チェコのブルノで行われた前戦から、やや長めのインターバルを挟んで開催されるWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の舞台はポルトガル。
カレンダーでは第11戦&第12戦となり、シリーズ前半戦の締めくくりという位置づけになる。
昨年からポルトガルはWTCCカレンダーに加わっているが、昨年のレースはポーの市街地特設コースで開催された。
しかし今年は開催場所がサーキットに移され、F1ポルトガルグランプリでも知られる名門コース・エストリルサーキットが戦いの舞台。
前戦ブルノでは第1レースでBMW Team Itary-Spainがワン・ツー・フィニッシュ、第2レースはセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手が優勝を飾った。この結果を受けてタルクィーニ選手は規則上最大の重量となる70kgのサクセスバラストを搭載して臨むことになるので少々厳しい戦いが予想される。
しかし同じセアトのディーゼルターボ勢ではランキング2位のイヴァン・ミューラー選手が43kg、3位のリカルド・リデル選手が37kg、5位のジョルディ・ジェネ選手は30kgと比較的搭載量が少ない。
さらにティアゴ・モンテイロ選手は12kgと軽さを活かしての有利な戦いを演じる可能性が高いと予想される。
対するBMWやシボレー勢の上位陣は、概ね30kg〜40kgのサクセスバラストとなっているので条件的にはほぼ同等。徐々にマシンの熟成を進めているホンダアコードのジェームス・トンプソン選手は3kgとほぼ存在を感じさせない程度のバラスト量であるだけに、ブルノでの7位よりも更に上位の成績をおさめることに期待が高まるところ。
ところでエストリル・サーキットといえば大西洋に近い立地条件ということもあって、天候が不安定なサーキットとして知られている。これまでにもF1グランプリや二輪のロードレース世界選手権などで、気まぐれな天候がレースの行方を左右する大きな要因となってケースが多々あった。
ひとつのレース距離が短いWTCCではレース中に雨が降りだしても、ピットインしてタイヤを交換するということはまずありえない。そうなると、スタートから約30分というレースの中で万一コンディションが大きく変わるようなことがあれば、熾烈な生き残り戦へと戦いは様相を転じることになる。
もちろん最初からウェットというレースであれば、走りを支えるADVANレーシングレインタイヤの高いパフォーマンスも大いに注目を集めることになるだろう。