ナンバー無しの競技専用車が競い合うSCクラス。このクラスで圧倒的な強さを見せているのがADVANユーザー勢であり、その中でも抜きんでた戦績を修めているのがランサーエボリューションを駆る谷森雅彦選手。
プロフィールでもご紹介したように2002年に全日本選手権初制覇を飾ると、2007年まで6年連続でシリーズチャンピオンの座を獲得し続けてきている。
「チャンピオンという肩書きや、ライバル選手の走りについては、そんなに気になることはありません。
ジムカーナはあくまでも、毎大会自分自身との戦いをしているものですから。」
ジムカーナ選手の誰もが語る「自分自身との戦い」という基本スタンスを改めて語った谷森選手。
しかし谷森選手はシリーズ連覇に加えて、2004年の第3戦から優勝を独占し連勝記録を伸ばし続けていたのだ。
「連勝記録については、自分の中ではそんなにプレッシャーに感じるようなことはありませんでした。
自分自身が如何に良い走りを出来るかで勝負は決まってくるので、各大会の本番で100%の力を出し切ることに全力を注いでいます。」
勝利を積み重ね、その結果としてシリーズ連覇をなし遂げてきた谷森選手。周りからは「勝って当たり前」と見られる存在であり、連勝記録については「誰が、いつ破るか」も大きな注目点となった。
そして2007年第2戦の浅間台。ここでは同じADVANを装着して戦う鳥居孝成選手と激戦を演じた結果、0.323秒差で2位となり連勝記録は21でストップした。
「同じランサーでも鳥居選手はエボリューション6。但し車両重量は規則の関係で自分が乗っているCT9A型エボリューションでも同じなのでハンディはありません。
車体が大きいとかホイールベースが長いという違いはありますが、乗っていてそんなに気になるものでもないですね。
鳥居選手に負けたことで、"吹っ切れた"面もありました。それまでが守りに入っていたという訳ではありませんが、例えばそれまでなかなか試せなかったセッティングを実行してみたりとか、違ったものにより積極的にトライ出来るようになりましたね。」
ひとつの敗北から新しい勝利の源を生み出した谷森選手。浅間台から3週間後に開催された第3戦・幸田でも再び鳥居選手との一騎討ち状態になったが、ここでは谷森選手が0.283秒上回るタイムで鳥居選手を下して借りを返した。
さらに第4戦・SUGOではシティを駆る西田竜治選手が速さを見せたが、これも谷森選手が抑えて連勝をマーク。不出場の第5戦を除いて勝ち続け、第7戦・もてぎにおいてシリーズ2戦を残して堂々のシリーズチャンピオンを獲得した。
「今年も戸田レーシングでメンテナンスしているエンジンなど、いろいろな物事が良い方向に進んだ結果として連覇を実現できました。
SCクラスはスリックタイヤを使えることによる圧倒的な"速さ"が魅力のクラス。鳥居選手や、シティの西田選手などADVAN勢同士の拮抗した戦いは見ている皆さんも面白かったのではないでしょうか。」
自分自身の連覇についてこう分析した谷森選手。
ところで谷森選手といえば、その職人的な速さもあって余り感情を表に出さないクールなドライバーという印象もある。
「クール・・・、ですかね?(笑)
実際には勝って嬉しかったり、逆に負けて悔しかったりと感情を出すことも多いですよ。泣いたこともありますしね(笑)。」
最後に谷森選手は、これからの自分自身の戦いについて、こう締めくくってくれた。
「Dクラスの小林キュウテン選手のように、自分もストイックに速さを追求し続けていきたいですね。
もちろん2008年も自分自身の持つ連勝記録を更新することを目標にして勝ち続けたいと思っています。」
"速さ"を求め続ける谷森選手。そして、ADVANタイヤもまた速さを追い求め続けている。絶え間ない"挑戦する姿勢"の積み重ねは、連勝そして連覇の記録としてジムカーナ史に永遠に刻まれていくのである。