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1970年にスタートしてオイルショック時の開催中止はあったものの今年で40回目の開催となるニュル24時間レース。

舞台となるのは、ドイツ中西部、アイフェル山中に1927年に建築されたニュルブルクリンクのノルトシュライフェ(北周回路)と、F1グランプリも開催されるグランプリコースをつないだ1周およそ25kmものフルコース。
ここに200台近い車両が集まり24時間の耐久レースを行う。観客数は毎年20万人を超える、まさに"世界最大級のツーリングカーレース"となる。

今年は5月17日から20日の4日間に、予選から決勝レースまでが行われた。
 
1927年、第一次世界大戦後の失業者対策として建設されたニュルブルクリンク。当時は約22.8kmのノルトシュライフェと約7.7kmのズートシュライフェ(南周回路)、ふたつのコースを持つサーキットだった。

オープンしてすぐにグランプリレース(現在のF1に相当)が開催され、ニュルブルクリンクはドイツを代表するグランプリコースとなった。
F1がニュルを去ったのは1977年。ニキ・ラウダ選手のドライブするフェラーリが炎上事故を起こし、それ以降ノルトシュライフェでのフォーミュラカーレースは開催されなくなった。

1980年代にグランプリコースと近代的なピットが建設され、F1グランプリはニュルブルクリンクに戻って来たが、使用するコースはグランプリコースだけだ。なおズートシュライフェの一部は現在は一般道として使用されている。

ノルトシュライフェは300mもの標高差があり、カーブは200ともそれ以上とも言われるほどの山岳コース。まるで芦ノ湖スカイラインを一方通行にしたようなサーキットだ。
さらに横のブラインドコーナーはもちろん、縦のブラインドコーナーもあり、車両が宙に浮くジャンピングポイントもあれば、バンクのついたコーナーも2つある。路面状況は場所によって変化し、何よりコース長が長くコース全体が広いため、場所によって天候まで変わってしまうほどで、晴れたピットに濡れた車両が戻って来ることもよくあること。
また一日の中でも天候が変わりやすく、朝にザッとにわか雨に見舞われたかと思うと、大きなヒョウが音を立てて落ちて来て落雷……。やがて雲は去り、夕方には晴れてしまうといった天候は、ニュルでは日常なのだ。

なお、ニュルブルクリンクを実際に訪れたことがある方ならお分かりかと思うが、コースサイドには多くのヨコハマタイヤの看板を目にすることができる。これは2007年から設置されているもので、さらにグランプリコースの第1コーナーは「YOKOHAMA-S」、バックストレート側のベンドは「ADVAN Bogen」というコーナー名称がつけられている。
 
ニュルは、世界各地にある路面コンディションがすべてそろっているコースとも言われ、自動車メーカーやタイヤメーカーがこぞってこのノルトシュライフェで新製品のテストを行っている。市販前のテスト車両が覆面をして走る場合もあれば、ロングランテストを行うメーカーもあり、テストの内容はさまざまだ。
横浜ゴムでは1980年代からタイヤテストに活用しており、ADVANブランドのハイパフォーマンスタイヤを中心に、その性能を磨き上げてきた。さらに2006年には「ヨコハマ・テストセンター」を開設して開発体制を強化、ニュルで鍛えられたヨコハマタイヤはその高いポテンシャルが認められて、世界のトップブランドと呼ばれる自動車メーカーに新車装着されている。

また、ノルトシュライフェは一般にも開放されており、お金を払えば自分のクルマやオートバイで走行することも可能。さらにプロドライバーの助手席でレーシングスピードを体感できるレーシングタクシーもある。

1970年に始まったニュルブルクリンク24時間レースは、ツーリングカーがドイツ国内はもとよりヨーロッパ各地から200台前後も集まるハコレースの祭典。かつては"世界最大の草レース"とも言われ、古い車両でエントリーしたり、ミニバンで出走したりと参加者がイベント全体をエンジョイしていた。しかしそんな中でもBMWとポルシェを中心としたドイツのメーカーは、この24時間レースで毎年総合優勝のバトルを演じてきた。

21世紀を迎えると既に草レースの雰囲気はなくなっており、どのチームも真剣に24時間レースに向き合うようになり緊張感が増して来た。しかしながら車両の排気量や使用燃料などによりいくつものクラスに区分がなされ、さまざまな車両にクラス優勝のチャンスがあるため、年に一度のお祭りを楽しむ参加者もまだまだ少なくない。
 
今年の24時間レースは40回記念大会ということで、予選方式が変更された。
24時間レース前に開催されたニュル耐久レースシリーズ(VLN)3戦で速いタイムをマークした車両17台、そして今回の2回の予選で速い車両23台、計40台が出走する「トップ40予選」なるものが行われ、そこで1位から40位のグリッドが決定するというものだ。
10秒ごと次々にスタートしていく40台の車両がわずか2周だけのアタックをするこのトップ40予選は、スピード感に溢れた感はあったが、モニターにセクタータイムが表示されるわけではなく、やや分かりにくかった印象もある。

近年のニュル24時間で総合優勝争いを演じているのはSP9-GT3クラスで、これはFIA GT3規定による車両。
今年はSP9クラスには31台ものエントリーがあり、そのほとんどがメルセデスベンツ、ポルシェ、BMW、アウディというドイツの4メーカーだった。さらに排気量が4000ccを超えるSP8クラス、ポルシェ911が中心の排気量3500ccから4000ccのSP7クラスなども総合優勝を狙っての参戦となった。

例年200台前後の車両がエントリーするのだが今年のエントリー台数は176台で実際に予選に出走した車両は171台。
ここ数年エントリー数が微妙に減少しているが、これは速いFIA GT3車両の増加で、GT3車両とスピード差のある小型車の参加台数が減っていることによる。
ただ171台に減少しても、この参加台数の多さは他のレースではありえない数字だ。
[UPDATE : 01.Jun.2012]
         
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