2011年のSA1クラスを制して、ディフェンディングチャンピオンとして今シーズンに臨んだ斉藤邦夫選手。
過去に7回のチャンピオン獲得経験を有する、ジムカーナ界では誰もが知る実力派のベテラン選手であるが、意外にも2年連続チャンピオンというのはこれまでに経験が無かった。
そこで、まずは連覇を目指して今シーズンに臨むにあたって、どのような意気込みをお持ちだったのかを伺ってみた。
「今までは様々な理由で、チャンピオンを獲った年の翌年はチャンピオンを獲れませんでした。その理由としては、クラスを替えたり、車種を替えたり、休んだりしたからなのですが。
なので、今年はまず2年連続チャンピオンを獲ることを目標に戦おうと思いました」
並々ならぬ意気込みを静かに胸に秘めて臨んだ2012年。斉藤選手は熟成の進んだシビックを駆って、見事に最終戦を待たずして2年連続のチャンピオンを実現した。
目標を実現した今の思い、率直なところをお聞きしてみよう。
「微妙ですね。うん、残念だった、かな(笑)。
目標は達成できましたが、2年連続チャンピオンを狙うということは、本人が意識していないところ、例えば気持ちの部分がもたないんですね。優作(柴田優作選手)たちが2年連続とかでチャンピオンを獲ってるのを見て、自分も一回ぐらいは2年連続で獲ってみたいな、と思ったのですが、やっぱり疲れました。優作はすごいですね(笑)。
昨シーズンのフィーリングや開催場所から考えると、『今年は楽勝かな?』と思ったんです。自分の予想では、『前半で楽に獲れて、ひょっとしたら後半は違うクラスに出たりできるんじゃないか?』ってね。
ところが、開幕戦は予定通り勝てたけれど、2戦目はマシントラブル。その後も成績が出なかったんだけれど、夏場になってようやく上手くまわり始めました。予想に反して、後半までもつれてしまったのですが、不幸中の幸いと言いますか、最終戦までもつれずに、九州で決められて本当によかったです。イオックスアローザはCR-Xが速いって事は分かってましたからね」
開幕戦を勝利したものの、第2戦から第4戦まで惜しくも優勝には届かなかった斉藤選手。
しかし、第5戦の鈴鹿以降、見事な3連勝でチャンピオンを獲得。鈴鹿からの巻き返しには、何か理由があったのだろうか?
「開幕戦からマシンの完成度は高かったんです。脚回りも仕様変更はしていませんし。去年の後半から、スペックとしては何も変わってなかったんです。
前半はいいスタートが切れたのですが、途中でしばらく足踏み状態が続きました。走りは悪くなかったのですが、少し苦しい時期が続きましたね。
ただ、暑くなってきてからは自分自身の調子も上がってきました。それに、夏の暑い時期でもパフォーマンスを発揮してくれるヨコハマタイヤのおかげということもありますね。」
天候が不安定な戦いもあった今シーズン。ADVAN A050のポテンシャルをどんな場面で活かせたのかを伺った。
「雨が降るとライバルメーカーの調子も上がるといった事もあったのですが、夏場に気温が上がった時などは、全く不安なく走れることがADVAN
A050の特徴ですね。もうイケイケで面白いように走れるんですよ。」
では、今シーズンで最も印象に残った一戦を教えて下さい。
「今年、チャンピオンを獲れたもっとも大きな要因は、仙台ハイランドでの勝利だったと思います。
初開催の場所でしたが、それは自分もまわりのみんなも同じ条件。鈴鹿ともてぎは何があっても負けない自信があったんです。本庄も同じく自信はありましたし。
ただ、みんなも一緒ですが、仙台ハイランドはやってみないと分からない。シビックには不利な、“行って帰ってくる”といったパイロン設定だったけれど、前半でタイムを稼げて、後半もタイムが出て、ふたを開けてみたら圧勝できたのが、チャンピオンを獲れた要因かな?
あそこで勝てなかったら最終戦までもつれこんだと思うんですよ。だけど、仙台で勝てた。しかもタイム差をつけての圧勝だったので自信につながる大きな一勝でした」
それでは、今シーズンを100点満点で採点すると?
「チャンピオンを獲ったので目標達成って意味で100点なんだけど、最終戦で勝てなかった事が減点対象かな。もし、ここで勝ってたら200点満点をあげたいんだけれど(笑)。
今年の目標は2年連続チャンピオンを獲ることと、フルパイロンコースでCR-Xに勝つってことだったんだけれど、今日(最終戦の本庄ラウンド)は負けちゃったので90点ぐらいかな?」
では最後に、来シーズンに向けての意気込みをお願いします。
「来シーズンはクラスを替えて参戦したいんだけれど、具体的にはまだ何も決まってません。車種はPNじゃないと現行車両が少ないので厳しいですし。だけど、自分はADVAN
A050の開発ドライバーなので、立場的にはA050で走りたいっていう気持ちもあります。ですが、まだ迷ってる最中ですね。
走れるかどうかも未定なのですが、ジムカーナが生活の中心になっているので、参戦する方向で計画中です」