−まずはじめに、F4が発足した経緯を教えてください。
畑川さん :
F4が発足したのは1993年のことです。当時のフォーミュラレースはFJ1600の上にF3が位置していました。
当初はFJ1600の参戦者にとってF3は充分に手が届く世界だったのですが、F3が徐々にエスカレートして参戦費用が高騰してしまいました。
そこで、F3にステップアップすることが容易ではなくなった状況を受けて、F3とFJ1600の間を埋めるポジションとしてF4(発足当時の名称はFJJ)が誕生したのです。
−ミドルフォーミュラと呼ばれるカテゴリーの中で、F4の特徴とは?
畑川さん :
発足当時からこれまでに、ミドルフォーミュラに属するカテゴリーがいくつか生まれています。
F4はミドルフォーミュラの中では、自動車メーカーの支援がないのですが、逆にこれは"自由なカテゴリー"であると言えるでしょう。マシンについても自由度が広く、シャーシやエンジンも規則でワンメイク化してはいませんので、参加者側の選択肢も幅広くなっています。
また参加者に対しての年齢制限もありませんので、若手からベテランまで、どなたでも参加していただけます。
2007年は東西両シリーズあわせて43名が参加しましたが、これはミドルフォーミュラとして圧倒的に多い参加人数です。
−ミドルフォーミュラは若手向け、という風潮もありますが。
畑川さん :
そういった側面があることも事実ですね。しかし決してミドルフォーミュラが若手ドライバーだけのためのもの、ということではありません。
F4を見ていただければ一目瞭然ですが、例えば2007年のランキング争いでは東西両シリーズともにチャンピオンを獲得したのは40歳代のドライバーです。そして、これに続いたのがこれまた東西ともに20歳代のドライバーなのです。
レースというものはドライビングテクニックだけで勝敗が決まるのではなく、セッティング能力やチームとしての力も総合的に求められるものです。こうした部分を表現しやすいのがF4というレースの大きな特徴です。
ですから、若手とベテランが入り交じって、常に好レースが展開されているのです。
−好レースの理由のひとつには、先ほど仰っていた"自由さ"もあるようですが。
畑川さん :
そうですね。F4はシャーシ、エンジンともにワンメイクではありません。
これらがフリーであることの最大のメリットは「終わりが無い」ということです。
ワンメイクというものには必ず"賞味期限"があって、デビューから何年か過ぎた時点でシャーシ/エンジンともに「全て新型に切り換えます」という日が必ずやってきます。
しかしフリーの場合は、自動的に時間の経過とともにシャーシやエンジンがより優秀なものに変わっていくので、参加者に無理な負担を強いるようなことがありません。
既にF4は15シーズン目を終えましたが、こうした色々な良さが噛み合って、続けられてきていると思います。
−F4は"ドライバーを育てる"という面もありますよね。
畑川さん :
それについても"フリーなカテゴリー"であることが大きく作用しているようです。
SUPER GTのGT500クラスを戦うドライバーに聞いても、「F4がとてもためになった」と語ってくれます。自由だからこそドライバーに求められるセッティング能力を実戦で磨けたこと、そしてF4のクルマの動きが非常に勉強になったと言っています。
−最後にF4というカテゴリーのセールスポイントをまとめてください。
畑川さん :
「F4というのは、コストはF3の3分の1、ポテンシャルはF3の90%」なんていう表現はどうでしょうか。
事実、コストはF3に比べて圧倒的にリーズナブルですから、年齢を問わずフォーミュラレースを長く継続して楽しむことが出来ることはF4というカテゴリーの大きな存在価値であると思います。
ポテンシャルについてはF4は一定の改造をされた排気量1850ccのエンジンを搭載しています。排気量1500ccのノーマルエンジンを搭載するSuper-FJと比べると、パワーもスピードも全く別世界と言っても過言ではありません。
例えば鈴鹿サーキットでの参考タイムを見ると、予選でF4が2分04〜05秒だった時にSuper-FJは2分16秒くらい。F3で1分58秒あたりのタイムが出ていましたから、ポテンシャルは90%というのもあながち誇大表現ではないと思います。