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eco RACING TIRE
【ENGINEER PROFILE】
 米 満  稔 =MINORU Yonemitsu=
 横浜ゴム モータースポーツ部 技術開発2グループリーダー

スーパー耐久をはじめ、全日本ラリー選手権、全日本ジムカーナ選手権、全日本ダートトライアル選手権などのタイヤを開発するモータースポーツ部 技術開発2グループを統括。
今回十勝24時間に参戦するecoレーシングタイヤの開発についても、まとめ役として携わった。
 
一般的なタイヤは右の構成図にあるように、キャップトレッド、カーカス、ベルト、ライナー、などの部材から構成されています。
それぞれの部材については求められる機能によって、例えばカーカスや補強材は繊維にゴムを被覆したもの、ベルトはスチールにゴムを被覆したもので作られています。
タイヤに求められる色々な機能に即して、最適な材料が使われているのです。
 
私も横浜ゴムに入社する前は「タイヤはゴムだけで出来ている物だ」なんて思っていたのですが(笑)、とんでもない話で実際にはとても多くの材料が使われています。
これらのパーツの構成比はレーシングタイヤでも一般のタイヤでもそんなに変わりません。キャップトレッド、ベルト、カーカスといった物が重量物で、比率的には高くなっています。
 
今回のecoレーシングタイヤでは、開発の第一弾としてキャップトレッドの部分における"非石油系資源"の使用率を向上させました。
 
具体的に説明すると、レーシングタイヤはキャップトレッドのゴムについては従来、合成ゴムだけを使っていました。これを今回は、天然ゴムの使用比率を高くしたタイヤを開発したということです。
 
タイヤ全体として見ると、一般のタイヤは非石油系資源の使用率がおよそ45%くらいです。今回のecoレーシングタイヤでは非石油系資源の使用率をキャップトレッド部では100%、タイヤ全体としては65%にまで高めました。
 
では非石油系資源の使用率を高めるとタイヤがどうなるのかと言いますと、一般的には耐摩耗性が向上し、ころがり抵抗が低減します。一方ではグリップ力が低減してしまいます。
グリップ力はレーシングタイヤにとって"生命"とも言えるもの。それが下がってしまっては困りますよね。
 
そこでオレンジオイルという材料を配合することでグリップ向上を図りました。
既に横浜ゴムのDNA Earth-1でもおなじみの部材がオレンジオイルです。
 
オレンジオイルを配合すると、どうしてグリップが向上するのか?という疑問に次はお答えしましょう。
ゴムというのは鎖状のものが絡み合っている状態になっています。オレンジオイルを入れると、これがゴムとゴムの間に入り込んで、ゴムの動きを"しなやか"にしてくれます。
すると、路面に対するゴムの接触面積が広がって、結果的にグリップを高められるということなのです。
 
もちろんオレンジオイルも、ただ入れれば良いというものではありません。
細かい配合調整における物性の適正化もしっかり行っています。
 
出来上がったecoレーシングタイヤを装着して走らせてみると、性能的には通常のレーシングタイヤと同等のレベルを得られました。タイム的にも、グリップレベルも、ドライバーの皆さんからの評価も優れたものであるという評価を頂きました。
 
横浜ゴムの社内基準における環境貢献値も高いレベルに仕上がったecoレーシングタイヤ。まだまだ開発はスタートしたばかりですが、これからも「エコ+スピード」を追求していきたいと思っています。

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