カレンダーも9月に替わり、WTCCも長かった夏休みを終えてシリーズは後半戦に突入。第15戦&第16戦はこの週末、ドイツのオッシャーズレーベン・モータースポーツアリーナを舞台に開催される。
7月末にチェコのブルノで開催された前戦では、第1レースでシボレーのロブ・ハフ選手が今季初優勝、第2レースではアンディ・プリオール選手がBMWにとってWTCC参戦通算50勝目となる記念すべき優勝を勝ち取った。
一方では、シリーズランキング争いでトップを走っていたシボレーのイヴァン・ミューラー選手が、まさかの2戦連続ノーポイントでレースを終えた。セアトのガブリエレ・タルクィーニ選手は第1レースで準優勝したものの、第2レースは終盤でマシントラブルからノーポイントとなってしまった。
ランキング争いの両雄にとっては苦しい展開となったブルノ、この結果シリーズチャンピオン争いはますます拮抗することに。トップの座はミューラー選手が辛くも守っているが、2番手のタルクィーニ選手との点差は僅か5点にまで縮まった。さらに3番手のプリオール選手はミューラー選手と16点差に迫り、4番手からも32点差でハフ選手が追いかけている。
こうした現状を踏まえてオッシャーズレーベン戦の行方を占うわけだが、やはり地元・BMW勢が前戦のブルノに続いて得意としているサーキットなのである。
戦歴を振り返ると、2005年のWTCC発足から昨シーズンまで5年間で10戦が開催されているが、何と2007年の第1レースを除いた9戦でBMWが表彰台の真ん中に立ってきているのだ。昨年も第1レースをプリオール選手、第2レースはアウグスト・ファルファス選手が制しており、今季もやはりBMW勢が戦いの主役となると予想される。
さらにBMWの二人について戦績を詳しく見ると、プリオール選手は2005年、2006年、2009年のそれぞれ第1レースで優勝。一方のファルファス選手は2007年の第2レース、2008年の第1レース、2009年の第2レースで優勝しており、勝ち星はともに"3"で並んでいる。
ひとつ面白いのはプリオール選手は全てローリングスタート方式の第1レースを制していること。では予選から速さを見せての勝ち星かというと、ポール・トゥ・ウィンを飾ったのは2006年のみ。2005年は4番グリッドから、2009年に至っては15番グリッドという後方から、混乱などを巧くかわして追い上げを見せての勝利である。
ファルファス選手も似た感じで、第1レースを制した2008年は5番手スタート。リバースグリッドとなる第2レースについても、2007年は2番手、2009年は3番手グリッドからのスタートであり、両者ともに決勝で見事なバトルを演じて勝ち取った栄冠だということがわかる。
このようにBMWがデータの上では圧倒的に有利となっているオッシャーズレーベン。
ドライバーズタイトル争いはもちろん、マニュファクチャラーズタイトル争いでもBMWが一気に躍進を見せる可能性がある一戦は、WTCCファン、そしてBMWファンにとって絶対に見逃せない一戦となる。
対してシリーズランキングでトップを守っているシボレーは、オッシャーズレーベンでの優勝経験が皆無。
ただ、2007年の第1レースで唯一BMW以外の優勝を飾っているドライバーこそ、当時はセアトを駆っていたイヴァン・ミューラー選手。シボレーにとっては、悲願のマユファクチャラータイトル獲得に、そしてミューラー選手にとってはセアト時代に続く2回目のドライバーズタイトル獲得に向けて、ひとつの"天王山"となる重要な戦いだ。