今年も波乱含みの展開となったフランス・ポーでの一戦は、2レースともにBMW勢が制する結果となった。
既に中盤戦に入っている2008年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、比較的タイトなスケジュールでヨーロッパにおける3つめの舞台となるチェコのブルノに戦いの場を移す。
ブルノは全長5kmを超える大規模なサーキットコースで、市街地レースだったポーからは様相を一変する。
しかしコースを問わずアグレッシブな戦いが繰り広げられるWTCC、昨年の戦いを振り返ると第1レースでは序盤から激しい上位争いが演じられた結果、接触アクシデントによってセーフティカーが導入される展開となった。
そして昨年、ブルノでも強さを見せたのはBMW勢。
第1レースはフェリックス・ポルテイロ選手、第2レースはヨルグ・ミューラー選手が優勝を飾るとともに、第1レースは上位4位までを、第2レースでも上位3位までにBMW勢が名を連ねて両レースともに表彰台を独占した。
更に一昨年のブルノ戦を振り返ってみると、第1レースで優勝を飾ったのはやはりBMWを駆るヨルグ・ミューラー選手。第2レースはBMWのアンディ・プリオール選手との接戦を制してシボレーのロブ・ハフ選手が優勝を飾っている。
ブルノでWTCCが開催されるようになったのは二年前の2006年からのこと。ヨルグ・ミューラー選手が圧倒的にブルノを得意としている、と言って間違いないだろう。
そこで今年の戦いを占ってみると、やはりヨルグ・ミューラー選手の存在が大きくクローズアップされる。
フランス・ポーでの戦いを終えてドライバーズランキングは7位。そして気になるサクセスバラスト搭載量は20kgとなり、これは最も重いバラストを積むセアトのイヴァン・ミューラー選手やBMWのアンディ・プリオール選手に比べて3分の1程度に過ぎないというアドバンテージを有している。
WTCCの前身となるETCC時代からBMWが得意とするブルノ、中でもヨルグ・ミューラー選手に注目したいチェコラウンド。
しかし、シーズン序盤はディーゼルターボ旋風が巻き起こった2008年のWTCC、ややおさまっていた旋風が再びブルノの地で吹き荒れるのかも気になるところではある。