取材の裏話をすると、このインタビューは当初は2時間程度の予定だった。しかし兄弟が揃って初めて受けた取材ということもあって大いに話は盛り上がり、実に4時間のロングラン・インタビューとなったのである。
そして、その会話の中では、兄弟の仲の良さがとても印象的だった。お互いにチャンピオンを獲得したいま現在の二人は、どのような関係にあるのかを聞くと、彬選手が面白いことを教えてくれた。
「お兄ちゃん、長いんですよ。電話が。『男同士で、よく2時間も電話で話が出来るね』って、よくみんなに言われるんです。ホント、2時間なんかザラですからね」
兄弟で2時間の長電話というのも珍しいかもしれない。その点について琢選手が語る。
「たしかに2時間も喋ることは日常茶飯事です。ただし、2時間のうちの95%は、僕が喋っています(笑)」
では、その話の内容とは? 彬選手によると……。
「普段から良く話はするのですが、パターンとしてはお兄ちゃんがいろいろなことについて『こうあるべきだ』というような話をして、それを僕が受け止めているという感じですね」
もう少し具体的に、琢選手に聞いてみよう。
「もちろんお互いの走りについての話もします。レースとラリーという違いがあるので互いにどこまで活かせるのかはわかりませんが、ドライビングについての情報交換もしています。
あと、僕は彬の戦いぶりをインターネットなどで逐一チェックして、優勝したら『おめでとう』のメールもすぐに送っています。なのに、彬は僕が優勝してもメールのひとつも送ってこないんですよ。だから、『お前はひどいな、俺はいつもラリーの情報を集めてチェックしているのに、お前はSUPER
GTの結果も見てくれていないのか』って言ったことがあるんです。
そうしたら、次のレースでは決勝が終わるとすぐにメールが来ました。でも5位だったのに、『4位おめでとう』っていうメールが(笑)」