−では国内はもちろん海外にも転戦するSUPER GT、サーキットコースの違いはタイヤ開発でどのくらい考慮されるのでしょう。
石黒禎之 (横浜ゴム・モータースポーツ部 技術開発1グループ)
「これは私自身の考え方ですが、車種に合わせたタイヤを造ろうとは思うのですが、個々のコースに合わせたタイヤを造ろうという考えは持っていません。
そんな中で、私が評価基準としているサーキットは、鈴鹿サーキットです。鈴鹿で良い評価を頂けないタイヤは、他サーキットでも良いパフォーマンスを発揮する事は、少ないです。反対に鈴鹿で良かったタイヤは、他サーキットにおいても高いパフォーマンスを発揮する傾向にあります。
これはあくまでも私の経験値に基づく話ですが、鈴鹿というのは車種を問わずシビアリティを出すコースなのでしょう。
だから開幕前のテストや開幕戦が鈴鹿で行なわれて、そこで良い結果を出せると手応えを感じてのシーズンインとなりますね。」
−チームエンジニアの皆さんも、石黒の考え方にうなずく。
河野高男さん (RE雨宮レーシング)
「車両の側でいえば特性の差があるので、コースによる得意・不得意がありますね。
皆さん、コースに応じてセッティングを変えて対応しているでしょう。
でもウチのRX-7はちょっと他の車と違うところもあって、路面温度に応じてコンパウンドは変わっても、構造については常に同じ種類を使っています。この構造は石黒さんが造ってくれたのですが素晴らしいものですね。」
渡邉信太郎さん (Cars Tokai Dream28)
「車の側から見たコースの違いという面では、鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎでは全く別の世界という感じです。
でも石黒さんが言われたように、車についても鈴鹿できちんと走られれば他のコースでも良いパフォーマンスを出してくれると思います。そういった意味では、鈴鹿というのは車にとってもひとつのベンチマークになるコースですね。」
澤田 稔さん (R&D SPORT)
「これだけ色々な車種が存在している中で、全ての車種で高いアベレージにある性能を有するタイヤを造っている。
これはADVANならではのことだと思います。」
−中野はコンパウンダーの立場から、コースに加えて"重さ"の違いがタイヤに与える影響が小さくないという。
中野秀一 (横浜ゴム株式会社・タイヤ材料設計部)
「コースによってゴムにかかる負担は変わってきます。
しかしパフォーマンスを上げる為には、ただ単純にゴムを柔らかくしたりすれば良いというものではありません。
ウェイトハンディなどで車両重量が増えたとしてもグリップダウンさせないようにしていますが、やはり重さというのはゴムとっては"大敵"ですね(笑)。」