ラリーという競技をさらに細かく解説していくと、それだけで分厚い本を一冊作ることが出来るほどのボリュームになる。
もちろん、より深くラリーを知ることで楽しみもどんどん膨らんでいくが、まずは基本的なポイントとなる部分を抑えて、ラリーという競技の身近さと面白さを感じ取っていただきたい。
そこで、このコーナーではラリーを知る上で覚えておきたいポイントを、いくつかご紹介していこう。
|
|
|
|
|
サーキットレースでは、基本的にシーズンを通じて1台のマシンにはひとつのゼッケン番号が割り当てられる。しかし、ラリーの場合はゼッケン番号は固定ではなく、大会ごとに変わる場合もある。
割り当ては前年度のランキング順や、各選手の実績に基づいて主催者が決定する。基本的には「1」番を筆頭にJN4クラス勢が続き、JN3、JN2、JN1とコンパクトなマシンのクラスへとつながっていくゼッケン順となる。
|
|
|
1台ずつがタイムアタックを行うSS(スペシャルステージ)。その出走順は、2日間にわたって開催されることが基本の全日本ラリー選手権においては、各日の競技開始前に「スタートリスト」として発表される。概ね、初日のDay1はゼッケン順にスタート。2日目のDay2はDay1の結果に基づいて、上位から出走するかたちに入れ替えが行われることが通例だ。
ゆえに、観戦に際しては初日と2日目でお目当ての車がやって来るタイミングが変わる場合もあるので、主催者の公式ウェブサイトなどで発表されるスタートリストは要チェックだ。
|
|
|
ラリー競技の主戦場となるのが、占有された林道などのSS(スペシャルステージ)。何度も記しているように、このステージを1台ずつがタイムアタックして、その速さを競い合う。
SSは短いもので数百メートルから、長いものでは10kmを優に超えるものまで様々。いずれの場合もスタートは1台ずつで、基本的に1分間隔でスタートリストに沿って次々とマシンがタイムアタックに挑む。ただし、全車の中で最初にスタートする車両から数台については、その間隔が2分に設定される場合もある。
|
|
|
SSとSSの間や、サービスパークとSSをつなぐ「リエゾン」と呼ばれる区間は、公道を一般車両に混ざってラリーマシンが走る。もちろん交通法規に従っての走行となり、大会によっては高速道路を使ったり、市街地中心部を通過するルートが設定される場合もある。
この「リエゾン」こそがラリーという競技の最大の特徴とも言える。同じナンバー付きの車両で競われるレースやスピード行事(ジムカーナやダートトライアル)であっても、移動区間とはいえ競技中の車両が公道を走行することは無いからだ。つまり、自らが遠い競技会場まで足を運ばなくとも、リエゾンルートが近所に設定されていれば、競技車両の方からやって来てくれるのだ。
|
|
|
ラリーの運営で欠かせないオフィシャルカーについても、ぜひ知っておきたいところ。
「00(ダブル・ゼロ)カー」はSSの1号車スタート前、およそ30分程度を目安にステージを走行する。ペースは比較的スローで、SS内のオフィシャル配置などを確認するのが役目だ。そして「0(ゼロ)カー」は、おおむね1号車スタートの5〜10分前に、こちらは若干ハイペースでSSを走行する。0カーの役割は競技車両が安全に走行出来る状態にあるかを確認することだ。
ともに無線を搭載し、さらにコーションランプやサイレンなどを備える場合もある。もちろん両車ともに、競技に出場しているラリーマシンと全く同じ道のりを全て走行する。
ドライバーには相応の経験と技量を有する人材が充てられ、近年の全日本選手権では0カーのステアリングを新井敏弘選手が握るケースも多い。
これらの車両、特に0カーがやって来たら、観戦の準備を整えて1号車のスタートを待とう。
|