マカオ・グランプリの現在のメインレースは、国際規格によって世界各地で競われているF3(フォーミュラ3)と、2005年に発足したWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)だ。このフォーミュラカーレースとツーリングカーレースがツートップとなり、さらに数多くのサポートレースは4輪のみならず2輪のカテゴリーも組み込まれている。
そして、特に注目を集めるのがF3だ。
FIAインターコンチネンタルカップのタイトルも賭けられた一戦には、世界各地のF3シリーズを戦って、好成績をおさめた猛者たちが集結する。発表されている2012年のエントリーを見ても、ユーロ、イギリス、ドイツ、そして全日本を戦ってきたドライバーたちが顔を揃え、まさに“F3世界一決定戦”と呼ぶに相応しい内容だ。
ここでおさらいしておくと、F3とはサーキットレースのフォーミュラカテゴリーにおいて、頂点のF1(フォーミュラ・ワン)、その次のポジションとなるF2(フォーミュラ2)やGP2に続く位置づけのカテゴリー。世界のモータースポーツを統括するFIA(国際自動車連盟)が定めた統一規則に準じたマシンで競われている。
この統一性がF3の大きな特徴であり、シャシーやエンジンはいくつかのメーカーがそれぞれ供給を行うが、同じ規則の下でマシンは造られるためシリーズをまたいだ交流が容易に行える。ゆえに“世界一決定戦”と呼ばれるマカオ・グランプリには、各シリーズを戦う選手たちが、自分のマシンを持ち込んで覇を競い合えるのだ。
F3というカテゴリーは、さらなる高み、より具体的に言えばF1を頂点としたピラミッドのより上位へとステップアップを目指す、期待の若手ドライバーたちが主役をつとめている。そのような選手たちにとって、“F3世界一決定戦”とも呼ばれ、世界中のモータースポーツ関係者やファンが注目するマカオ・グランプリは、飛躍に向けて用意された大舞台と言えるだろう。
事実、このマカオ・グランプリで活躍を見せ、憧れのF1ドライバーの座を射止めた選手も数多い。
その代表的な例を挙げるとすれば、マカオ・グランプリにF3規格が初めて導入された1983(昭和58)年、この年の優勝者こそが3度のワールド・チャンピオンに輝いた伝説のドライバー、アイルトン・セナ選手である。