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D1 Driver 2009
全8戦のカレンダーで競われている2009年のD1グランプリ。
週末の土曜・日曜にそれぞれ決勝を行なう「デュアル・ファイナルズ」方式も採り入れられ、各地を転戦しているシリーズはますますの盛り上がりを見せている。

そして白熱した戦いの立役者となっているのが、YOKOHAMAを装着している多くのD1ドライバー達。
ADVAN勢同士の戦いも熾烈なもので、個性的なマシンを駆る者同士の迫力ある接近戦が多くのファンを魅了している。

今回はYOKOHAMAとともにD1グランプリを戦う8選手から、"自慢のポイント"をお聞きした。
マシンのパフォーマンス、ドライビング、テクニック・・・、ハイレベルなドリフトを繰り出すYOKOHAMA勢、その素顔と実体に迫る!

最初のポイントはD1を戦うために生み出されたマシンに注目。
ハイパワー化の波が留まることの無いD1参戦マシンのエンジン、そしてパフォーマンスを高めるために必須の軽量化や剛性アップを施されたマシンとは、どのようなものなのだろうか?
D1-SPEC ENGINE

まずは今季からランサー・エボリューション]を投入した熊久保信重選手。

「この"エボ]"のエンジンパワーは550ps〜560psくらいで、D1参戦車両の中では、飛び抜けてパワフルということもありません。
ただ、本来は横置きレイアウトのエンジンを縦置きにしているのは最大の特徴。こんな"ランエボ"は誰も乗っていませんよね。俺たちは"誰も乗っていないマシンに乗りたい"というのが、ひとつのポリシーみたいなものですから(笑)。」

"誰も乗っていない"エンジン縦置きのランサーエボリューション。その制作は名チューナーとして名高い小山進さんの手によるものだが、相当な苦労があったことも容易に推察できる。

「そうですね、縦置きにするのは大変でした。それも単にエンジンを縦配置にするだけではなく、エボリューション]が本来持っている足を活かしたかったので、ちょっと面白いことをやっています。
何かというとこのクルマ、エンジンマウントが無いんですよ。ミッションとエンジンの前で吊っているだけなんです。これも誰にも真似されないポイントですね。」

エンジンマウントが無いという、まさに常識破りなマシンの作り方。その技術力に高い定評のある小山さんならではの"秘策"とも言える。

「こうした作り方をベースに、もちろん軽量化もできる限りのことはやっています。
しかし現行車種ゆえにベースが重いことは避けられず、現状では以前乗っていたエボリューションIXよりも重たくなっていますが、こればかりは仕方の無いところですね。」

現行車種、そして何といっても"誰も乗っていないクルマに乗る"ということを具現化した熊久保選手のランサーエボリューション]。
高い戦闘力を備えつつ、コース上でも存在感を見せる一台として、観客の注目を常に集め続けているマシンだ。
 
熊久保信重 選手
熊久保 信重 選手
ランサー・エボリューション] (CZ4A)
"誰も乗っていないこと"ならオレが一番!
 
 
 
 
セダン系のマシンが増えてきているD1の世界だが、やはり王道といえばFR(後輪駆動)のスポーツクーペ。
その代表格にシルビアの名前を挙げて、異論を唱える人はいないだろう。

シルビアと言えばその全てを知り尽くしていると言えるドライバーが岡村和義選手。自ら主宰するヤシオファクトリーはシルビアの名チューナーとして今や世界的にもその名を知られる存在だ。

コース上でも一際目を惹く岡村選手のピンク色のシルビア、その実体に迫った。

「エンジンは、パワーとしては580psくらい出ているかな。シルビアの中ではトップクラスのスピードを出せるので、パワー的にはこれで充分満足しているよ。
ウチのエンジンは2.2リッター仕様にHKSのタービンを組み合わせて、低い回転域からしっかりパワーを出すセッティングにしている。それに加えてNOSを吹いているので、トータルで70psくらいは上乗せされているかな。
実際には馬力の数値がいくつ、というよりも、常用でいつも乗りやすいような仕様にしているんだ。唐突に上だけ馬力があるというわけではないので、クルマとしてはとても乗りやすいよ。」

シルビアはD1に限らず、一般のドリフト愛好家でも愛車としている人が未だに多い人気モデル。
"岡村流"のシルビアユーザーへのアドバイスをお聞きしてみた。

「コースによっては400ps程度で充分に楽しめるけれど、エビス南コースなんかでストリートリーガルを含めてD1レベルの走りをしようとするのであれば、どうしてもエンジンパワーとして450psは必要だね。
そのためには例えばピストンを鍛造に変えたり、強化スリーブを入れるなど、エンジンそのものを強化することが大切。
初期投資はかかってしまうけれど、後々ノーマルのままでエンジンを壊してしまうとお金がかかるから、最初にしっかり作っておいた方が安心して乗れるしね。」

もう一点、ヤシオファクトリーが得意とする"冷却"についてもお聞きした。

「D1マシンは特殊なのでラジエターのレイアウトを変えたり出来るけれど、車検適合が大前提になる街乗り車はそうはいかないからね。
でも、銅の三層ラジエターに変えて、水をスプレーで吹くようして冷却するというのがポピュラーだけど、こうしたこともパフォーマンス向上はもちろんだけど、エンジンを労る、壊さないという意味でも大切だね。」

シルビアを知り尽くしているからこそ、まずはベーシックなポイントを重要視している岡村選手。
長く、結果としてリーズナブルにシルビアを楽しむには、こうした基本的なポイントを抑えることが大切ということのようだ。
  
岡村和義 選手
岡村 和義 選手
シルビア (S15)
"シルビアのこと"ならオレが一番!
 
 
 
 
続いての登場は、今季からYOKOHAMA勢に加わった斉藤太吾選手。
マークIIは人気コミック誌とのタイアップにより、ボディに大きくマンガの主人公が描かれており、会場でも幅広いファン層から人気を集めている。

豪快なドリフトを繰り出す斉藤選手のマシン、そのパフォーマンススペックはいかほどなのか。

「エンジンパワーは800psくらい出ています。でも、パワーについては、もっと欲しいくらいですね。
パフォーマンスを高めるためには、出来ることは全てやってきています。
ただ、単純にパワーだけを求めれば1000psとかも出せるのですが、戦う上では現実的に"乗りやすさ"も重要なので、テーマとしては"乗りやすく、パワーを出す"というところがポイントです。」

ベース車両の特性上、どうしても重さがついてまわるビッグセダン系のドリフトマシン。しかし、そこをパワーでカバーしつつ、乗りやすさも追求しているという。

「大柄なボディですが、もちろん補強や剛性アップはしています。方向性としては"重たくなり過ぎない程度にガチガチに"という感じで。
ボディが硬い方がクルマも動きやすいですし、細かいところまで色々な状況が走らせていて伝わってくるので、こうしています。」

"豪快かつ繊細な走り"とはD1を戦うトップドライバーに共通した部分だが、ハイスピード/ハイアングルのドリフトを実現させるためには、状況に応じた繊細なドライビングが求められる。
そのためにもマシンの挙動は明確さが求められ、路面などから伝わってくる様々なインフォメーションが重要視されているということなのだろう。
 
斉藤太吾 選手
斉藤太吾 選手
マークII (JZX100)
"繊細さ"ならオレが一番!
 
 
 
 
先に登場した熊久保選手が昨年まで駆っていたランサー・エボリューションIXを受け継いだのが、同じくチーム・オレンジの末永直登選手。
多くの名勝負を演じたエボリューションIXは、末永選手の手に委ねられて更なる進化を続けています。

「このエボリューションIXは、エンジンのパワーは570〜580psくらい出ています。馬力としては充分に足りています。
ご存じの通りこのクルマは昨年まで支配人(熊久保選手)が乗っていたものです。
今年から僕が乗るようになりましたが、基本的には昨年までで熟成されているので大きく変えた部分はありません。
足回りのセッティングやアライメントなどは自分に合うように調整していますが、エンジンなどはそのままです。高い戦闘力のあるエンジンですが、本体は熊久保さんのマシンを長く手がけている小山さん、ターボまわりをトラストさんが手がけています。」

既に完成領域にあるマシンだけに、その良さを末永選手が受け継いでいるという。
しかし、参戦を重ねてきたことで、マシンに"ヤレ"のようなものは感じられないのだろうか。

「ボディの剛性感も、全く落ちていませんね。乗ってみると、本当にシャキッとしているんですよ。
自慢と言えば、まずエアロパーツ。田中さん(田中一弘選手)の会社、マックさんのものですが、格好いいし機能性も抜群です。
また軽量化に貢献しているのがドア。このドア、カーボン製なんですよ。」

デビュー当時から、その完成度の高さが注目を集めていたFR(後輪駆動)仕様のランサー・エボリューションIX。
末永選手に託された今も、一線級の戦闘力は健在だ。
 
末永直登 選手
末永直登 選手
ランサー・エボリューションIX (CT9A)
"マシンの熟成度"ならオレが一番!
 
 
 
 
ドリフト界はもちろん、モータースポーツの世界で独特の存在感を示し続けているのがロータリーエンジン。
歴代のマツダRX-7は、独創的なエンジンが生み出すパワーを武器に、多彩なモータースポーツシーンで栄光の歴史を刻んできた。

YOKOHAMA勢の中で生粋の"ロータリー使い"と言えば高山健司選手。ADM(ADVANドリフトミーティング)に参戦していた時代はFC3S型を駆り、そして今はFD3S型でD1のベスト16トーナメントにおける常連の一人になっている注目の存在だ。

「このFD3Sは520psくらい出しています。
数字的にはD1の中では決して高い方ではないので、もう少しパワーが欲しいと思うこともあります。しかし、パワーの割りには速さがありますし、トルクも低い回転域から出しているので、大きな不満はありません。」

"ロータリー使い"として、FC3SからFD3Sに乗り換えての印象はどうだったのだろうか。

「これが、結構違うんですよ。
乗り換えてすぐには、"FDはシッカリしているな"と思ったのですが、実はシッカリしすぎていて難しいんです。シャープな動きがRX-7本来の良さですが、そのシャープさを残し過ぎるとシビアで乗りこなし切れないんです。
そこで、途中で方針をコロッと変えて、あえて"ダル"にしているんですよ。」

あえて"ダル"にしている、その手法は驚くべきものだった。

「実はフロントに60kgくらいウェイトを積んでいるんです。最近はビッグセダンが強さを見せていますが、それは重たいエンジンが前にあるからであって、フロントが重たい方が振り回しやすいのかと思って試してみました。
そうしたら、とっても動きやすくなったんです。ただ、グリップでこのクルマを走らせると、動きが"ダルダル"でとてもRX-7とは思えません(笑)。
ところが外から見ていると、ダルになっている分だけ僕が思いっきり操作出来るので、結果的な動きとしてはRX-7らしくなっているんです。
フロントのウェイト以外にも、燃料タンクもワンオフで作ってリアシートのある部分に載せました。
とにかくこのクルマ、本来RX-7が持っているバランスを悪くしたかたちなんですよ(笑)。」

モータースポーツではお約束とも言える"軽量化"とは全く逆方向に"重量化"させているRX-7。
こうした思いも寄らない手法を実現させられるのも、長年に渡ってRX-7でのドリフトを続け、極めてきた高山選手ならではといったところだろう。
  
高山健司 選手
高山健司 選手
RX-7 (FD3S)
"バランス・命"ならオレが一番!
 
 
 
 
D1にはマシンへのこだわりを見せるドライバーが多いが、次に登場する田中一弘選手もそんな一人。
チーム・オレンジの一員として超接近ツインドリフトで観客を魅了してきた田中選手は、長年に渡ってインプレッサを愛機としている。

「このインプレッサ、エンジンパワーは550psくらい出ています。
自分としては速さもあるので満足してますが、最近のD1は周りが凄いことになっていますからね。ストレートが長いコースだと、ちょっと寂しいですね・・・。もう、1000psくらいある人は、勝手に走らせておけばいいかな、って(笑)。
ところでインプレッサといえば、やはり水平対向エンジンが最大の特徴ですよね。
D1マシンとして見ても、トルクフルでアクセルの"つき"が良いので、とても扱いやすく乗りやすいマシンですよ。」

ドリフト界で"スバリスト"を魅了している田中選手。
あらゆるモータースポーツシーンで宿命のライバルとされるランサーは気になる存在なのだろうか。

「ランサーですか?実は乗ったことないんですよ。じゃぁ乗ってみたいのかって言われると『いや、別に』っていう感じで。
元々は熊久保選手もインプレッサでしたが、それがランサーに乗り換えて。じゃぁ僕はインプレッサっていうことで今に至っていますが、同じクルマばっかりじゃ面白くないですからね。
そうそう、インプレッサもランサーも、特にラリーの世界でしのぎを削りあっているクルマじゃないですか。
僕のインプレッサはボディメイクをシムスさんでやってもらったんですけれど、WRCなどのラリーで使っているようなロールケージを入れたって聞いています。
だから、僕のインプレッサには、ラリーのノウハウも活かされているんですよ。」

D1マシンとラリーマシン、一見すると全く別の世界に存在しているように見える両者にあった共通項。
世界のモータースポーツシーンで活躍を続けるインプレッサ、D1の世界でもまだまだ高い戦闘力を武器にボクサーサウンドを轟かせている。
  
田中一弘 選手
田中一弘 選手
インプレッサ (GDB)
"一車種一筋"ならオレが一番!
 
 
 
 
続いて登場するのは、今年からマークIIを駆って参戦している山下広一選手。
ADM(ADVANジムカーナミーティング)ではAE86で華麗なツインドリフトを披露していた山下選手は、圧倒的なハイパワーを誇るマシンを武器に快走を続けており、審査員からも今年一番の注目株と目されている。

「それはもう、このマークIIについてはエンジンは自慢ですよ。
パワーは約900ps出ています。一番大きなタービンを付けているので低回転域が弱くなってしまうところを、NOSをつけて補っています。結果的にトータルバランスに優れた乗りやすいマシンに仕上がっています。
D1では、やっぱりパワーは必要ですね。パワーは、あればあるほど良い。
なぜなら、有り余るパワーを抑えて走ることは出来ますが、最初から無いものはどうしようも無いですから。
その考え方はAE86に乗っていた頃も同じで、あの当時もノンターボで最大のパワーを出したいと思っていました。」

ビッグパワーを自在に操れるからこそ生み出される走り。
一世を風靡したAE86と比べて、現在の愛機であるマークIIとは、どんなクルマなのだろうか。

「そうですね、AE86やシルビアと比べたら、大きく重たいことは一目瞭然。
もっともこのマークIIは軽量化を徹底していて、ノーマルなら1500kg近くあるところを、1200kg台後半くらいにまで持って行ってます。
さらにエンジンの搭載位置を10センチ後ろに下げて、前後バランスを50:50に近づけるようにしています。
こうしてパワーとバランスを最適化した結果、重さを補うことが出来て、派手さを手に入れることが出来ました。
パワーもあるし、煙も出るし、大柄だから横を向いた時の派手さもある。そういう意味で、自分自身としては速さよりも、コーナーに入った時の"派手さ"が出るように走っています。」

エンターテイメント性の高いD1ならではのポイントが"派手さ"。
見ている全てのファンが思わず歓声をあげるような走りを魅せてくれる山下選手、ハイパワー・ビッグセダンならではの豪快な走りは、ますます磨きがかけられていきます。
  
山下広一 選手
山下広一 選手
マークII (JZX100)
"ビッグ・パワー"ならオレが一番!
 
 
 
 
"マシン自慢"のトリを飾ってもらうのは、お馴染みの上野高広選手。
D1には初年度から継続参戦している上野選手と言えば、長年"ソアラ使い"として親しまれてきたが、今年からニューマシン・BMW 3シリーズクーペを投入してきた。

「長年ソアラで戦ってきましたが、現在のBMWはそのソアラで最後に戦ったときのポテンシャルに近いエンジンパワーを出しています。具体的には800psくらいですね。馬力的にはちょうど良い感じですね。
具体的にいうとタービンはHKSで一番大きいと言われる「T51R改」を装着して、ワンオフのサージタンクにビッグスロットル、といったパーツを使っています。
コンセプトとしては乗る上で下を犠牲にしたくなかったので、大型のタービンやビッグスロットルを使いながらも、なるべく下を出していこうという方向性でセッティングしています。」

実はこのBMW、エンジンはソアラと同じ2J型に換装されている。
そしてBMWと言えば世界的にそのハンドリング性能などには定評のあるブランド。
長年の実績がある2JエンジンとBMWのハンドリング性能がコラボレートしたマシンだが、果たしてドリフトという特殊な世界においても、BMWならではの素性の良さは活かされているのだろうか。

「BMWって、もともとボディ剛性の高いクルマじゃないですか。
ボディワークはOKUYAMAさんで軽量化を含めてやってもらったのですが、実際に出来上がって乗ってみると硬すぎることもなく、剛性感がありつつも、しなやかに動く仕上がりでした。
これってまさしくヨーロッパクルマらしい動きなんですが、それがしっかり残っていてドリフトでも活かされているんです。
やはり硬すぎるとピーキーになって難しくなっちゃうので、このBMWらしさが残るフィーリングが良いですね。」

個性的なマシンが多いD1の中でも、際立った存在感をコース上で魅せる上野選手のBMW。
輸入車ベースならではの苦労も多いようだが、素性の良さは折り紙付きであるだけに、これからの熟成進化が大いに期待されるところだ。
 
上野高広 選手
上野高広 選手
BMW 3シリーズ・クーペ (E92)
"2Jエンジン使い"ならオレが一番!
 
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