いよいよこの週末は、鈴鹿サーキット・東コースを舞台とした第19&20戦、「FIA
WTCC Race of JAPAN」が開催される。日本ではF1、WEC(FIA世界耐久選手権)とFIA世界選手権が続けての開催となっているが、三週連続のトリを取るのがWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)となる。
この世界最高峰のツーリングカーによるスプリントレースは、近年まれに見る大接戦が演じられている。なにしろ、前戦のアメリカを終えて、ドライバー選手権争いではイヴァン・ミューラー選手に、チームメイトのロブ・ハフ選手が同点で並んだのだから。残念ながらシボレーは今シーズン限りでのマニュファクチャラー活動終了を発表しているが、有終の美をミューラー選手が3年連続のチャンピオンで飾ることになるのか、それともハフ選手が悲願の初チャンピオン獲得で締めくくるのか、タイトルの行方はとても興味深いところだ。
そんなタイトル争いに向けて重要な終盤のアジア・シリーズは、日本がその皮切りとなる。日本を終えると初開催の中国・上海国際、そしてチャレンジングなストリートバトルのマカオと続くカレンダー、つまり昨年のデータがある常設サーキットでの最後の戦いとなる鈴鹿は、しっかり勝ってポイントを積み重ねておきたい重要な位置づけとなるはずだ。
しかし、ここ鈴鹿の攻略は生易しいものではない。シーズン中、最も1周が短いコースとなる東コースは、パッシングポイントがとても限られるという特徴がある。ゆえに決勝ではギリギリの攻防戦が繰り広げられのは間違いないとして、それ以前に予選の重要性もいつも以上に増すことになるだろう。
ご承知の通り、WTCCの予選は全車が出走するQ1の結果により、上位12台がQ2へと駒を進める。そしてQ2の順位がスターティンググリッドに反映されていくのだが、Q2のタイム順に決するのは第1レース(第19戦)のグリッド。一方で第2レース(第20戦)については、Q2の上位10台をリバース配置するかたちとなる。つまり、Q2の10番手タイムが第2レースのポールポジションになり、9番手タイムが2番グリッドとなるわけだ。
これまでの傾向を見ると、第1レースは順当に選手権争いの主役たちが上位グリッドにつけているが、第2レースではYOKOHAMAトロフィー勢が上位グリッドを占めることも珍しくない。また、ローリングスタートの第1レースに対して、スタンディングスタートの第2レースでは、これを得意とするBMW勢がスタートから1コーナーまでにジャンプアップを決める場面も多く、各レースのスタートシーンからは目が離せない。
そして繰り返しになるが、予選の重要性は各チームが共通して認識しているところ。この予選に向けた金曜日のテスト走行でのセットアップがレースウィークを通じた鍵になると言っても過言ではなく、金曜、土曜、日曜と、それぞれの走りをどこかのコーナーから定点観察するのも、マシンセッティングの煮詰め方を感じ取れる“通な”観戦方法としてお薦めだ。