現在、Super-FJには、ウエストレーシングカーズと自動車工房ミスト、そして東京R&Dの3コンストラクターが挑んでいる。
それぞれ独自のコンセプトで開発されているため、見分けやすいのも特徴のひとつである。
■TOKYO R&D 09V/09VB/10V
その中で、R&Dは早くも2世代目のマシンを投入し、鈴鹿を中心に猛威を振るい続けている。
昨年、西本直樹選手が鈴鹿でパーフェクトチャンピオンに輝き、スポット参戦の富士でも王座を獲得、さらに日本一決定戦も圧勝としている。
ただし、当初09Vとし、昨年の途中で09VBになり、今年も10Vと名称が改められている。これは規定解釈の相違によって、そのつど対策を要したため。細かい内容はここでは省く一方で、きちんとコンスタクターが対応し、ユーザーへの負担を最小限としている。
その特徴は、「リヤのトラクションがしっかりかかるので、コーナーも速いし、ストレートに車速を乗せて立ち上がれるので、最高速も伸びます。それとセッティングの幅が広いので、変えたら変えたなりに良い方向へ動きが変わっていくんです」と、テイクファーストの橋本カツトアドバイザー。
今年も鈴鹿で中野貴功選手が2勝、もてぎで佐伯和洋選手が1勝、そして平川亮選手が富士と岡山で1勝ずつマークしている。
■MYST KK-S
筑波で山部貴則選手と神子島みか選手とで優勝を分け合い、富士の開幕戦で松井孝允選手が、オートポリスの開幕戦で吉田宣弘選手が勝っているのがミストKK-Sだ。
このクルマの特徴を、デビュー時から乗り続ける太田浩選手に語ってもらった。
「オスカーの流れを汲んでいるコンストラクターらしく、基本に忠実に走らないと、タイムが出ないクルマです。
また細かい部分に絶えず手が加えられているんですが、今年になってサイドポンツーンの形状を変えたら、ドラッグが減って最高速が10km/h近く伸びました」という。
鈴鹿は例外として、比較的コースやコンディションを問わないクルマと言えそうだ。
■WEST 07J
そして、老舗ウエストの07Jは、レース発足当時から走っていることもあり、やや古さを感じざるを得ないものの、今年も鈴鹿の第2戦で蒲生尚哉選手が優勝し、健在ぶりをアピールした。
その蒲生選手を走らせるギディアップの重光敏伸代表は
「ブレーキでいちばん突っ込めるし、鈴鹿のS字のようなコーナーの連続するセクションでは、かなりきびきび感はあります」と語っている。
要は、それぞれ一長一短。現状でリザルトだけ見るとR&D 10Vが他を圧しているものの、それを超える熱い走りを期待したい。
■2010年、コントロールタイヤはADVANに
Super-FJの新たなコントロールタイヤについて、印象を聞いてみたところ、多くのドライバーに共通したのは「温まりが早く、一発を決めれば、確実にタイムアップできるし、寒い時期でもすぐに攻めていける」ということだった。
それだけに「初心者の方でも扱いやすくなった」とは、松原亮二選手のコメント。
また「横が柔らかくなったので、そこをうまく使えると、もっと速く走れそうな気がします。なので、今までとはセッティングを変えた方がいいかも」とは太田浩選手。
走り方に関しても山部貴則選手によれば「横をあんまり使わないというか、積極的に縦を使った方がいいように感じました」という。従来用いられていたタイヤに比べ、若干の変更は必要であるようだ。
しかし、中には手厳しい印象もあった。「後半のグリップダウンは、ちょっと早いみたい」という。とはいえ、条件はすべてのドライバーに一緒。ひとりだけ急に不利になるわけではない。
そこで松原選手は「決勝のセッティングを考え直さなきゃいけないのかな、とは思うし、辛くなった状態でタイムをどれだけ落とさないよう走るか。頑張ってももうダメだし、逆に前半どのぐらい加減して走るかが、これからは勝敗の分け目になるかもしれません」と語っている。
その一方で、興味深い意見をくれたのが神子島みか選手だ。
「同じADVANのタイヤを使うF4に何回か乗ったことがあるんですが、近い印象を受けました。でも、それよりはグリップ力は持続するし、高い温度の時でもそこまでタイムは落ちないんですよ」と。
視点を変えれば、今このタイヤの扱い方を完全にマスターしておけば、F4にステップアップした時にも苦労せずに済むということ。
まだ、どのシリーズも数戦を経たばかり。
これがセオリーと断定せず、使い方に幅を持たせられるドライビングを是非学んで欲しいものだ。