今年で60回という、記念すべき節目の大会を迎えるマカオ・グランプリ。
このグランプリが生まれたのは1954年、日本の元号でいえば昭和29年。現在の東京モーターショーの前身にあたる第1回全日本自動車ショウが日比谷公園で開催されたが、出展車の多くが商用車だったことからもわかるように本格的なモータリゼーション時代の夜明け前というのが日本の状況だった。
そんな時代に、ポルトガル領として交易などで栄えたマカオで開催された4時間レースが、マカオ・グランプリの原点となった。15人のドライバーによる第1回大会が成功すると、年々その規模は拡大されていく。国際レースとして注目を集め、多くのレーシングドライバーがマカオで伝説を作ってきた。
現在のマカオ・グランプリは4輪/2輪の多彩なカテゴリーが開催されている。その頂点に位置するのはフォーミュラとツーリングカーのツートップだ。
フォーミュラは1983年に導入されたF3(フォーミュラ3)規定によるレースで、初年度から今日までヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーをつとめてきている。昨年には供給30周年という節目を迎えた。世界各地で行われているF3をはじめとしたシリーズで好成績をおさめた者たちが集い、人呼んで“F3世界一決定戦”と呼ばれる猛者たちの熱い戦いである。なによりも、F3初代ウィナーであるアイルトン・セナを筆頭に、このマカオ・グランプリをステップにF1などのトップドライバーに駆け上がっていった選手が多く、希望と実力に満ちた若手ドライバーにとっては大きな登竜門という位置づけなのである。
一方のツーリングカーは、2005年に発足したWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。こちらも2シーズン目となる2006年から今日までヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーであり、シリーズ最終戦ということでタイトルをかけた一戦として激しいバトルが演じられたことも数多い。
さらにこのツートップに加えて、アジア地域を転戦するFIA GT3車両によるGT ASIAもヨコハマタイヤのワンメイク。また、それ以外のコンペティション・カテゴリーにおいても多くの主力選手/チームがヨコハマタイヤを選び、表彰台を飾っている。このように、近年のマカオ・グランプリはヨコハマタイヤとともに歩んでおり、現在はトップカテゴリーがともにヨコハマタイヤのワンメイクであることから、レースウィークのマカオはヨコハマタイヤ一色に染まると言っても過言ではない。
また、60回目の今年は2週にわたってレースが行われることとなった。
開催されるレースカテゴリー数は、実に13にのぼる。これらに38の国と地域から350人ものレーシングドライバーが出場。昨年の大会出場者は221人、つまり参加者数はおよそ5割増ということだ。
主催のマカオ・グランプリ実行委員会によると、今回の開催予算総額はおよそ3億マカオパタカ(1マカオパタカ=約12.2円/2013年10月25日現在)。この予算にはレースを司るコントロールタワーの建て替えも含まれているとのことで、新しいタワーは発展するマカオ・グランプリを象徴する存在となりそうだ。