いきなり30年前の思い出話を書いてしまいましたが、私はタイヤサービスのまとめ役として長くマカオに携わってきています。
サーキットでもパドックの片隅にタイヤサービスガレージがあるのを見た、というモータースポーツファンの方も多いことでしょう。ここでは我々タイヤサービススタッフが、レーシングマシンが履いているタイヤの組み替え作業を主に行っています。
タイヤの組み替えは、ガソリンスタンドやカー用品店などで見たことがある、という方もいらっしゃるでしょう。基本的な作業としては一般市販車もレーシングマシンも同じ。ですが、ハイスピードで限界領域の走行をするレーシングマシンの場合は、より正確で丁寧な作業が求められます。それと同時に、レースは分刻みのスケジュールで動いていますから、限られた時間の中で迅速に作業をしなければなりません。
特にマカオ・グランプリはワンメイクのF3などに加えて、サポートレースでもヨコハマタイヤを装着する選手が多いので、組み替え本数も桁違いに多くなります。
そんな中でタイヤサービスを行う上で心がけていることは、初年度から一貫しています。
まず、機材をしっかり事前整備しておくこと。現地で故障して使えない、よってタイヤも組み替えられない、などという事態は絶対に許されませんから、ここは大切なポイントになります。
そして現場に入ったら、均一で正確な作業を行うこと。ヨコハマタイヤの高品質を、さらに品質の高いサービスで、持てるパフォーマンスを出し切れる状態で選手やチームに渡すことが、タイヤサービスの使命なのです。
まとめ役としての私は、もちろん組み替え作業にも従事していますが、それに加えて数十人規模になるサービススタッフの個々の体調変化を見極めたり、配置を最適に振り分けたり、休息を入れるタイミングを見計らったりしています。それらは全て、レースウィークを通じて安全操業を実現させるためです。
さらに言えば、就業後も食事などを通じてスタッフ間のコミュニケーションを深めるなど、気遣いに専念する役回りでもあります。