボルギーニが車検場に姿を現したが、広場を埋めたル・マン市民やヨーロッパ各地から訪れた多くのモータースポーツファンから高い注目を集めていた。
車検が終わるとこちらも恒例のフォトセッションとなるが、報道陣はもちろんのことファンが手にした多くのカメラからも絶え間なくシャッターを切る音が聴こえてきた。
日付が13日になり、いよいよ迎えるのが公式予選1回目。
この予選は19時〜21時の第1セッションと22時〜0時の第2セッションにわかれている。時刻だけを聞くと日本の感覚はともに夜間走行というイメージになるが、第1セッションの時間帯についてはル・マンはまだまだ明るく昼間と何ら変わりない視界が確保されている。
太陽は第2セッションスタートから間もなくして沈んでいくが、この予選でベストタイムを刻みやすいのがスタートから太陽が沈むまでの第2セッション序盤。
明るさと視界が残り、かつ気温が下がっていくこのタイミングに合わせて各車は最終調整をかねて第1セッションへとコースイン。
まずはランボルギーニが4分06秒223、ザイケルのポルシェも4分17秒750をマーク、順調に周回を重ねていくものと思われた。
しかし、そこにまさかの情報が。JLOCのランボルギーニがスピンを喫してクラッシュしたというのである。
程なくしてモニターに映し出されたのは、リア部分にダメージを負ってコース上にストップしているランボルギーニの姿だった。この車両回収のためにセッションは一時中断となる。
幸いにステアリングを握っていたM.アピチェラ選手に怪我はなかったものの、マシンのダメージが想像以上にひどく、メカニックは徹夜での修復作業を進めることになる。
22時にセッション2がコースオープン。
ザイケルのポルシェは順調にコースイン、ヘッドライトを必要としない序盤の時間を第2、第3ドライバーの慣熟走行に充てて周回を重ねる。
長丁場のル・マン、無理に予選タイムを追い求めるのではなく、各ドライバーのレースラップを安定させるための習熟走行を増やすことは、ドライバー間にもしラップタイムの格差が大きいと決勝での順位に多大な影響を与えることを知っているP.ザイケル監督ならではの采配である。
ザイケル監督は2000年からル・マン参戦でADVANを使用。翌'01年にはGT2でクラス優勝を飾り、昨年もフィニッシュ2時間前までクラストップ、最後は惜しくもトラブルに見舞われたものの準優勝を飾った高い実績を誇る。
長丁場に向けて確実に必要とされるメニューをこなしていく高いチームの力、決勝での好成績が期待されるところである。
【>> 公式予選1日目 結果表】