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■桂 伸 一 さん
自動車専門誌からウェブまで、幅広いメディアを通じて新車インプレッションなどを発表しているモータージャーナリスト。レーシングドライバーとしても往年のグループAやN1耐久で活躍、近年はニュルブルクリンク24時間レースなどに参戦。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員などをつとめ、車やタイヤが持つ性能を極限まで引き出すことの出来る走りと、わかりやすいレポートがユーザーから多くの共感を呼んでいる。
ADVAN Sportに乗って、まず感じることが安定性の高さです。
ステアリングのニュートラルといわれる部分、中立付近での安定性が高いところが、特に高速走行では有効ですね。
次にコーナーリングですが、ステアリングを切って曲がっていく時に、とてもスムーズに車のノーズが入っていきます。
応答に遅れが無いし、急にシャープになったり唐突に曲がるというのではなくて、ドライバーが「こう曲がってほしい」と思ってステアリングを切ると、その通りに曲がってくれるんです。ここはドライビングの気持ちよさを味わえる部分ですね。
高速領域で言えば、S字のスラローム走行でも、本当にしっかりとタイヤが路面を捕らえてくれていることを感じられます。
たとえば高速道路を走っていてレーンチェンジをした場合を想定すると、車線を変えてからの収まりがいいんです。
日本の道路では100km/hまでの領域に限られますが、ヨーロッパでは200km/hを超えるような高速でのレーンチェンジも日常的にあるわけです。では、「それだけの性能を有するタイヤを日本で使うとどうなんだ」という話になると、それがすべて「余裕」として使えるわけです。
クローズドコースでの試乗では、相当に高い速度でスラロームやコーナーリングをしましたが、タイヤがしっかりグリップして路面を捉えていましたね。
高いグリップ性能を持つADVAN Sportですが、乗り心地も素晴らしいですね。
路面の段差を乗り越えた時に、フワフワしていない。これがいわゆる「ダンピング性能」ですが、とても良いですね。
これだけのグリップ性能を持つと、普通はタイヤがかなり硬いものになるのですが、ADVAN Sportは乗り心地の滑らかさやロードノイズの少なさも素晴らしい。ハンドリングの良さと快適性が、とてもバランス良く“しなやかに”まとまっているという印象です。
今回のテスト車であるBMW Z4には、シュニッツァー製の足回りが組み込まれていました。当然、コーナーリング性能そのものが相当に高いレベルにあるのですが、サスペンションのチューニングレベルの高さにADVAN Sportがしっかり合っていました。
ヨーロッパ車の足回りは、高速走行を日常的にこなせるようなセットアップがされています。それに対してタイヤがしっかりしていないと、サスペンションの良さを引き出せません。その点、ADVAN Sportは足回りの良さを活かすタイヤに仕上がっていますね。
総合的に見ると、ADVAN Sportはフラッグシップを標榜するだけあって、乗り心地の良さとスポーツ性能が絶妙のバランスを見せているという印象です。トータルで見て、フラッグシップの名に相応しいタイヤだな、と。
それは、ヨーロッパの“走り”を重視した自動車メーカーが新車純正装着タイヤとして採用していることからも明らかです。このことが、ADVAN Sportが高品質なプレミアムタイヤとして認められたことの証ですよね。