2010年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)も、いよいよ最終決戦の時を迎える。
シリーズを締めくくる舞台はマカオ。伝統の一戦「マカオグランプリ」は、WTCCが発足したシーズンから最終戦の舞台としてカレンダーに組み込まれてきている。
最大の注目点はやはりシリーズチャンピオン、その栄冠の行方についてだろう。
タイトル争いにとっては、先に岡山国際サーキットで開催された日本ラウンド、特にその第2レース(第20戦)が大きなターニングポイントとなった。
雨足が勢いを増した中でスタートした第2レース、序盤の3周目でBMWのアンディ・プリオール選手がグラベルベッドの餌食となってしまいリタイア。折り返しを過ぎた10周目にはトップに立っていたセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手もが単独コースオフでリタイアとなったのである。
一方で15点差のランキングトップで日本ラウンドに臨んだシボレーのイヴァン・ミューラー選手は、第1レース(第19戦)・第2レースともに3位表彰台を獲得。
三つ巴で展開されていたドライバーズチャンピオン争いは、この結果を受けてタルクィーニ選手が脱落して、候補は2人に絞られる結果となった。
そしてミューラー選手とプリオール選手の得点差は、日本ラウンドを終えて37点へと拡大した。
マカオの第1レースでミューラー選手はプリオール選手の前でフィニッシュすればその瞬間にチャンピオン確定となるだけに、プリオール選手としては予選でミューラー選手より前のグリッドを確保すること、そして第1レースから常にプッシュでミューラー選手よりひとつでも前のポジションでフィニッシュすることが求められる。
そう、マカオは一般公道をクローズしたコースが戦いの舞台。
全長は6km以上とWTCCの開催コース中で最も長いものの、パッシングポイントは限られる。さらにリスボア・コーナーを筆頭にアクシデントや多重クラッシュも日常茶飯事。例え上位の選手でも一瞬の油断はもちろん、他車に巻き込まれるかたちでリタイアを喫する可能性が高いだけに、勝負の行方はチェッカーが振られるその瞬間まで分からない、見逃せない展開となるだろう。