発足から4シーズン目となった2008年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、歴史が大きく動いたシーズンとなった。
2007年にディーゼルエンジンを搭載したマシンを投入したのがセアト陣営。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて二酸化炭素排出量が少ないことなどもあってヨーロッパでは乗用車市場でも高いシェアを誇っている。
モータースポーツの分野でも近年ディーゼルエンジンへの注目は高まっており、ル・マン24時間レースでの総合優勝獲得を機にパフォーマンス的にも充分通用するものであるという認識が深まった。
そしてWTCCでは2007年第7大会のアンダーストープ(スウェーデン)からセアトがTDIと呼ばれるディーゼルエンジン搭載車を投入。続く第8大会オッシャーズレーベン(ドイツ)ではディーゼル車としての世界選手権初制覇を早々になし遂げた。
ここからセアトの快進撃が幕を開け、2008年シーズンは参戦体制を強化してマニュファクチャラー登録の5台がディーゼルエンジン搭載車とされた。
全24戦のシーズンで12勝を飾り、ポールポジションも5回獲得と遺憾なくパフォーマンスを発揮したセアト陣。中でもディーゼルでの世界選手権初制覇を前年達成したイヴァン・ミューラー選手とガブリエレ・タルクィーニ選手がともに3勝を飾り、シリーズランキング争いをリード。最終戦ではチームメイト同士の両者が一騎討ち、最後は一年を通じて安定性に勝ったイヴァン・ミューラー選手がシリーズチャンピオンの栄冠を勝ち取った。
また2005年のシリーズ発足からチャンピオンの座を独占し続けていたのがBMW Team
UKのアンディ・プリオール選手。こちらはやや苦しい一年となり勝ち星もフランスでの第8戦における1勝に留まったが、随所でディフェンディングチャンピオンらしい走りを見せて2009年のタイトル奪還を充分に期待させてくれる戦いぶりであった。
※右上写真 : 2008年の王座を確定させたイヴァン・ミューラー選手(左)と、祝福するアンディ・プリオール選手(右)。
【関連ウェブサイト >>
2008年・WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)】