2005年にそれまでのETCC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)を発展させる形で発足したのが「WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)」。
F1、WRCと並ぶ世界三大選手権レースのひとつであり、市販車をベースに改造を施されたマシンが競い合う"ツーリングカーレース"の最高峰に位置しているのがWTCC。
排気量2,000ccのエンジンを搭載した"スーパー2000"規定のマシンによって競われるが、2007年からはガソリンエンジンに加えてディーゼルエンジン(ターボ付)も登場、さらにはフレックスフューエルのマシンも参戦を果たし、環境問題への対応もモータースポーツとして先進的な内容となっている。
レースは50km程度の決勝を一日に2回行なう超スプリント。
基本的には土曜日に予選を行い、その結果に基づいてスターティンググリッドを決した第1レースをローリングスタートで日曜日に開催。この第1レースの結果はインターバルを経て同日中に開催される第2レースのスターティンググリッドに反映されるが、1位〜8位はリバース・グリッドとなる。つまり第1レースを8位でフィニッシュした選手が第2レースのスタートをポールポジションで迎えるのだ。そして第2レースはスタンディング方式でスタートする。
リバースグリッド・システム |
第1レース結果 |
優勝 |
2位 |
3位 |
4位 |
5位 |
6位 |
7位 |
8位 |
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↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
第2レースグリッド |
8番 |
7番 |
6番 |
5番 |
4番 |
3番 |
2番 |
1番
(P.P) |
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リバースグリッド方式のほかに、WTCCで繰りひろげられている接戦を演出している大きな要素がハンディウェイト。
従来は各レースの順位に応じて搭載重量の増減が図られてきたが、2008年はドライバーズポイント1点に対して1kgのウェイトが課せられる方式を採用。
その上で各ラウンド(1大会2レース合計)での獲得ポイントに応じて1位〜6位にウェイトが課せられる。ただし、このラウンド成績によるウェイトは次のラウンドが終了するとリセットされる。
また、ウェイト搭載最大重量は2007年の60kgから70kgへ10kgアップとされた。
なおこの制度は2008年から「サクセスバラスト」と称される。
サクセスバラスト・システム |
獲得ドライバーズポイント1点に対して1kg。
さらに各ラウンド(1大会につき2レース)の合計ポイント数に従って、
次大会においては以下のバラストを追加搭載。
最大搭載量は70kg。
各ラウンド毎の合計得点順位と搭載バラスト量 |
大会合計得点数 |
1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
5位 |
6位 |
搭載バラスト |
30kg |
25kg |
20kg |
15kg |
10kg |
5kg |
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これらリバースグリッドやサクセスバラストの採用も功を奏して、WTCCでは毎大会激しい接近戦が繰りひろげられ、最終戦まで熾烈なチャンピオン争いが展開されている。
2005年の発足以来、圧倒的な強さを見せているのはBMW、中でもアンディ・プリオール選手は三年連続でドライバーズタイトルを手中におさめ、この栄冠を独占している。
しかし2007年はセアトやシボレー勢がポテンシャルを大いに高め、決してBMWの独走に終始したシーズンではなかった。
2008年はBMW、セアト、シボレーに加えて、昨年までアルファロメオを走らせていたNテクノロジーがマシンをホンダアコードにスイッチしてシーズンフル参戦を果たすことも話題。
さらに開幕直前になってロシアのラーダもエントリーリストにその名を連ねており、多彩な車種による競い合いも楽しみなところ。
WTCCはキャッチコピーを「Real Cars, Real Racing」としているが、まさにそこには"ホンモノのレース"が存在しており、世界中のモータースポーツファンを熱狂させている。