オリベイラ選手 :
レース中、何回か無線で「無交換はいけそうか?」って聞かれたけれど、僕にそれについてのYes/Noは言えなかった。
今のタイヤの状況はアナウンスできるけれど、10周後、15周後にこのタイヤがどうなるかは分からないからね。
今の状況だけはレポートしたよ。だからあとは、チームの判断に任せることにした。
−無交換作戦の決定について、荒川エンジニアからはチームに何かアドバイスはしたのでしょうか?
荒川エンジニア :
スタート時にはもちろん、無交換というのは考えていませんでした。しかし、周りがうちより先にピットに入り始めて、アウトラップでかなりタイムをロスしているという状況があった。無交換を考え始めたのは、このあたりです。
我々としては、日曜の朝にユーズドタイヤのライフを確認できていたので、なんとか走りきれるだろうという考えはありましたから。
正直、逃げ切れるとは思っていませんでしたけどね。(2位の)6号車のSCには追いつかれるかなと。
−そんな6号車から見事逃げ切りを果たしたのが、後半スティントを担当した安田選手です。
安田選手 :
朝のフリー走行でロングのテストはしていたし、乗る前に不安もなかったんですけど、残り20周で、6号車とは16秒差でしょ。向こうはソフト目のタイヤで来てたから、1周1秒ずつ追いつかれたらパスされるって、初めはそういう不安はあったんですよ。
なので交代して最初の5ラップはがんがんにプッシュしました。その時のタイムが、ニュータイヤの6号車とほぼ同じだったんです。
そこで、『あ。勝てるかな』って。
そのあとは、トラブルとか、タイヤのフラットスポットを作らないようにとか、とにかくチャンスを逃したくなかった。後ろとのタイム差を考えてキープして、優勝だけ考えてました。
−モニターを見ていたオリベイラ選手はどういう気持ちでした?
オリベイラ選手 :
残り数ラップのところで近藤さん(近藤真彦監督)とスギさん(杉崎エンジニア)に言ったんだ。
「安田に伝えて。マージンは十分にある。リラックスして、コンスタントなラップタイムで走るんだ」ってね。
−勝てると確信したのは、いつぐらいですか?
オリベイラ選手 :
確信?確信したのは最終ラップだよ(笑)。
自分のスティントではラップリーダーを保ったし、何のハプニングも起きなかった。でもレースっていうのは、いつ何が起きるかわからないからね。最終ラップになってようやく喜ぶことができた。
僕のスティントが終わった時点で優勝への自信は高まったけど、さすがにその時点で確信はまだしていなかったよ。
安田選手 :
僕、1回コースをはみ出してますしね(苦笑)。300と絡んで。
オリベイラ選手 :
あの瞬間はもう、僕と近藤さんは頭を抱えたよ。思わず顔を見合わせてしまったね。