2008年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)、ヨーロッパラウンドの締めくくりとなるイタリア・モンツァ戦の開催がいよいよこの週末となった。
この戦いを終えるとWTCCは遠く海を越えて、いよいよ日本への初上陸を果たすことになるだけに、日本のモータースポーツファンにとっても前戦となるモンツァは注目の的となるだろう。
その大きな理由のひとつが、WTCCに初めて日本人ドライバーが参戦することである。先に岡山国際サーキットでWTCC参戦を発表した織戸学選手(シボレー・ラセッティ)、青木孝行選手(BMW320si)、谷口行規選手(ホンダ・アコード)が三人揃って世界舞台に挑む。
なお一足先にヨーロッパ入りした谷口選手はアドリアサーキットで2日間に渡ってテスト走行を行い、計150周以上を走り込んだ。織戸/青木の両選手は走行こそしていないもののマシンと対面、シート合わせやチームとのミーティングをこなしてレース本番に向けた準備を進めている。
この時期になると来期に関する話題も増えて来るが、シボレーは2009年も今年と変わらないドライバー陣でWTCCに臨むと早々に発表。2005年以来変わらぬ顔ぶれで戦ってきたシボレーだが、2009年はマシンをニューモデルにスイッチするつもりであると公式リリースで語られているので、どんなマシンがお披露目されるのか発表が楽しみなポイントである。
さて、モンツァ戦に話を戻すと、このサーキットはとにかくハイスピードレイアウトであるという大きな特徴がある。
シリーズタイトル争いも一層白熱するなか、サクセスバラストは最大搭載量である70kgをイヴァン・ミューラー選手とリカルド・リデル選手という二人のセアト勢、さらにはシボレーのロブ・ハフ選手も背負うことになる。
しかし、昨年の戦いを振りかえると、当時の規則で最大搭載量だった60kgのウェイトを積んでいたイヴァン・ミューラー選手のセアト・レオンTDIは、なんと予選でトップタイムをマークしてポールポジションを奪う。そして決勝でも第1レースで文句無しのポール・トゥ・ウィンを飾ったのである。
すなわち、ハイスピードレイアウトであるということはストップ・アンド・ゴーに近いテクニカルレイアウトよりもウェイトの影響が小さくて済むのではないか、という予測が成り立つ。
そして気になるのは、今季最多となった30台という参加台数。
スプリントレースなので決勝中に周回遅れが生じる可能性はまず無いだろうが、予選をミスして後方からのスタートを余儀なくされた場合は厄介だ。ペースの上がらないマシンをパスするのに苦労してタイムロスを喫してしまうことになりかねない。
もちろん参加台数が多ければ不測のアクシデントが発生する可能性も高くなるわけで、まずは第1レースの序盤を各選手、特に初参戦となる日本人ドライバーがどのように戦っていくのかが注目のポイントとなる。