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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.135 News Index
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海外のラリーステージで鍛え上げられたADVAN A053にとって、日本国内においてはダートトライアルも活躍を見せる舞台のひとつだ。2種類用意されたコンパウンドのうち、Sコンパウンドは特に距離の短いダートトライアルでの戦闘力も考慮に入れた日本仕様の開発が進められてきた。
硬質路面が多いダートトライアルでは、砂利の掃けた2本目でADVAN A036勝負となるケースも多いが、2013年の第3戦・スナガワでデビューを飾ったADVAN A053の日本仕様は、続く第4戦の門前で1本目に炭山裕矢選手がベストタイム、川崎修也選手がセカンドベストを刻むなど、そのポテンシャルを遺憾なく発揮している。
SA2クラスで三菱・ランサーエボリューション]を駆る荒井信介選手。ダートトライアル界においてヨコハマタイヤのグラベルタイヤを最も熟知し、使いこなして幾多の栄冠を手中におさめてきた選手の一人である。最終戦までチャンピオン争いを演じてきた荒井選手は、第5戦の切谷内で不安定な天候による難しいコンディションの中、2ヒートともにADVAN A053を選択。1本目からベストタイムを刻み、215/60R15サイズのADVAN A053・日本仕様の全日本ダートトライアル選手権初優勝を飾っている。

その荒井選手に、まずはADVAN A053とADVAN A035の違いについてお聞きした。

「ADVAN A053というタイヤは、ADVAN A035と硬質路面用のADVAN A036のちょうど中間的な位置づけで使えますね。“ジャリジャリ”の路面もけっこういけるので、ADVAN A035の領域をまるっきりカバーした上で、ADVAN A036の領域の一部までも大丈夫なのがADVAN A053です」
対応領域の幅広さはADVAN A053の大きな特徴のひとつ。それを選手としてどう捉えているのだろうか。

「タイヤの路面に対する対応領域の幅が広いということは、走る側のドライバーにとっては大きなメリット以外の何者でもありませんね。
長年使ってきたADVAN A035も、とても良いタイヤでした。しかし、それをさらに大きく上回る性能を有するADVAN A053というタイヤが登場したことは、どの層の選手にとっても歓迎すべきとても良いことですよね」
選手として歓迎すべき対応領域の幅広さ。しかし、逆に言えばADVAN A036とオーバーラップする部分もあるわけだから、タイヤ選択の見極めが難しくなる面もあるのではないだろうか。

「そうですね、そこは経験値が必要になってきますよね。最終的には選手おのおのが路面を見て判断しなければなりませんが、デビューしたばかりなので最初は難しい部分もありますよね。私自身も経験値を蓄積している段階なので、いまの時点では『ADVAN A053ではここまで、この先はADVAN A036』と簡単に言えないのが本当のところです」

新しいタイヤということで、選手はそれぞれが試行錯誤をしている部分も現実にはあるだろう。しかし、タイヤそのものの違い、ADVAN A035から乗り換えての違和感のようなものは無いと荒井選手が続ける。

「他の選手と話をしてみても、意外にADVAN A035から乗り換えての違和感は無いみたいです。乗りにくいという話は聞こえてこなくて、ADVAN A053は乗りやすいタイヤだとみんなが口を揃えていますね。それは私自身も同じ感想を持っています。
マシンのセッティングについては多少の好みもあるでしょうから、選手によってダンパーの番手を変えるといったことはあるでしょう。やはり1/100秒を詰めていくには、より自分の思うように動かしていきたいですからね。ただ、乗り方そのものを変えるといったことは、特にないですね」
“乗り味”に違和感は無いという評価を得たADVAN A053。荒井選手は、その使いやすさを高く評価した。

「ADVAN A053は反応が良いですね。違和感が無いとみんなが言うのも、とてもレスポンスが良かったり、俊敏だったりという特徴が支持されている結果だと思います。
これが、なにか変な特徴のあるタイヤだと、どこかに乗りにくさを覚えるでしょう。ADVAN A053は全日本から地区戦まで、幅広い層の選手にとって使いやすいタイヤですね」
インタビューの最後に、荒井選手流の“ADVAN A053使いこなし術”をお聞きして締めくくろう。

「そうですね、ADVAN A053はなるべく長くアクセルを踏み続けて走ることがタイムアップにつながるタイヤです。
コーナーで姿勢をきちんと変えたら、そこからはずっとアクセルを踏んでいく。そういう乗り方をしていく方が、ADVAN A053の持つ高いポテンシャルを活かした走りにつながると思います」
APRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)への参戦を通じて、一足先にADVAN A053での走りを重ねてきた炭山裕矢選手。日本仕様のADVAN A053をデビューから全日本ダートトライアル選手権で装着、第4戦の門前ではADVAN A053を装着した1本目でベストタイムを刻むなどの活躍を見せて、シリーズチャンピオンを獲得した。
炭山選手には、ADVAN 053の国内仕様と海外仕様の違いからお聞きしてみよう。

「見た目(パターン)は一緒ですが、中身の構造がかなり違いますよね。海外のラリーは長いステージで性能が持続するように仕立てられています。ですから耐パンク性などが重視されますので、語弊を恐れずに言えばタイヤ全体が硬いというか、しっかりしているんです。
日本仕様ももちろんしっかりしたフィーリングですが、ダートトライアルもラリーも国内は距離が短いですよね。ですから、そこでタイムを出せるようにとなるとゼロスタートから高いグリップを発揮することが重要になってきます。こうした部分をコンパウンドや構造面で最適化したのがADVAN A053の日本仕様なのだと思います」
国内の競技会に最適化されたADVAN A053の日本仕様。
このタイヤを巧く使いこなすためのヒントを炭山選手にお聞きした。

「ADVAN A035から乗り換えても違和感はほとんど無いのですが、ステアリングのフィーリングに、もしかしたら最初は若干の違いをを覚える方がいらっしゃるかもしれません。
そういうフィーリングの小さな違いに対して、五感を研ぎ澄ましてしっかり身体で覚えて、ADVAN A053が持つ良いところを引き出す走りを実践することを、まずは意識して走ってみることから始めてみてはいかがでしょうか」
タイヤの違いをしっかり感じ取るセンスを磨くこと。これはダートトライアルに限らず、モータースポーツを戦ううえでドライバーに求められる大切なポイントである。
そこで前提としては、個々のタイヤの特徴もしっかり把握しておく必要があるだろう。ADVAN 053とADVAN A035の違い、炭山選手はどんな点を見いだしているのだろうか。

「僕の場合、乗り方についてはタイヤによって大きく変えるようなことはしていません。
ただ、強いて言えばADVAN A035の場合、ADVAN A053よりもタイヤのエッジを使って走っていたイメージですね。ADVAN A035では、タイヤの角を使って路面を引っかきながらグリップを出しているという感じでした。しかしADVAN A053の場合は面を使うというか、ちょっとホイールスピンしながらでもタイヤをしっかり面で接地させて優れたトラクション性能を最大限に引き出して前に進んでいくという感じですね」

“面を使って”という走らせ方は、トラクション性能を磨き上げられたADVAN A053を使う上での重要なキーワードになる部分だ。従来とは異なり、外から見たアクションが一見おとなしいようでも、タイヤのトラクション性能を最大限に引き出すことで大きなタイムアップを望むことができる。

ところでADVAN A053には、SとMふたつのコンパウンドが用意されている。走行する距離が短いダートトライアルではSコンパウンドが主に使われることになるが、炭山選手はダートトライアルにおいても第3戦のスナガワでヒート毎に使い分けるなどのトライを行ってきた。コンパウンドの違いは、どのような変化があるのだろうか。
「基本的な考え方としては他のタイヤと同じで、外気温がコンパウンド選択のひとつの判断材料になりますね。
SとM、どちらのコンパウンドも乗ったフィーリングに大きな違いはありませんから、乗り方を変えなければいけないということもありません。特性として良いグリップが出るポイントが温度域で異なる、ということですね。
ダートトライアルの場合はSコンパウンドがちょっとだけ柔らかいんだ、ということだけを念頭に置いて使えば良いと思います」
最後に、炭山選手は幅広い層の選手に“ADVAN A053のススメ”を語ってくれた。

「地区戦などでは、全日本戦ほど路面が良くならないこともあるかと思います。そのため、スタンスとしてADVAN A031を軸にしたタイヤ選択というのも多いのではないでしょうか。しかし、ADVAN A031では、ちょっとしたミスをしてフカフカの路面に入ったとしても、ごまかしが効いてしまう部分があるんですね。
ADVAN A031も優れたポテンシャルを持つタイヤですから走りやすいのですが、自らのドライビングスキルを磨くためにはADVAN A053でしっかりアクセルを踏んでトラクションをいかけていくドライビングをしていかなければ、最終的にはタイムもテクニックも伸びていかないと思うんですよ。
ですから、ぜひ多くのドライバーにADVAN A053で積極的に走り込んでいただいて、ドライビングのスキルアップを図ってほしいですね」
[UPDATE : 4.Oct.2013]
             
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