Your browser does not currently have the Flash Player version 8 that is required to view this site.
Please click here to download the latest Flash Player version.
HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.59 News Index
ひとつ前に戻る

REPORT
2008年7月20日・午後3時。
国内唯一の24時間耐久レースとして15年の歴史を重ねてきた「十勝24時間レース」の決勝レースがスタートを切りました。

参加台数は28台。スーパー耐久シリーズを戦うマシン達に混ざって、十勝24時間レースにのみ設定されるオリジナルのクラスで挑戦するマシンも、86,400秒後のチェッカードフラッグを目指してスタート。

その中で最も注目を集めたのがゼッケン24番の「ヨコハマ eco MOTION Z sato」。
横浜ゴムが新たに開発した"ecoレーシングタイヤ"を装着、燃料にはバイオフューエルの"E3燃料"を使用する、エコを追求する新たなモータースポーツを具現化した一台です。
 
今回のチャレンジは未知の領域とも言える部分が多いものでした。例えばecoレーシングタイヤは事前のテストで通常のレーシングスリックに対峙するパフォーマンスを確認してはいましたが、何といっても戦いの舞台は24時間耐久レース。
天候や気温の変化、時間経過とともにシビアになる路面やマシンのコンディションなど、戦いの行方を左右する色々な要素が考えらる中、最後まで安定したパフォーマンスを発揮し続けられるのかということに関心が寄せられました。

最初に結論を言ってしまえば、総合4位完走という堂々たる成績がecoレーシングタイヤの高いパフォーマンスを実証する結果となりました。
スタートドライバーを努めた荒 聖治選手を筆頭に、横溝直輝選手や一楽智也選手も順調に自分の担当パートを走行。夜間セッションになってステアリングを握った近藤真彦選手も、事前のシェイクダウンテストで乗ったときの好感触を改めて実戦の中で確認、通常のレーシングスリックタイヤを用いるマシンに全く引けをとらないラップタイムでの周回を重ねていきました。

マシンはST-1クラス仕様の日産フェアレディZ、先に記したように"E3燃料"を用いての走行。
こちらも普通のガソリンを使う他のマシン達との差は皆無、全くのノートラブルで611周、距離にして3110kmを走破しての総合4位フィニッシュをい飾りました。

レースは7月としてはやや気温の低い中で行なわれ、一時は小雨も降りましたが、生まれたばかりの"ecoレーシングタイヤ"はドライバー陣に全く不安を感じさせない、むしろもっと攻めた走りをしたくさせるようなポテンシャルを発揮。
 
モータースポーツにおけるエコロジーの追求という新しい時代のテーマにおいて大きな一歩となる今回のプロジェクトは大成功に終わりました。


Driver Comment
【DRIVER PROFILE】
 荒  聖 治 =SEIJI Ara=

1974年・千葉県出身。
今季はSUPER GTのGT500クラスにKONDO Racingから引き続き参戦、先の第4戦セパンでは二年連続優勝を飾った。
eco MOTION 十勝24時間レース参戦プロジェクトでもドライバーの一人としてスタートを担当したのを皮切りに何度もステアリングを握り、総合4位へとマシンを導く大きな力となった。
 
ecoレーシングタイヤは、安定感も高い上に耐久レースでは勝つための重要な要素のひとつとなる摩耗性能もとても良いパフォーマンシを見せてくれました。

今回は決勝レースの途中で小雨が降ったりしたのですが、気温や路面温度が思っていたよりも下がった時もあって、今回は対応仕切れなかった部分もあったのが正直なところです。

このプロジェクトは今回が始まったばかり。
これから、色々な天候や条件に合わせたecoレーシングタイヤを開発していくことによって、まだまだ可能性は広がっていくでしょう。

結果は総合トップ3のグループに入りたかったのですが、やっぱり前の3台は速かったですね(笑)。
でも、マシンも、もちろんタイヤもノートラブルで24時間の長いレースを走りきりましたし、ドライバーもみんな良いペースでラップすることが出来ました。

今後につながる貴重なデータも取れましたし、とても良いレースをすることが出来ました。


Engineer Comment
【ENGINEER PROFILE】
 米 満  稔 =MINORU Yonemitsu=
 横浜ゴム モータースポーツ部 技術開発2グループリーダー

スーパー耐久をはじめ、全日本ラリー選手権、全日本ジムカーナ選手権、全日本ダートトライアル選手権などのタイヤを開発するモータースポーツ部 技術開発2グループを統括。
今回十勝24時間に参戦するecoレーシングタイヤの開発についても、まとめ役として携わった。
 
今回の十勝24時間レースは想定したよりも気温も路面温度も低かった上に、小雨も降ったことからプロジェクトに対しては"アゲインスト(向かい風)"と言える厳しい条件になりました。

しかし、そのような中でも新たに開発したecoレーシングタイヤは充分な性能を発揮することが出来たと自負しています。

今回は摩耗性能の向上を意識した硬めのタイヤを用意したのですが、性能的には150%という大幅な向上を実現しました。

天然ゴムの使用率を100%としたキャップトレッドなどは、開発した私たちも正直なところビックリするほどの出来ばえとなり、ecoレーシングタイヤのこれからの可能性に大いにご期待いただけるものになったと思います。

今度再び同じようなチャレンジを行なうことがあれば、その時は今回のものをベースに、もう一段もしくは二段ソフトに振ったタイヤも用意出来れば、総合優勝も決して夢ではないと考えています。

まずはecoレーシングタイヤの第一弾のチャレンジとして、今回のプロジェクトは大成功をおさめることが出来ました。
ひとつ前に戻る