そういった反省もあって、FD2型シビックが投入される際には、綿密な先行開発が行われたという。
「シビックでまたそんなふうになったらいけないということで、発売前にマレーシアのセパンサーキットに行って、相当な距離を走っているんです。その時にタイヤはヨコハマタイヤさんしか開示ができないということになって、ヨコハマさんでスタートして。
インテグラの最後2年も、シーズンごとメーカーを変えてタイヤをワンメイクにしていたのですが、FD2型シビックではヨコハマさんのワンメイクにしたのは、そういう理由によるんですよ」と安井さん。そうした信頼関係は、今日まで続いてきた。
話をFD2シビックの開発に戻そう。やはり入念にテストが行われたことで、大きなトラブルには遭遇せずに済んだという。
ただし、「サスペンションのセッティングには、皆さん苦労していたようですね」と安井さん。特にリアのレイアウトに余裕がなかったのが理由だったというが、それもまた無限の対策とチームの努力によって解消されていった。
「AT型(ワンダー・シビック)こそ、トーションバーで特殊でしたけど、EF3型からウィッシュボーンになってサスペンションがすごく良くなったんですね。本当にそれ以降のシビックはコーナリングマシンでした。エンジンだってすごく良かったと思いますが、今だったら考えられない、お金のかかったサスペンションでしたから。
素性が良かったから、それに助けられて、どんどんエントラントが増えていったんでしょうね」と安井さんは語る。
さて、残念ながらシビックレースはこれまでに紹介したとおり、2013年を限りに終了し、幕を閉じることとなった。だが、ホンダのワンメイクレースはスタイルを変えて継続される。
そのひとつが軽自動車のN-ONEによるナンバーつきレース、「N-ONE OWNER’S CUP」で、鈴鹿、富士、岡山、もてぎ、SUGO、オートポリスを舞台に全8戦を開催。パドルシフトつきのCVTミッションを装着するが、「かえってハンドルとアクセル、ブレーキだけに集中できるので、物足りなさを感じることはない」と、すでに行われたデモラン参加者は語っている。
そして、もうひとつは発表されたばかりのフィットでの展開。鈴鹿クラブマンレースに「フィット1.5チャレンジカップ」が第3戦から新設される他、ワンメイクレースではないが、もてぎチャンピオンカップの「1.5チャレンジカップ」にも、無限はパーツの供給、サポートを行っていく。なお、今年はSUGOでのレースも加え、全6戦で争われる予定だ。
これからもホンダのワンメイクレースから、目が離せそうもない。