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これまでの繰り返しになるが、ラリーとサーキットレースの最大の相違点は、ラリーは開催地域の全体がフィールドになるということだ。“モータースポーツを観戦する”という強い気負いを持たなくても、地域のお祭りを観る感覚で楽しめる点は、より身近な存在であると言えるだろう。
ラリーマシンはお祭りの山車、クルーは引き手。そう置き換えてみれば、勇壮な日本各地のお祭りと同様に、まずは順位や速さを気にせずに、賑やかで豪快なお祭りとして楽しむという視点も生まれるだろう。
さらに、全国的に有名なお祭り、例えば東京の三社祭、京都の祇園祭、青森のねぷた祭り、長崎のおくんち、これらを観に行くにあたっては、周辺の有名な観光スポットを巡ったり、その土地ならではのグルメに舌鼓を打つことになるだろう。
ラリーも同様で、観戦を楽しむのみならず、周辺観光や地元の食を体験することで、その楽しさはより拡がるし家族揃っての思い出を作ることもできる。また、全日本ラリー選手権の開催地は見どころや食に恵まれた地域が多く、ラリー開催期間でなくとも足を運ぶ価値が高い。
連休や夏休み、年末年始などに「どこかへ旅に出よう」と思ったとき、せっかくならラリーが開催されている地を訪れてみるのもお薦めだ。
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2006年に四輪駆動部門と二輪駆動部門に分かれていたシリーズが統一されて、現在のかたちで全日本ラリー選手権。
統一前、二輪駆動部門の舞台としてお馴染みだった佐賀県唐津市は、現在の全日本ラリー選手権では開幕戦の舞台として定着している。
春先の時期も温暖な気候であることから開幕戦でお馴染みとなり、シーズンを通じた安全を唐津神社で祈願して参加者全員が鳥居の前で記念撮影を行うことも恒例行事となった。2012年は市街地をリエゾンルートに設定、唐津駅前でスタート/フィニッシュを行うなど、市民にも深く浸透しているラリーと言える。
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四国では古くはグラベル(未舗装路)の全日本ラリー選手権が開催されていたが、2002年以降は2輪駆動部門によるターマック戦の舞台となっていた。この流れを受けて現在に続いている久万高原ラリーの開催地が、「四国の軽井沢」と呼ばれている久万高原町だ。
2006年の駆動部門統一以降、ターマック戦としての開催が続いていたが、2011年のみはグラベルステージでの開催とされている。
四国の屋根とも言われる地域ゆえに高地での一戦となる。それゆえに天候の変化も勝敗を左右する大きな要素となることもあり、先を見越した戦略のぶつかり合いにもなる。
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東日本大震災から力強い復興の歩みを見せている福島県、ここでの全日本ラリー選手権は棚倉町をホストタウンとして長年に渡って開催されているが、2011年からは大会名称に「がんばろう!福島」を冠されている。
2012年はこれまでのステージに加えて、震災被害の大きかったいわき市にも競技エリアを拡大。市内の三和地区にはラリーパークが設けられ、多くの地域住民の方々がラリーと触れ合える機会も設けられた。
グラベルのステージは荒れた箇所も多く、ワンミスでマシンにダメージを負ってしまう可能性も高い「カーブレイク・ラリー」として知られている。
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2011年から北海道を代表する温泉街でも知られる洞爺湖町をホストタウンとして開催されている「ARKラリー洞爺」。
観光スポットとしても知られる有珠山や昭和新山があることからも想像出来るように、グラベルのステージは火山灰質を含んだ路面で、雨が降ると滑りやすく大胆な中にも慎重なドライビングが要求される。
また、同じステージを複数回走行することにより、ワダチが深く掘れていく傾向も強く、2走目や3走目の路面状態にいかに順応してマシンを運ぶかも勝負どころのひとつだ。
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ヨコハマタイヤとともにラリーを戦うキャロッセ(CUSCO)やアライモータースポーツが本拠を構える群馬県。赤城山や榛名山はラリーの聖地と言っても過言ではなく、新井敏弘選手や柳澤宏至選手ら、多くのトップラリーストを輩出している。
この地で開催されていた「モントレー」は伝説のラリーとして語り継がれていたが、2012年にターマックラリーとして待望の全日本戦復活を果たした。
東京など首都圏からのアクセスも良いことから、多くのラリーファンが足を運んだ「モントレー2012」。ホストタウンは日本地図でほぼ中央に位置する"へその町"、渋川市である。
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2009年以来となる京都府での全日本ラリー選手権は、丹後半島ラリーと名称を改めて半島のほぼ中央に位置する京丹後市をホストタウンとして開催された。
特徴は名称にあるように丹後半島そのものが舞台となったことで、半島の真ん中を縦断するターマックの林道にステージが設けられた。
このステージは幅の広い二車線区間も多い一方、テクニカルな要素も多分に織りまぜられており、変化に富んだステージはクルーにとって攻略し甲斐のある内容となった。また、リエゾン区間では日本三景のひとつに数えられる「天橋立」の前を通るなど、訪れていた多くの観光客にもラリーの存在をアピールした。
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広大な北海道の十勝平野を舞台として開催される「Rally Hokkaido」。APRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)との併催となることから国際色も豊かで、ホストタウンとなる帯広市はラリー期間中、多くの外国人でも賑わいを見せる。
グラベルのステージは北海道らしくハイスピード主体の設定で、SS(スペシャルステージ)も総距離で200kmを超える、全日本選手権としては圧倒的なスケールの大きさが最大の特徴。
日本で初めてWRC(FIA世界ラリー選手権)が開催された地でもあるため、ラリーを支援する地元の熱意も強く、関連市町村の多くの方々が大会の成功に尽力されている。
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「飛騨の小京都」と呼ばれ、海外からの観光客にも人気の高い岐阜県の高山市。この町をホストタウンとして開催される一戦が「M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」だ。
この大会は2012年で第40回を数える歴史あるもので、往年は過酷なグラベルラリーであったが、近年はターマックステージで激しい競い合いが演じられている。
高低差のあるステージも多く、これを上り方向と下り方向のそれぞれで使うケースも多いので、車種ごとのキャラクターやセットアップの差などにより、最後まで激しい攻防戦が展開されることも多い。
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歴史の教科書でもお馴染みの「長篠の戦い」の舞台でもある、愛知県の新城市をホストタウンとして開催されるターマック戦が「新城ラリー」。新城市には横浜ゴムもふたつの工場を構えており、ホームでの一戦という表現も出来る。
この大会は内閣府認定事業・新城市DOS地域再生プランとしても位置づけられており、新城市が官民あげて全面的にバックアップ。ギャラリーステージの観戦は無料で、ファンには嬉しい一戦だ。
名物ステージとして知られるのは雁峰(がんぽう)林道、木々が生い茂るために路面は若干苔むしており、波乱のドラマを生むことでもラリーファンには広く知られている。
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[UPDATE : 14.Sep.2012] |